10 ロンドン サミット
民主主義の諸価値に関する宣言(仮訳)
―元首及び首相の合意による―
1984年6月8日
- 我々、主要先進民主主義7ヵ国の元首及び首相並びに欧州共同体委員会委員長は、第10回経済サミット会合のためロンドンに参集し、我々の社会を支えかつ結びつけている諸価値に対する我々のコミットメントを確認する。
- 我々は、すべての市民の権利と自由を公平に尊重かつ保護し、人間の精神が自由と多様性の中で発展し得る環境を提供する法の支配を信奉する。
- 我々は、自由な選挙を通ずる真の選択、自由な意見表明、及び変化のあらゆる側面に対応しかつ適応する能力を保証する民主主義体制を信奉する。
- 我々は、次のことを信ずる。我々民主主義国の政治的及び経済的体制においては、最大限の選択の幅と自由、及び個人の創意が存在し、社会主義、義務及び権利の理想が追求され、活発な企業活動が行われるとともに、すべての人々に対し雇用の機会がもたらされ、すべての人々が成長の利益を分ち合う平等の機会を有し、かつ苦境ないし貧困状態にある人々に対して支援が与えられ、技術革新、想像力及び科学的発見の成果によりすべての人々の生活が豊かになり、そして通貨の健全性に対する信頼が存在することが出来るような条件づくりをすることは、政府の任務である。我々の国は、新たな産業革命という課題を共同で達成するための能力と意思とを有している。
- 我々は、我々の国相互間の緊密な協力が世界全体の政治的安定及び経済成長を強化するとの確信をもって、このような協力が必要であると信ずる。我々は、政治的、経済的及び社会的体制の相違にかかわらず、各国の独立及び領土保全の尊重に基づいて、すべての諸国との協力を希求する。我々は、真正な非同盟を尊重する。我々は、経済的な力は我々に特別の道徳的責任を課することを承知している。我々は、世界中の飢餓及び貧因と闘う決意を再確認する。
- 我々は、自由と正義を伴う平和が必要であると信ずる。我々はいずれも、紛争を解決する手段としての武力の行使を拒否する。我々はいずれも、侵略を抑止し、効果的な防衛のための我々の責任を果たすのに必要な軍事力のみを保持する。我々は、今日の世界では、我々各国の独立が、我々すべてにとっての関心事であると信ずる。我々は、国際的な問題及び紛争は、理性に基づく対話と交渉により解決され得るし、又、解決されなければならないと確信するとともに、このためのあらゆる努力を支援するものとする。
- これらの諸点を強く信奉し、偉大なる多様性と創造的な活力に恵まれている我々は、自信を持って未来に臨むものである。
ランカスター・ハウス
1984年6月8日
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