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3 ロンドン サミット

ダウニング街首脳会議宣言(仮訳)

1977年5月8日

 ダウニング街におけるこの2日間にわたる集中的討議を通じ、我々は、我々自身の国とその他の国々の双方の福利を増進するため、いかに最善の助力をなしうるかについて合意した。

 世界経済は、全体として考えられなければならない。これは単に各国政府間の協力のみならず、適当な国際機関の強化を伴わなければならない。我々は、我々が直面している全ての問題の相互関連性と我々自身の相互依存の事実につき認識を更に深めた。我々は、未来の挑戦に対して、共同して対処する決意である。

  • 我々の最も緊急な任務は引続きインフレを抑制しつつさらに雇用を拡大することである。インフレは、失業を減少せしめるものではなく、かえって失業の主要な原因の一つである。我々は、特に、若年層の失業問題につき懸念を有している。我々は、若年層に雇用機会を提供することに関し、相互に経験と考え方を交換することに合意した。
  • 我々の政府は、公表されている経済成長目標の達成又は安定化政策の実施を約束する。こうした目標及び政策は、全体として見れば、我々自身の国及び全世界におけるインフレなき持続的成長と国際収支不均衡の軽減のための基礎をもたらすこととなろう。
  • 融資制度の改善が必要である。国際通貨基金は顕著な役割を果さなければならない。我々は、IMFの資金を増大させることを約束しその融資活動を適当な安定化政策の採用に連繋せしめることを支持する。
  • 我々は、開放的な国際貿易制度を強化するために貿易の機会を拡大するよう強い政治的指導力を発揮する。これは雇用機会を拡大することとなろう。我々は、保護主義を拒否する。保護主義は失業を助長し、インフレを昂進させ国民の福祉を低下させる。我々は、多角的貿易交渉東京ラウンドに新たな活力を吹き込むであろう。我々の目的は、重要な諸分野において1977年に実質的進展の達成をはかることである。この分野においては世界経済の構造的変化が考慮に入れられなければならない。
  • 我々は、石油への依存度を低下させるためエネルギーを一層節約し、その生産を拡大し、多様化する。我々は、世界のエネルギー需要への対応に資するため、核エネルギーの増大の必要性につき合意した。我々は、これを核拡散の危険を減少せしめつつ、実施することを約束する。我々は、これら諸目的を達成する最善の方途を決定するため、緊急な研究を発足させる。
  • 世界経済が持続的かつ衡平な基盤の下に成長することができるのは、開発途上国もそのような成長を分ち合う場合のみである。我々は、CIECを成功裡に完了せしめるため全力を投入することにつき合意するとともに、開発途上国との建設的な対話を継続することを約束する。我々は、これらの国に対する援助の流れ及びその他の実物資源の移転を増大することを目指すとともに、コメコン諸国も同様の努力を行うことを要請する。我々は、世界銀行等多角的機関を支援する。これら機関の一般的資金は、その融資の実質額での増大を許容するに十分な程に増されるべきである。我々は、世界経済の成長を助長するため、安全な民間投資の重要性を強調する。

 これらの任務を遂行するため、我々は、他国の支援と協力を必要とする。我々は、このような協力を国際連合、世界銀行、IMF、GATT及びOECD等適当な国際機関において推進する。我々のうちで欧州経済共同体加盟国である国は、共同体の枠組の中において努力する意図を有する。

 討議において我々は、相当の合意に到達した。我々の重要な目的は、この合意を行動に移すことである。我々は、経済回復の勢いを維持するため、ここダウニング街において討議されたすべての施策の進展ぶりにつき見直しを行っていくであろう。

 ダウニング街首脳会議の趣旨は、

  • 我々社会の継続的強靭性とこれら社会の活力の基盤をなしてきている民主主義の諸原則に対する自信の確保
  • 我々が諸問題を克服し未来の一層の繁栄を実現するため必要な諸政策を実施しつつあるとの自信の表明である。

1977年5月8日


ダウニング街首脳会議宣言付属文書(仮訳)


世界経済の見通し

 1975年以降世界経済の情勢は徐々に改善してきている。しかしながら困難な問題は引き続き我々の国すべてに存続している。我々の最も緊急な任務は、引き続きインフレを抑制しつつ雇用を拡大することである。インフレは、失業の解決策ではなく、かえって失業の主要な原因の一つである。インフレとの闘いにおける進展の度合いは、釣合いがとれていない。黒字国と赤字国との間の調整の必要性は、依然として大きい。世界は、未だ1974年の石油価格の上昇がもたらした景気抑圧の影響に対し、完全な調整を終えていない。

 我々の政府は、経済の成長及び安定化を目指す目標の実現を約束する。これらの目標は、国によって異なるが、全体として見れば、全世界を通じてインフレなき持続的成長の基礎を提供することになろう。

 我々の国のいくつかは、1977年について妥当な拡大的成長を目標として決めた。これら諸国の政府は、自国の政府を常に検討し、公表された目標率を達成するため、また国際収支不均衡の調整に貢献するため必要な場合には、新たな政策を執ることを約束する。他の国々は、インフレ期待感を増大させることなく持続的成長の基盤を造成するため、安定化政策を追求している。これらの国々の政府は、引き続きこうした目的を追求する。

 この二つの範ちゅうに属する諸政策は、相互に関連している。最初のグループの国々の諸政策は、他のグループの諸国の拡大を、インフレを増大させることなく導き出しうる環境の造成を助長することとなろう。成長率が第一のグループにおいて維持されかつ、第二のグループにおいて増大し、またインフレが両グループにおいて成功裡に克服された場合においてのみ、失業の減少が可能となる。

 我々は、若年層の失業問題につき特に懸念を有している。従って、我々は、今後経済活動が上昇するのに応じて、これに即応しうるよう熟練度と弾力性を有する労働力を育成するため、若年層の訓練を促進する。我々の政府は、個別に又は共同して、この目標に向って、適切な措置をとりつつある。我々は、可能な限り相互間で学び合うべきであり、経験と考え方を交換することに合意した。

 我々が国内経済の運営に成功することは、単に世界経済の成長を強化するのみならず、次にとりあげる国際収支ファイナンシング、貿易、エネルギー及び南北問題の四分野における成功にも寄与することとなろう。これらの分野における進展は更に世界経済の回復に貢献することとなろう。


国際収支ファイナンシング

 今後数年間石油輸入国は、全体として相当な額の国際収支赤字に直面し、これをファイナンスするためOPEC諸国から資本を輸入することになろう。本年の石油輸入国の赤字額は450億ドルという高額にのぼる可能性がある。このような赤字は、われわれの輸入石油への依存度を低下させること及び産油国の輸入能力を高めることによってのみ、減少させることができる。

 このような赤字は、石油消費国間においてそれぞれの国の継続的資本調達能力に対応する形で配分される必要がある。このような形での調整の必要性は依然として大きく、引き続き進展を確保するためには、広汎な国際協力と黒字・赤字双方の国々の確固とした行動が要請されている。赤字国による調整上の戦略には、インフレの国内要因の排除と、国際的費用・価格関係の改善に重点を置くことが含まれるべきである。国際収支上相対的に強い立場にある工業諸国は、節度のとれた範囲内で、国内需要の適当な拡大を引き続き実施すべきである。更に、これら諸国は、その他の国際収支上強い立場にある国々とともに、長期的資本輸出の流れの増大を促進すべきである。

 国際通貨基金は、国際収支ファイナンシング及び国際収支調整について顕著な役割を果たさなければならない。従って、われわれは、IMFが同基金に対する追加的資金を求め、また、IMF融資を適当な安定化政策の採用と結びつけるというIMF暫定委員会の最近の合意を強く支持する。このような追加的資金は、IMF加盟国が国際収支赤字を抑制し、民間市場を通じた国際収支ファイナンシングを可能ならしめるような政策を採用するようIMFとして奨励し、支援する能力を強化するであろう。このような資金は、適当な速度で調整がなされるよう、必要な諸条件を付してまたそのために必要な柔軟性をもって利用されるべきである。

 このIMF提案は、妥当な水準の経済活動の維持を容易にし、貿易上及び国際収支上の制限に訴える危険を減少させるものとなろう。この提案は、石油輸出国、金融的に強い立場にある先進工業国とIMFとの間の協力を示すものであり、また、世界経済を健全にし、かつ、発展させるうえで実質的な貢献を行うであろう。かかる目的を追求するにあたって、われわれは、通貨の安定を高めるため努力するとの意図をも再確認する。

 われわれは、新しいすでに合意された法的枠組の下における国際通貨金融制度がIMFの割当額の増大の早期発効により強化されるべきことに合意した。われわれは、IMFにおいて次期の割当額の増大が早期に合意されるよう努める。


貿  易

 われわれは、貿易機会を拡大し開放的な国際貿易体制を強化するための世界的な努力のために強い政治的指導力を発揮することを約束する。これらの目標の達成は、世界経済の繁栄並びに全世界の先進国及び開発途上国が直面している経済上の諸問題の効果的解決にとって緊要である。保護主義の諸政策は失業を助長し、インフレを昂進させ国民の福祉を低下させる。従って、われわれは、開放的で無差別な世界貿易制度の遵守という政治的約束を維持することの必要性につき合意した。

 われわれは、各国それぞれに、また、適当な国際機関を通じ、貿易の拡大により新たな雇用及び消費者利益をもたらすような解決を促進することに努めるとともに、貿易を制限するような方途を回避することに努める。

 多角的貿易交渉東京ラウンドは精力的に推進されなければならない。現在も続いている経済的諸困難は、東京宣言の諸目的を達成すること及びすべての国にとって最大限の利益となる包括的な一連の合意に向かって交渉することをますます緊要なものにしている。この目的のため、われわれは、本年、次の如き重要な諸分野において実質的進展の達成を追求する。

(i) 関税の実質的引下げ、ハーモニゼーション及びある場合には関税撤廃を目指したできる限り広く適用される関税引下げ計画
(ii) 貿易に対する非関税障壁の実質的軽減及び将来のこの種の障壁の回避を容易にし、かつ、世界経済に起きた構造的変化を考慮に入れた規約、取極及びその他の措置
(iii) 農産物貿易の一層の拡大及び安定化並びに世界の食糧供給につき、より大きな保証を達成する相互に受諾しうる農業問題への取組み方

 かかる進展は、各国が現存の国際取極の下で著しい市場撹乱を回避するため有する権利を害するものではない。

 われわれは、すべての先進工業国の間で相互主義に基づいた包括的かつ均衡のとれた合意を結ぶことを追求するに当り、東京宣言の目的に沿って、そのような合意が開発途上国に特別の利益をもたらすことを確保する決意である。

 われわれは、公的支持のある輸出信用についての非生産的な競争を軽減するため、諸政府によってとられた行動を歓迎するとともに、この分野における現在の合意を改善し拡大するために本年さらに実質的努力を払うべきことを提案する。

 われわれは、正常でない慣行や不当な行為が国際貿易、金融及び通商から排除されるべきであると考えており、現在不正な支払の禁止についての国際的合意に向けて作業がなされていることを歓迎する。


エネルギー

 われわれは、エネルギー節約を強化するため、いくつかの政府によりとられている措置及び米国大統領により最近発表された計画を歓迎する。エネルギー需要と石油輸入は、枯渇しつつある世界の炭化水素資源に過重な圧力となる比率で引続き増大している。われわれは、従ってわれわれの努力を更に強化するため、可能な限りのことを全て行う必要性につき合意する。

 われわれは、エネルギー需要を抑制し、かつエネルギー供給を増加させ、多様化させるため、各国が個別に又は共同して努力することを約束する。エネルギー利用の効率化、石炭等在来型資源の改善された形の再活用と利用及び新規エネルギー源の開発を目的とした技術の交流あるいは共同の研究開発を促進する必要がある。

 増大するエネルギー需要を満足させ、エネルギー源の多様化を助長するため、核エネルギーに対する依存度が増大することとなろう。これは、核兵器のために用いられうる物質の生成と拡散につき最大限の注意を払いつつ、なされなければならない。われわれの目的は、核兵器の拡散の危険を回避しつつ、世界のエネルギーの必要を充たすことであり、核エネルギーの平和利用を広く利用可能にすることにある。われわれは、更に、不拡散政策は、これが効果的であるためには、先進工業国と開発途上国双方にできるだけ広く受諾可能なものでなければならないことに合意した。このため、われわれは、これらの目標を達成するための最善の方法につき2カ月以内に完了されるべき予備的な分析を進めることとした。これには国際核燃料サイクル評価のための付託事項の研究も含まれる。

 石油輸入開発途上国は、その経済開発計画を維持するために必要なエネルギー供給の確保とその代金支払いの双方について特別な問題を有している。これら諸国は、国内エネルギー生産を拡大するための追加的援助を必要としており、このため、われわれは、世界銀行がその資金量が増大するに伴い、この目的に役立つプロジェクトに特に重点をおくことを希望するものである。

 われわれは、この移行期間においてエネルギー市場が特に厳格な節約措置及びすべてのエネルギー資源の開発により、調和的に機能することを確保するため最善を尽す意向である。われわれは、石油産出国もこれらの努力を考慮に入れ産油国としての貢献を行うよう強く希望する。

 われわれはすべての国がインフレを伴わない持続的経済成長に矛盾しない合理的な価格で現在及び将来にわたって引続きエネルギー供給を確保し得るためにはこうした活動は不可欠であると信ずる。そのため、われわれはあらゆる有用な場を通じ、われわれ相互間及び他の諸国と引続き協議し、協力しつつ、われわれの政策を調整する意図を有する。


南北関係

 世界経済が持続的かつ衡平な基盤の下に成長することができるのは、開発途上国もそのような成長を分ち合う場合のみである。この面ではすでに進歩が見られた。先進工業国は深刻な不況にもかかわらず開放的な市場制度を維持してきた。先進工業国は、特に貧困国に対し援助の流れを増大してきた。われわれがIDAの第5次増資に対する約束を他の国々と共に履行することにより、IDAからこれら貧困国に対し今後3年間にわたり約80億ドルの利用が可能となろう。IMFは、その補償融資制度の下で昨年開発途上国のために20億ドル近くの追加的資金を供与した。国際農業開発基金が、先進国、OPEC諸国及びその他の開発途上国の共通の努力に基づき創設された。

 これまでに見られた進展及び協力の精神は、今後の前進のための格好の基礎となりうる。次の前進は、国際経済協力会議を成功裡に終結させることであり、このためわれわれは全力を投入することにつき合意した。

 われわれは次の目的に向かって行動する。

(i) 先進工業国から開発途上国特に現在絶対的貧困の中に生活している8億人の人々に対する援助及びその他の実物資源の移転を増大すること及び援助の効果を高めること。
(ii) 開発途上国の国際金融資金へのアクセスを容易にすること。
(iii) 世界銀行のような多角的融資機関を支援すること。われわれはその融資が今後実質ベースで増大し、また、その範囲が拡大するよう、これら機関の融資能力が今後拡充されなければならないと信ずる。
(iv) 世界の経済発展を促すため必要とされる安全な投資を促進すること。
(v) 一次産品価格の安定化及び個々の緩衝在庫取極のための共通基金創設に関する交渉において、建設的結果を確保すること。開発途上諸国の輸出所得の安定化の問題を検討すること。
(vi) 開発途上国産品の先進国市場へのアクセスを市場撹乱を起さないような形で引き続き改善していくこと。

 こうした先進国及び開発途上国の行動は、相互の関連において、また、われわれが共有する更に大きな目標との関連において評価され、調整されることが望ましい。われわれは、このことがどのようにして最善に達成されうるかを探求するため、世界銀行がIMFとともに他の先進国及び開発途上国と協議することを希望する。

 先進国と開発途上国の福利は相互に結びついている。先進国の成長が開発途上国を利するように、開発途上国が繁栄に向かうことは先進国に利益を与える。先進国と開発途上国は全世界の安定的経済成長に資する状況を維持していくことに共通の利益を有している。

 
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