安倍総理大臣

安倍総理訪エジプトに際しての日本・エジプト共同声明(仮訳)

平成19年5月2日

 安倍晋三日本国総理大臣は2007年5月2日、エジプト・アラブ共和国を公式訪問した。

 エジプト・アラブ共和国訪問中、安倍晋三総理とモハメッド・ホスニ・ムバラク大統領は会談を行い、日本とエジプト・アラブ共和国との間の戦略的関係の発展に向けて、以下のような声明を発表した。

  1. 双方は、あらゆる面における、二国間関係の堅実な発展に満足の意を表明し、あらゆるレベルにおける対話と協力の促進を通じて両国間の絆をさらに強化していくとの共通の決意を確認した。これに関連して、両首脳は、1999年のムバラク大統領訪日時に、21世紀が「平和と繁栄」に向かうべく両国間の協議と協力を強化していくために打ち出した日本・エジプト・パートナーシップ・プログラムの重要性を再確認した。
  2. 安倍総理は、地域の安定と安全のために枢要な役割を果たしているエジプトの地政学的重要性を強調し、日本が中東とアフリカにおける戦略的ハブであるエジプトとの間のパートナーシップを強化していく考えであることを表明した。
  3. これに関連して、両首脳は、両国外務省による「戦略的対話メカニズムに関するメモランダム」への署名を、両国間の戦略的パートナーシップ強化のための重要な一歩として歓迎した。
  4. ムバラク大統領は、日本が国際場裡においてさらに積極的な役割を果たすことに支持を表明するとともに、エジプトが中東においてこれまで最大の受益国となっている日本の政府開発援助(ODA)への評価を表明した。ギザの「大エジプト博物館建設計画」に対して新たに供与された円借款に関し、双方は、本計画が、両国の協力の下で大きく進展すること、また、本計画が一層の文化交流と観光の促進につながることへの期待を表明した。
  5. 双方は、さらなる要人往来の必要性を再確認し、安倍総理より、ムバラク大統領に対し、第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)に際しての訪日招待を行った。ムバラク大統領は、招待に留意するとともに、日本が「一村一品」運動や「アフリカ・フェア」等により、アフリカの開発に指導的役割を果たしていることに謝意を表した。TICADに関連して、双方はアフリカにおける南南協力強化に向けた日・エジプト協力の重要性を確認した。また、双方は、このような三角協力を中東においても強化していく必要性を再確認した。
  6. 双方は、経済関係の更なる発展が日本とエジプトとのパートナーシップ強化への、主要な原動力となるという認識を共有した。この観点から、日本側はエジプトの経済改革とこれまでの成果に満足の意を表明し、双方は、安倍総理に同行しているハイレベルの日本側経済ミッションの重要性を強調するとともに、このミッションがエジプトの経済実績に照らし、エネルギー分野を含む両国の一層の経済関係強化に寄与することへの期待を表明した。また、これに関し、両首脳は、エジプトの油ガス田での日本の石油会社による探査・開発の進展を高く評価した。加えて、双方は2006年11月にカイロで成功裡に開催された第7回日・エジプト経済委員会の重要性を確認した。
  7. 双方は、教育こそが国家の真の発展にとり不可欠な要素であると認識し、人材育成などの分野における協力を継続していく意思を再確認した。この関連で双方は、日・エジプト科学技術大学(E-JUST)設立に向けて努力を加速化させる意図を表明した。このために双方は、これまでに得られた進展を踏まえ、努力を積み上げていくことを表明した。さらに、日本側は、エジプト側より提案のあった工業生産性向上の分野におけるエジプト人への訓練に関する両国間の協力計画の開始に係わるエジプト側の提案に留意した。
  8. 双方は、急激にグローバル化している世界において、相互理解と他の文化・文明への尊重がかつてないほど求められていることを確認した。この関連で、双方は、日本とアラブとの相互理解の促進のみならず、偏向した固定観念の排除や、文化・文明の相互理解の促進における、日本とアラブ間のパートナーシップ強化に焦点を当てて過去4回開催された「日本・アラブ対話フォーラム」の重要性を強調した。両首脳は、「日本・アラブ対話フォーラム」の第5回会合、並びに「日本・アラブ会議」を2007年11月にアレキサンドリアで開催することを発表した。
  9. 中東和平プロセスに関し、双方は公正かつ包括的なアラブ・イスラエル紛争の解決を確保することが中東における安定と繁栄の達成にとり鍵となることを再確認した。この文脈で、日本側は3月29日にリヤドで開かれた第19回アラブ連盟首脳会議において発出された多くの建設的な声明を改めて歓迎した。これらの声明はアラブ和平イニシアチブに基づくものであり、アラブ・イスラエル紛争の解決を目指したものである。双方は、中東地域における全ての国の共存・共栄という原則に基づき、中東和平プロセスが早期に再開されることへの強い期待を表明した。安倍総理は、パレスチナの諸派間の暴力の停止や、誘拐されたイスラエル兵士解放のための仲介を含め、行き詰まりと停滞する和平プロセスの打開に向けたエジプトの多大な努力を評価した。ムバラク大統領は、日本による中東和平プロセスへの積極的な貢献及びパレスチナ人への人道支援を評価するとともに、「平和と繁栄の回廊」構想を歓迎した。本構想に関し、双方はパレスチナ人の利益のためパレスチナ自治区における協力の拡大への期待を表明した。
  10. レバノン情勢に関し、双方は、セニオラ首相への強い支持及びセニオラ首相による国家再建に向けた民主主義の定着と経済構造改革推進の努力への強い支持を表明した。日本側は、レバノンの安定に向けたアラブ連盟とエジプトの役割を高く評価した。
  11. 双方はイラク国民がより良い未来への切望を実現するために両国により支援するとのコミットメントを再確認し、イラク国内の安定と領土の一体性を実現し、国家的統一と国内全てのグループ間の平等を促進することに向けたイラクによる努力への支援において緊密に連携していくことを決定した。双方は、とりわけ、国民融和がイラク安定化のための礎石であるという見解で一致し、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催される、イラクに関する2つの閣僚級会合の重要性を強調した。エジプトはイラクの復興と安定に向けた、ODAを含む日本の重要な貢献を評価した。双方は日・エジプトによるイラクへの三角協力を評価するとともに、かかる三角協力の継続を確認した。
  12. 双方は、中東の全ての国家による核兵器不拡散条約への加入を奨励し、国際的に正当な関連諸決議に整合的な形で、中東をあらゆる大量破壊兵器及びその運搬手段が存在しない地域とすることの重要性を強調した。この観点から、双方は、関連する国連安保理諸決議に基づいて、イランの核問題を外交的に解決することの重要性を強調した。
  13. 朝鮮半島をめぐる情勢に関し、双方は、2007年2月13日に六者会合において採択された合意は全ての参加者、特に北朝鮮によって迅速に実施されるべきであるとの点で一致した。双方は、二者間の問題に関する日朝協議において進展が得られることに期待を表明した。エジプトは、できる限り速やかに拉致問題が解決されることの重要性を強調し、この問題に関し引き続き協力を行う意思を表明した。
  14. スーダンに関して、双方は、スーダンの安定は中東地域及びアフリカ全体の安定にとり不可欠と認識し、スーダンにおける平和の定着を確保することの重要性を強調するとともに、スーダン政府を含む全ての関係当事者がダルフール情勢の安定と改善に向け取り組むよう働きかける努力を、継続していくことで一致した。
  15. 双方は、世界の平和、安定、繁栄の促進における国連の役割がますます重要となっているとの認識の下、国連が21世紀の新しい現実を反映するよう、包括的に改革されなければならないとの見解で一致した。また、双方は、特に国連改革全体において不可欠な要素である安全保障理事会改革の早期実現の重要性を強調しつつ、総会、事務局、経済社会理事会、安全保障理事会を含む国連組織の刷新と再活性化に向けて協力していくことを確認した。エジプト側は、日本が安全保障理事会の常任理事国となることを、アフリカの利益を含む包括的なパッケージの文脈において、引き続き支持することを表明した。日本側は、エジプトによる支持に対し深い謝意を表明した。
このページのトップへ戻る
前のページへ戻る | 目次へ戻る