前文
| (1) |
「OECDコーポレート・ガバナンス原則」(以下「原則」という。)は、OECD加盟国及び非加盟国がコーポレート・ガバナンスに関する法令、制度及び規制の枠組みを改善する際に役立てること、並びに証券取引所、投資家、企業等に助言することを目的としたものである。
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| (2) |
会社が良いコーポレート・ガバナンスの原則をどの程度備えているかは、その会社に投資(特に、国外からの投資)をするか否かの意思決定がなされる際に、ますます重要な要因となっている。
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| (3) |
OECDにおける議論を通じ、コーポレート・ガバナンスのあるべき姿に単一のモデルは存在しないが、良いコーポレート・ガバナンスには幾つかの共通要素があることが確認された。「原則」は、このような共通要素に基づき、現存する様々なモデルに適合するように作られている。
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| (4) |
「原則」においては「ボード(board)」という語が使われているが、これは、各国の様々な制度を包含する概念として用いられている。監査役会としてのボードと取締役会としてのボードが別々に並立される二元的な制度においては、「原則」にいう「ボード」は監査役会としてのボードを指す。他方、一元的なボードが内部監査機関により監督される制度においては、「原則」にいう「ボード」は、ボードと内部監査機関の両方を指す。なお、「原則」は、特定のボード制度を推奨するものではない。
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| (5) |
「原則」は、拘束力を有さず、また、このまま国内法令化することを意図したものでもない。更に、「原則」は、状況の進展に応じて見直されるべきものである。
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| I. |
株主の権利
「コーポレート・ガバナンスの枠組みは、株主の権利を保護するようなものであるべきである。」
| A. |
保護されるべき基本的な株主の権利は、株式を譲渡すること、会社関連情報を適時・定期的に入手すること、定時株主総会に参加して議決権を行使すること、ボードの構成員を選出すること、会社利益の配当を受けることを含む。
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| B. |
株主は、定款等の変更、新規株式の発行、実質的に会社の売却につながる特別の取引といった会社における重要な意思決定に参加し、それにつき十分に情報を与えられる権利を有する。
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| C. |
株主は、定時株主総会に実効的に参加し、定時株主総会における議決手続きなどの規則につき情報を与えられるべきである。
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| D. |
特定の株主に対し保有株式数からみて不釣り合いなほどに会社を支配する力を付与するような資本に関する情報は、開示されるべきである。
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| E. |
会社支配に関連する資本市場は、透明かつ効率的な方法で機能するように整備すべき。
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| F. |
機関投資家を含む株主は、議決権を行使することのコストとベネフィットを考えるべきである。
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| II. |
株主の公正な待遇
「コーポレート・ガバナンスの枠組みは、少数株主や外国人株主を含む全ての株主に対して公正な待遇を保証するようなものであるべきである。」
| A. |
同じクラスの株主は、議決権などに関して全て等しい待遇を受けるべきである。
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| B. |
インサイダー取引及び自己売買の悪用は、禁止されるべきである。
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| C. |
ボード構成員及び経営者が取引における重要な利益又は会社に影響を及ぼす事項を開示することを求められるようにすべきである。
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| III. |
コーポレート・ガバナンスにおける利害関係者の役割
「コーポレート・ガバナンスの枠組みは、法で定められた利害関係者(ステークホールダー)の権利を認め、また、会社と利害関係者が富と雇用を創出し、企業を財務面で健全であり続けさせるについて積極的に協力することを促すようなものであるべきである。」
| A. |
コーポレート・ガバナンスの枠組みは、法律によって保護されている利害関係者の権利が尊重されることを保証するものであるべきである。
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| B. |
利害関係者の利益が法律によって保護されている場合には、利害関係者は、権利の侵害に対する効果的な補償を得る機会を付与されるべきである。
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| C. |
コーポレート・ガバナンスの枠組みは、利害関係者による参加のメカニズムが拡充していくことを可能にするようなものであるべきである。
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| D. |
コーポレート・ガバナンスのプロセスに参加する利害関係者は、関連情報を入手できるようにすべき。
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| IV. |
情報開示と透明性
「コーポレート・ガバナンスの枠組みは、企業の財務状況、業績、所有及びガバナンスを含む会社に関する全ての重要事項の適時かつ正確な情報開示を保証するようなものであるべきである。」
| A. |
開示対象は、例えば次の事項にかかる重要事項を含むべきである。
| (1) |
企業の財務及び事業活動の結果
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| (2) |
企業の目標
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| (3) |
主な株式保有者と議決権
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| (4) |
ボード構成員及び主な経営者、並びにそれらの報酬(個別額又は合計額)
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| (5) |
予見できる重要なリスク要員
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| (6) |
従業員その他の利害関係者に関する重要な事項
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| (7) |
ガバナンスの体系及び方針
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| B. |
情報は、高いレベルの会計基準、財務・非財務の情報開示基準及び監査基準に従って準備し、監査の対象とし、また、開示すべきである。
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| C. |
毎年の監査は、財務諸表が外部から客観的に保証されるようにするために、独立した監査人によって行われるべきである。
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| D. |
情報伝達のチャネルは、関連情報が公平、適時かつ費用対効果の高い方法で利用者に届くようなものであるべきである。
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| V. |
ボードの責任
「コーポレート・ガバナンスの枠組みは、会社の戦略的ガイダンス、ボードによる経営陣の効果的なチェック、並びにボードの会社及び株主への説明責任(アカウンタビリティ)を保証するようなものであるべきである。」
| A. |
ボード構成員は、十分な情報を受けた上で、誠意をもって、会社と株主の利益のために行動すべきである。
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| B. |
ボードの決定が特定の株主のグループと別の株主のグループとで別々の影響を与える場合、ボードは、全ての株主を公平に扱うべきである。
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| C. |
ボードは、法律を遵守し、利害関係者の利益を考慮すべきである。
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| D. |
ボードは、次のような事項を含む主要な機能を果たすべきである。
| (1) |
会社の戦略、リスク方針、年次予算当のレビューと方向付け、業績目標の設定、業績のチェック、並びに主な資本取引の監督。
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| (2) |
主な経営者の選出や要すれば交代。
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| (3) |
主な経営者及びボード構成員の報酬のレビュー、並びに正式で透明なボード構成員の指名手続きの確保。
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| (4) |
経営陣、ボード構成員及び株主に会社との利害関係の不一致があるか否かのチェック。
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| (5) |
監査の独立を含む会社の会計及び財務報告制度における倫理(インテグリティ)の確保等。
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| (6) |
ガバナンスにかかる慣行の効率性のチェック。
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| (7) |
情報開示及び意志疎通のプロセスの監督。
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| E. |
ボードは、特に経営陣から独立した立場から、会社にかかるものごとにつき客観的な判断をすることができるようにすべきである。そのため、ボード構成員の中には経営陣に属していない者が十分な数だけ含まれる必要がある。また、ボード構成員は、ボードにおける責任を果たすために十分な時間を費やすべきである。
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| F. |
ボード構成員は、その責任を果たすため、正確、適切かつ時宜を得た情報へのアクセスを有するべきである。
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