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小泉総理大臣


日本・チリ共同新聞発表


平成16年11月22日
於:サンティアゴ


はじめに

1. 小泉純一郎日本国内閣総理大臣は、リカルド・ラゴス・エスコバル・チリ共和国大統領の招待により、2004年11月21~22日、チリ共和国を公式訪問した。両首脳は、少人数会合及び両国の政府要人が同席した拡大会合を行った。

2. 首脳会談において、冒頭、日本国総理大臣は、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議における共和国大統領の議長としてのリーダーシップを高く評価しつつ、チリプロセスが成功裡に終了したことに祝意を表した。共和国大統領は、日本国総理大臣の同プロセスへの貢献に謝意を表した。その上で、両首脳は、良好な二国間関係及び国際社会が直面する諸課題について有意義な意見交換を行うとともに、様々な分野において日本・チリ間の協力関係をより一層深化していくことで一致した。


二国間関係

全般

3. 両首脳は、百年を超える友好協力関係を基盤とした二国間関係が、政治、経済及び二国間協力の各分野において、極めて順調に進展していることに満足の意を表した。日本国総理大臣は、去る9月に明らかにした「日・中南米 新パートナーシップ構想」に言及しつつ日本・チリ関係を一層発展させる意向を表明し、共和国大統領はこれを歓迎した。


政治関係

4. 両首脳は、近年の政府及び議会関係者の頻繁な要人往来に言及しつつ、こうした交流が二国間関係の発展のために果たす役割の重要性を確認した。両首脳は、両国関係の包括的な発展のため、日本・チリ間で政治関係が強化されるべきことを強調し、この意味で、日本・チリ間の政策対話を深化させるとの意図を表明し、政策協調に関し、両国外務省による政策対話の成果を強調した。第3回会合は東京において2005年上半期に実施される予定である。また、これまで「日本・チリ21世紀委員会」が両国関係の発展に果たしてきた貢献に敬意と感謝を表した上で、2007年に日本・チリ修好110周年を迎えることを受け、この委員会が新たな段階に入る必要性で一致した。このため、「日本・チリ21世紀委員会」の成果を受け継ぎ、二国間関係について両国政府に助言することを目的とする「日本・チリ賢人会議」の設置を表明した。


経済関係の強化

5. 両首脳は、2003年2月の共和国大統領訪日の際に立ち上げられた「日本・チリ二国間経済協議」がこれまで順調に開催されており、両国の幅広い経済関係につき有意義な議論が行われているとの認識で一致した。

6. 両首脳は、両国が重要な経済パートナーであることを強調し、貿易・投資分野のさらなる関係強化は、両国にとって有益であるとの認識を共有した。

7. 両首脳は、両国間で経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)を締結する可能性を検討するための両国の産学官による「共同研究会」を立ち上げることで意見の一致をみた。両首脳は、同研究会が両国の経済関係の一層の発展に資することを確信し、来年の然るべき時期に第1回会合を開催することを目指すとの認識で一致した。

8. 両首脳は、日智経済委員会が両国の経済関係の発展に果たしている重要な役割に言及しつつ、両国の民間レベルでの活発な交流が実現していることを強調した。また両首脳は、2005年5月東京で開催される予定の第23回日智経済委員会の成果を期待した。加えて、両首脳は、日本で活動しているチリ企業、及びチリで活動している日系進出企業に対し、それぞれの政府が引き続き支援していく双方の意志を確認した。

二国間協力関係

9. 両首脳は、両国の技術協力が二国間関係の発展、及び第三国との関係の発展に大きく貢献してきたことを確認した。この意味において、両首脳は、両国が「日本・チリ・パートナーシップ・プログラム(JCPP)」の枠組みにおいて、中南米諸国をはじめとする第三国の利益となるような技術協力が成功裡に実施されていることに満足の意を表した。共和国大統領は、「バルパライソIT開発センター」に対する日本の技術協力に感謝の意を表明した。日本国総理大臣は、新たに算数教育分野への協力を表明した。両首脳は、こういった協力が、将来的にJCPPを通じ、他の中南米諸国へ普及することを期待する旨表明した。

10. 両首脳は、環境問題に関し、より良い地球を将来の世代に残すため国際社会が一致して取り組むべき必要性を強調するとともに、気候変動問題の重要性を確認した。両首脳は、気候変動に対する取組みとして、京都議定書中のクリーン開発メカニズムに関し、国際協力銀行とチリ国家環境委員会等が業務協力に関する取決めに署名したことに言及し、引き続き京都メカニズムの枠組みにおいて両国の協力が一層進むことを期待した。

11. 文化・学術交流に関し、共和国大統領は、チリ北部において展開されている天文観測の国際プロジェクト(アルマ計画)への日本の参加を歓迎した。日本国総理大臣は、同計画に対するチリの協力に感謝の意を表明した。また、両首脳は、両国の国民間の相互理解を深めるため、文化交流を活発化させることの重要性を確認した。この観点から、日本国総理大臣は、APEC開催を機に、チリにおいていくつかの日本文化紹介事業を実施していることに言及した。また、両首脳は知的交流の重要性で一致し、これに関して、日本国総理大臣は、チリにおける日本及び日本語への関心の高まりを受け、日本研究等を行っているチリ主要5大学の学長を日本に招聘する意向を表明し、共和国大統領はこの計画の重要性を強調した。

国際的な諸課題

12. 両首脳は、21世紀の国際社会が直面する諸課題について意見交換を行った。両首脳は、国際社会の平和と繁栄を脅かす諸問題の解決のため、国際社会が協調することの重要性を強調するとともに、両国が国際機関における対話と協力を強化する意図を確認した。

13. 国連について、日本国総理大臣は、チリが安保理非常任理事国(2003-2004年)として果たした役割を評価した。また、両首脳は、国連の効率性、効果及び正当性を強化するため、国連システムの包括的な改革の必要性を共有した。安保理に関し、両首脳は、常任・非常任議席双方の拡大の必要性を共有した。共和国大統領は、日本の安保理常任理事国入りに対し、重ねて支持を表明した。

14. 多角的貿易体制の強化に関し、両首脳は、WTO・ドーハ開発アジェンダ(DDA)の成功は、全ての加盟国に利益をもたらすものであることを認識し、7月合意を踏まえつつ、来年12月の香港閣僚会議に向け、両国が一層努力していくことを確認した。

15. 両首脳は、地域間協力が一層緊密化することの重要性を共有した。この中で、両国首脳は、東アジアと中南米の交流を深める一つの重要な場として、東アジア・ラテンアメリカ協力フォーラム(FEALAC)に言及した。日本国総理大臣は、日本がFEALACにおいて主導的な役割を果たしていくとの考えを述べ、共和国大統領はこれを歓迎した。

16. 両首脳は、中南米及びその他の地域情勢について意見交換を行った。その中で、共和国大統領は、日本がハイチに対して行った支援・貢献を評価した。共和国大統領は、ハイチ問題は、国際社会が一丸となって取り組むべき、中南米諸国にとって重要な課題であると述べた。日本国総理大臣は、チリがハイチの治安情勢改善のために多大な貢献をしていることを高く評価した。

17. 共和国大統領は、2005年5月4~6日にサンティアゴにおいて開催される予定の第3回民主主義閣僚級会合への日本の参加を改めて促した。これに対し、日本国総理大臣は前向きに検討する旨述べた。

締め括り

18. 両首脳は、グローバル化の進展する世界において、太平洋を挟んだ隣国である日本とチリとの友好協力関係を一層緊密化していく意思を改めて確認した。会談の終わりに、日本国総理大臣は、今回の公式訪問に際しての厚遇について共和国大統領及びチリ政府・国民に対する感謝の意を表した。



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