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軍縮・不拡散


イラク問題に関する国連監視検証査察委員会
(UNMOVIC)の概要


1.設立の経緯

 湾岸戦争(1991年)後行われてきたイラクの大量破壊兵器に関する査察活動は、イラク側が非協力を表明したことから、98年以降、安保理決議に基づく査察活動が行われない状態が続いた。
 国連安保理は、イラク問題に関する国連安保理決議1284(1999年12月17日採択:参考1)に基づき、大量破壊兵器等の廃棄のためにイラクにおいて査察等を行ってきた国連特別委員会(UNSCOM:参考2)に代えて、未解決の武装解除問題を取り扱うこととなる、強化された継続的な監視及び検証の制度を設立及び運用する国連監視検証査察委員会(UNMOVIC:United Nations Monitoring,Verification and Inspection Commission)を設置した。


2.活動の概要

(1) 2000年3月1日、UNMOVIC委員長にハンス・ブリックス前国際原子力機関(IAEA)事務局長(スウェーデン)が就任し、同月10日、委員長及び、日本を含む17名の委員が選任された。また、2000年4月13日、組織計画(本部事務局、コミッショナー協議会の機構等)が安保理で承認された。
(2) それ以降、定期的にコミッショナー協議会が開催されるとともに、イラクにおける査察活動の準備(本部スタッフや査察官に対する訓練及び査察方法の検討(未解決な軍縮課題の特定を含む)、査察官候補者の人選、情報収集等)が実施されてきたが、イラクと国連の間で査察受け入れに関する合意は得られず、査察活動は行われなかった。
(3) 2002年11月8日、イラクにおける大量破壊兵器の査察に関する安保理決議1441参考3が採択され、11月13日、イラクが査察の受け入れを表明したことにより、11月27日、査察活動が再開された。UNMOVIC(化学兵器、生物兵器及びミサイルを担当)及びIAEA(核兵器の開発計画)はイラク全土において査察活動を行っている。


3.日本の人的貢献

(1) 日本の推薦を踏まえ、2000年3月10日、数原孝憲外務省参与(元ウィーン代表部大使)がUNMOVIC委員に任命され、これまでのコミッショナー協議会に参加している。
(2) 国連の要請に基づき、2001年2月9日より、防衛庁に所属するミサイル分野の専門家(海上自衛官)をUNMOVICの本部(分析・評価局)に派遣中。(なお、派遣の根拠となる「国際機関等に派遣される防衛庁職員の処遇等に関する法律施行令」の改正が2001年2月2日、閣議にて決定されている。)
(3) 国連の要請に基づき、ミサイル分野専門家会合、及びミサイル分野ワーク・ショップ(イラクのミサイル活動を評価するための、ミサイルNON-INTRUSIVE技術の適用可能性評価を目的とするもの)等に、防衛庁の専門家を参加させた。





【参考1】

国連安保理決議1284について


 98年の対イラク空爆以降、UNSCOM及びIAEAによる査察が実施されない状況が続き、他方で、制裁下のイラク国民の窮状が、益々国際社会において問題視される状況となった。国連は、8ヶ月に及ぶ議論の末、99年12月17日、イラクを巡る諸問題を包括的に扱う安保理決議1284を採択した。
 本決議は、(イ)大量破壊兵器の廃棄に関する新たな委員会(UNMOVIC)の設置、(ロ)クウェイト国民等の帰還について、イラクの義務の再確認、(ハ)人道物資の購入のための、これまで一定額に限って認めてきたイラクの石油輸出について、輸出額上限の撤廃、(ハ)イラクが120日間UNMOVIC及びIAEAに協力し、特に完了すべき主要な軍縮義務を履行した場合、対イラク制裁の120日間停止、等を規定している。




【参考2】

UNSCOM(国連イラク特別委員会)について


1.設立の経緯と組織概要

 UNSCOM(United Nations Special Commission on Iraq)は、湾岸戦争の際のいわゆる停戦決議である、安保理決議687(1991年4月3日採択)に基づき、イラクにある化学兵器等の大量破壊兵器及びミサイルの脅威を除去することを目的として、1991年5月1日に設置された。
 同委員会は、リチャード・バトラー氏(前オーストラリア国連大使)を委員長として、日本を含む21か国よりの22名の委員で構成された。
 事務局はニューヨークに所在し、現地事務所はバハレーンとバクダッドに置かれ、ヘリコプター部隊、査察官等が駐在していた。


2.活動の概要等

 UNSCOMは、その活動成果として、40,000以上の化学兵器、800基以上のスカッドミサイルを始め、多くの大量破壊兵器とその運搬手段に対する査察とその廃棄の監督等を実施した。
 しかし97年10月、イラクはUNSCOMに対する非協力を打ち出し、更に98年10月には、UNSCOMとの全ての協力停止を決定した。これを受けて国連安保理は、98年11月5日、イラクに対する非難と査察への協力再開を求める安保理決議1205を全会一致で採択。これに対しイラクは、一時的に査察の無条件受け入れを表明したものの、査察に対する非協力的態度は変わらなかった。このため98年12月、米英両国は、イラクの査察に対する協力が不十分であることを理由に湾岸戦争後で最大規模の空爆を実施。それ以降、現地事務所は閉鎖され、イラクにおける監視・検証活動は停止した。
 その後、イラクに対する査察等の任務は、UNMOVICに引き継がれることとなった。


3.日本の貢献

(1) 資金協力
設立時の資金的貢献として、91年5月に150万ドル、同年7月に100万ドルを支出、更に96年3月、活動資金として100万ドルの支援を実施し、合計350万ドルの資金協力を行った。
(2) 人的貢献
UNSCOMに対する委員の派遣
91年4月~92年5月 故安達憲 外務省参与(元陸将・化学学校長)
92年5月~99年4月 倉田英世 外務省参与(元陸将補・化学学校教育部長)
国連側の要請に基づく要員の派遣
91年10月~11月 第6次化学兵器査察団への参加(2名)
93年1月~7月、7月~12月及び94年1月~6月
  化学兵器廃棄グループへの参加(6名)
98年7月~11月 バグダッド監視・検証センターへのミサイル分野専門家の派遣(1名)





【参考3】

国連安保理決議1441について


 2002年11月8日(金)、国連安全保障理事会は、イラク問題に関する決議1441を全会一致で採択したところ、概要以下のとおり。

イラクに対し武装解除の義務を遵守する「最後の機会」を与える

イラクは、関連安保理決議上の義務に、これまでもまた現在もなお「重大な違反」をしているが、イラクに対して、関連安保理決議のもとでの武装解除の義務を遵守する「最後の機会」を与えている。
イラクは、事務総長より決議採択の通報を受けて7日以内に、この決議を遵守する意思を示さなければならない、としている。

強化された査察体制を構築し実施する

 イラクが長期にわたり査察の実施を妨害してきた実態を踏まえ、また武装解除のプロセスを完全かつ検証可能な方法で完了させるために、強化された査察体制を構築するとして、以下を規定している。

(1) イラクは、決議採択から30日以内に、大量破壊兵器、弾道ミサイルなどの開発計画に関する正確、十分かつ完全な申告書を提出する。
(2) UNMOVICとIAEAは、決議採択から45日以内に査察を開始し、査察開始から60日以内に査察結果について安保理に報告する。
(3) UNMOVICとIAEAによる査察の対象範囲を拡大した上で、そこへの即時、無条件かつ無制限のアクセスをイラクが認め、イラク国外で関係者をインタビューする可能性など査察方法も強化する。
(4) 査察実施の際の査察団の権限を強化する。この関連で過去の了解にかかわらず、大統領関連施設についてもその他の施設と同様のアクセスが認められる。

イラクに更なる重大な違反があった場合には安保理会合を即時に開催する

イラクの申告書に虚偽や省略があった場合やイラクが決議の履行・実施のために協力を行わない場合には、更なる「重大な違反」があったとみなされ、即時にこれを評価するための安保理会合が開催される。この会合でイラクによる義務の完全な履行の必要性が検討されることとなっている。
イラクによる査察活動の妨害や武装解除の義務の不履行があった場合には、UNMOVICとIAEAが直ちに安保理に報告し、即時にこれを評価するための安保理会合が開催される。この会合でイラクによる義務の完全な履行の必要性が検討されることとなっている。
その際に安保理は、イラクに対して継続した義務違反の結果として「深刻な結果」に直面することを繰り返し警告してきたことを想起する、とされている。


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