海上の安全保障

ギニア湾における海賊問題の現状と取組

平成30年2月7日

1 ギニア湾における海賊等事案発生状況(注)

(1)最近の発生数の推移

  • ギニア湾における海賊等事案の発生数の推移

(注)海賊等事案には公海上で発生したもの(海賊)及び領水内で発生したもの(武装強盗)の双方を含めています。

2 ギニア湾海賊・武装強盗の最近の動向

  • (1)2017年のギニア湾海賊等事案発生件数は45件(前年同期比-10件)。45件のうち,ハイジャックは0件(同-3件),乗り込み事案は29件(同-2件),未遂事案は9件(同±0件),銃撃事案は7件(同-2件)となりました。
  • (2)事案発生海域はナイジェリア沿岸が中心です。
  • (3)乗組員等を長期間拘留して身代金を要求するソマリア海賊とは異なり,ギニア湾海賊の乗っ取り及び乗り込みの目的は,積荷及び金品盗取を目的とした武装強盗や,身代金目的の乗組員の誘拐等,様々です。積荷の盗取では,主としてタンカーが積載する石油製品(ガソリン,ジェット燃料等)を標的としています。

3 国際社会による取組

(1)国連による取組

ア 安保理決議第2018号(2011年10月31日採択)

 ギニア湾で行われている海賊行為及び武装強盗を非難。アフリカ地域機関に対して包括的戦略の策定と,連携協力を促す。国連評価ミッションの派遣を歓迎。

イ 国連事務総長評価ミッション報告書(2012年1月)

 海賊対策のための地域首脳会合の開催と国連による支援,地域諸国による陸上からの監視・情報収集能力の向上,船舶認証システムの利用,国際社会による物的支援等を勧告。

ウ 安保理決議2039号(2012年2月29日採択)

 国連評価ミッション報告書を歓迎,右履行を奨励。

(2)G7による取組

ア G7++ギニア湾フレンズ・グループ

2013年,当時のG8議長国・英が,ギニア湾における海賊等の海上犯罪に対する各国・国際機関の取組の重複を防止し,協力を行うための調整メカニズムとして創設しました。ヤウンデ行動指針(下記参照)の実施に向けた協力取組等について議論を行っており,G7,欧州諸国,ギニア湾諸国,国際機関,海運団体等が参加しています。

イ G7外相会合共同コミュニケ(2017年4月)

2012年以降,外相会合議長声明等でギニア湾に言及されており,2017年4月の「G7ルッカ外相会合共同コミュニケ」においても,海賊対策について次のとおり言及されています。
「我々は,海賊行為及び海上武装強盗,海洋空間での国境を越えた組織犯罪及びテロ,人身取引,移民の密輸,武器及び麻薬の取引,違法・無報告・無規制(IUU)漁業,並びにその他の違法な海上活動に対する非難を改めて強く表明する。我々は,海における実行される違法な活動との闘いを追求する中での,国及び地域のオーナーシップの重要性を再確認する。我々は,ソマリア沖海賊対策コンタクト・グループ(CGPCS),G7++ギニア湾フレンズ・グループ,アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)によってなされた取組,並びにEU,NATO 及びその他の多国間海上作戦や独自の派遣国によって達成された成果を称賛する。我々は,既存の極めて重要な地域における海洋安全保障の改善において,引き続き鍵となる,国及び地域の取組,並びにそれらのオーナーシップを支援するためのより全体的なアプローチを追求することにコミットする。地域協力メカニズムは,海洋安全保障強化のための活動を,それらの設立文書の範囲を最大限活用しつつ,継続させるべきである。」

(3)各国・機関による取組の例

ア フランス

早くからギニア湾海賊問題を国際社会で指摘(G8平和構築専門家会合,仏語圏国際機構(OIF)サミット他)。セネガル,ガボン,カメルーン,ギニア及び赤道ギニアにおいて,能力構築強化プログラムを実施。

イ 米国

2011年から毎年1回ギニア湾沿岸国等と沿岸警備共同訓練(OBANGAME EXPRESS)を実施。

ウ 英国

仏と共にギニア湾における海上情報共有ネットワークの構築に取り組んでおり,両国海軍共同でギニア湾における事案の報告メカニズムを運営。

エ EU

2013年1月から,ギニア湾沿岸国の海上保安能力強化のため,ギニア湾重要海上航路プログラム(CRIMGO)を開始。

オ 国際海運4団体(BIMCO/ICS/Intertanko/Intercargo)

ギニア湾海賊対策,自衛指針案を策定(2012年12月,ソマリア沖・アデン湾海賊とは異なる注意点があることを強調)。

(4)アフリカ自身による取組

ア 中・西部アフリカにおける海賊,武装強盗及び海上不法行為の防止に係る行動指針(ヤウンデ行動指針)(2013年6月署名)

国際海事機関(IMO)の支援を受け,中部アフリカ経済共同体(ECCAS)及び西アフリカ経済共同体(ECOWAS)によって策定され,閣僚級会合において採択。2013年6月にカメルーンで開催されたギニア湾海上安全に関する首脳会合において,中・西部アフリカの22か国(内陸国を含む)が署名。

イ その他

ギニア湾沿岸国間による海賊・武装強盗の共同監視(カメルーン,ガボン,赤道ギニア,サントメ・プリンシペ),及び2012年から合同パトロール(ナイジェリア,ベナン)を実施。

4 我が国の取組

(1)IMO中・西部アフリカ海上安全信託基金への拠出

中・西部アフリカ諸国の海上安全保障能力構築に向けたプロジェクトの実施を目的とする,国際海事機関(IMO)の「中・西部アフリカ海上安全信託基金」への100万ドルの資金拠出を通じ,ギニア湾の海上安全保障向上に貢献してきています。

(2)第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)(2016年8月)

ナイロビ宣言:「我々は,海賊,違法漁業及びその他の海上犯罪を含む海洋安全保障に関する地域的及び国際的な取組を促進すること,及び海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映された国際法の原則に基づく,ルールを基礎とした海洋秩序を維持することの重要性を強調する。我々は,また,海洋に関する国際法に従い,アフリカ統合海洋戦略(AIM戦略2050)に反映された,国際的及び地域的な協力を通じて,海洋安全保障及び海上安全を強化することの重要性を強調する。」

ナイロビ実施計画:「海賊や武装強盗に対する海上安全及び海洋安全保障を強化し,海上保安に関わる人々の能力構築により,海事法の遵守を強化する地域的,大陸的,国際的な取り組みを支援する。」

(3)海上法執行能力の向上支援

海上保安庁がJICAの枠組みを通じて,アジア・アフリカ等の海上法執行機関の指揮官クラスを招へいし,海上犯罪の取締能力向上を目指す研修を実施しており,2017年度の研修に,ギニア湾諸国から初めてナイジェリア(2名)が参加しました。


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