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川口外務大臣


(仮訳)
日本・ウクライナ共同コミュニケ


平成15年9月4日

(英語版はこちら)


  1.  川口順子日本国外務大臣は、2003年8月31日から9月2日までの間、ウクライナを初めて公式訪問した。川口順子外務大臣は訪問中、レオニード・クチマ大統領を表敬した。会談では、政治対話の増進と両国間関係に存在する潜在力の実質的な実現への移行が重要であると強調された。
     川口順子外務大臣はヴィクトル・ヤヌコヴィッチ首相と会談し、貿易、経済における協力及び投資の拡大問題について話し合った。

  2.  アナトリー・ズレンコ外務大臣と川口順子外務大臣の会談で、双方は、1992年に両国間で外交関係が樹立されて以来様々な分野において二国間協力が達成されたと評価した。
     双方は、両国の二国間関係の一層の強化の重要性に係る一般的認識で一致した。
     双方は、1995年3月23日付の日・ウ共同宣言に基づき、政治対話を活発化させる意向を表明した。この点に関し、日本側はウクライナが旧ソ連邦の承継国の1つであるとの認識を繰り返した。

  3.  双方は、国際社会による喫緊の行動を要する以下の国際的、地域的問題に関して有意義な意見交換を行い、またこれらの問題に関してお互いの認識や立場が共通していることを確認した。

    (a)  大量破壊兵器(WMD)の拡散による増大する脅威を十分に認識し、双方は、核不拡散条約(NPT)に基づく国際的な核軍縮と核不拡散体制に対する強いコミットメントを繰り返す。NPT体制を強化する具体的手段として、双方は包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効及び国際原子力機関(IAEA)保障措置協定追加議定書の締結を明確かつ強力に支持する。
     これに関し、日本側はウクライナ国政府よる、旧ソ連から引き継いだ核兵器の自国からの撤去及び核関連施設の破棄に係る政治的、戦略的な決定を高く評価する。独立時には、ウクライナは世界第3位の核保有国であったが、非核保有国となり、非核保有国としてNPTに加盟した。日本側はまたウクライナがCTBTを批准したことを高く評価する。双方は、核兵器根絶に向けた重要なパートナーとして相互に認識する。
     日本側はウクライナ科学技術センター(STCU)への拠出済みの資金の範囲内で、STCUプロジェクトを支援することを確認する。

    (b)  大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散もまた国際社会における重要な問題である。大量破壊兵器を入手しようとする国家やテロリスト・グループが存在する以上、大量破壊兵器とその運搬手段の拡散の危険は存在し、またいかなる国も一ヶ国のみでそのような危険を阻止することは不可能である。従って、国際的な核不拡散協力の促進が不可避である。この目的を達成するため、二国間・地域における外交的働きかけ、多国間の枠組み作り等、多面的かつ重層的な外交努力が重要である。

    (c)  双方は、諸地域におけるテロリストの活動の増大に対して深い懸念を共有し、いかなる形態、表明行為の国際テロリズムをも強く批難した。双方は、テロリズムが世界における安定と繁栄を大きく脅かすことに言及し、この脅威を予防し、根絶するために国際社会全体が努力を結集する必要性を強調した。

    (d)  アフガニスタン及びイラクにおける情勢に関し、これらの国の復旧・復興と共に、国際テロリズム及び大量破壊兵器拡散に対抗する努力において、周辺諸国を含む国際社会のメンバー間の広範な協調及び協力が不可欠である。双方は、国際社会及び国際機関と協力し、可能な限りの支援を行う用意があることを確認した。
     これに関連し、日本側は、ウクライナがイラクの安定化努力に向けた支援を実施するため、自国軍派遣の決定を行ったことを評価した。ウクライナ側は、アフガニスタン及びイラクに向けた人道・復興支援の実施努力における日本の指導力を評価し、また最近日本の国会により採択されたイラク復興支援特別措置法が発効したことを特筆した。
     双方は、イラク復興の基本原則となる国連安保理決議1483号及び1500号決議案に対する支持を繰り返した。
     双方は、在バグダット国連本部事務所へのテロ攻撃を批難し、セルジオ・V・デメロ国連事務総長特別代表及びその他犠牲者に対する哀悼の意を共有した。

    (e)  朝鮮半島情勢に関し、双方は北朝鮮の核兵器所有が許されないこと、そして北朝鮮と日本及びウクライナとの関係、また国際社会全体との関係は、北朝鮮が核兵器プログラムを完全かつ検証可能で撤回できない手段で中止するための迅速かつ妥当な行動をとることにかかっていると繰り返した。双方は、外交が北朝鮮の核兵器プログラム断念に導き、それが、ひいては朝鮮半島及び地域の安全の増進に寄与するとの確信を、再度確認した。ウクライナ側は、拉致事件を含む他の重要な問題と共に核及びミサイル問題の包括的解決に向けた、2002年9月17日の日朝平壌宣言を基礎とした日本の努力を支持した。双方は、北京で開催された六者協議を歓迎し、この様な協議が北朝鮮問題の包括的解決へ向けた本質的な手段として継続されることへの強い期待を表明した。

    (f)  双方は、国際社会が中東地域を含む他の諸地域において直面している数多くの問題に言及した。双方は、これらの問題の解決に向け、国際社会が努力を結集することが重要であるという認識を共有した。

    (g)  双方は、国連や他の国際機関の枠組みにおいて積極的に協力する決意を再確認した。双方は、21世紀の国際平和、安定、繁栄の増進のために国連が果たす重要な役割を認識し、国連改革、なかんずく常任及び非常任理事国双方の拡大を含む安保理改革の早期実現に向け、共に行動することの必要性を強調した。

  4.  双方は、持続的発展へ向けた国際的なパートナーシップの必要性を想起し、この観点から2つの事項につき協議した。
     第一に、京都議定書が気候変動に対する国際的行動を強化するための、極めて重要な第一歩となることを認識し、日本側はウクライナが京都議定書を可能な限り早期に批准ことへの期待を表明した。双方はまた、地球温暖化に対する行動の実効性を確保するため、世界各国が参加する共通のルールの確立に向け協力する意向を表明した。
     第二に、双方は、天然生物資源が科学的根拠に基づき持続可能な形で維持及び使用されるべきことにつき意見が一致した。

  5.  第二次世界大戦後の日本人抑留者のための小規模慰霊碑を建設・維持するようにとの日本側の要請に関し、ウクライナ側は、関係する諸官庁と必要とされる協力のための協議を行う用意がある。

  6.  ウクライナ側は、ウクライナの独立以来日本国政府により実施されている政府開発援助(ODA)の援助規模及び効率性の両面に対する高い評価を表明した。日本側は、ウクライナ国政府による民主化の取り組みを評価し、更なる民主化にむけたそのような努力を支援するための援助を行う意向を表明した。双方は、ODAの枠組みにおける有望なプロジェクトの発掘及び実施につき緊密に協力する意向を再確認した。

  7.  ウクライナ側は、様々な枠組みを通じて行われたチェルノブイリ原子力発電所に対する日本の貢献を高く評価した。
     ウクライナ側は、特に、日本のチェルノブイリ石棺プロジェクト及びチェルノブイリ被災民支援につき高く評価した。ウクライナ側は、被災民支援を実施してきた関係者に深い謝意を表明した。
     日本側は、人間の安全保障基金の枠組みを通じての、チェルノブイリ被災民の支援を検討する用意がある旨発表した。
     双方は、1995年のG7オタワ・メモランダムの規定の実施に係る関係各国による努力に言及し、そのような努力の継続への希望を表明した。

  8.  双方は、両国間の経済協力の円滑な実施への大きな一歩となる、日本・ウクライナ技術協力・無償資金協力協定の早期締結に向け努力する意向を表明した。この関連で、双方は、ウクライナにおいて効率的な活動を行ってきた日本センターについて、同センターが、上記協定の下、新しいセンターとしてその活動を拡大させ、人材育成、両国間の交流センターとして機能するという今後の役割への期待を表明した。

  9.  双方は、以下の点を含む、両国間の貿易及び経済分野における関係の拡大に向け共同で努力していくことで一致した。

    (a)  ウクライナ側は、日本の民間企業がウクライナにおいて活動を促進することを歓迎し、その活動を全力で支援する用意があることを表明した。双方は、投資分野における協力の拡大可能性につき協議し、両国間の投資を促進するため更なる努力を重ねることを決定した。

    (b)  日本側は、WTO加盟に向けたウクライナ政府の努力と熱意を高く評価し、ウクライナが条件を満たし、WTOへ早期加盟することを引き続き支援していく旨表明した。

  10.  双方は、二国間の文化関係を一層拡大することの重要性に関する認識を共有し、双方の各々の権限の範囲で、人的、文化及び教育の分野における機関、政府及び企業間の接触を、特に当該分野に関する情報を相互提供することにより慫慂することを確認した。さらに、双方は、両国民間の相互理解の増進を図る手段としての人的及び文化並びに教育交流における協力の可能性を追及する努力を行うことで一致した。双方はまた、異なった歴史に根ざす異文化の尊重に基づく相互理解の重要性を認識し、両国間の相互の信頼関係を強化するよう努力する。

  11.  訪問中、S・クルシェルスニスカ名称リヴフ国立オペラ・バレエ劇場への照明機材の供与に係る日本の文化無償に関する、日本国政府とウクライナ国政府との間の合意文書が署名された。

2003年9月1日

日本国外務大臣
川口 順子
ウクライナ国外務大臣 
ズレンコ、アナトーリー


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