ODA50年の成果

世界に貢献する日本のODA PHOTO:東ティモールの農村の子どもたち
  東ティモールの農村の子どもたち。日本は農産物の品質改善と多様化による地域の復興と開発を支援している

 援助の量から見た世界への貢献
<主要DAC加盟国の援助額の推移(1956~2003年)>
図:主要DAC加盟国の援助額の推移(1956~2003年)
  (出典):2004年DACプレスリリース、2003年DAC議長報告
注: (1)東欧向けおよび卒業国向け援助は含まない。
(2)1991年および1992年の米国の実績値は、軍事債務救済を除く。
(3)2003年については、日本以外は暫定値を使用。
(4)改訂により、発表当時の数値と異なる場合がある。

 日本は、1954年のコロンボ・プラン加盟以来、自らの経済発展の経験を生かしながら、途上国援助を行ってきました。
 その間、経済的実力の向上とともに援助量を拡大させていき、1991年から2000年までの10年間は、援助額で世界第1位にありました。
 日本がこれまでODAを供与したことのある国・地域は計185カ国・地域に及び、援助総額は2210億ドルに上ります(ともに2003年までの累計)。また、援助を受け取る側から見たときに、日本がその国にとって最大の援助国になっている国が多数あります(2002年時点で40カ国)。
 ほんの一部にすぎませんが、日本がこれまでどのような援助を行ってきたか、いくつかの例を紹介します。

●経済・社会インフラ
 インドネシア、タイ、ベトナム、スリランカで、それぞれの国の発電設備総容量のうち約2割の整備に協力しています。
●水
 1996年度から2000年度の5年間で、4000万人以上の人々に対して安全で安定した飲料水を提供し、あるいは衛生的な下水道の整備を支援しました。これはDAC加盟国全体の水分野での協力の3分の1にあたります。

●医療
 1993年から2001年までの9年間に6億人の子どもにポリオ・ワクチンを供給。特に2000年に達成された西太平洋地域(中国、ラオスなども含む37カ国・地域)のポリオ根絶に関しては最大の貢献をしました。

●人材育成
 1954年度から2003年度までに、累計で約7万人の専門家、2万5000人の青年海外協力隊員を日本から途上国に派遣し、途上国からは27万5000人の研修員が来日して技術指導を受けています。

PHOTO:エチオピアで井戸掘り技術者を養成 PHOTO:バングラデシュで子どもにポリオワクチンを投与
エチオピアで井戸掘り技術者を養成 バングラデシュで子どもにポリオワクチンを投与


PHOTO:農村での識字教育
日本がUNHCR、国連開発計画(UNDP)と連携して行ったカンボジア難民再定住・農村開発プロジェクト。農村での識字教育
 また、日本のODAは、国際機関を通じても実施されていますが、そこでも日本は大きな役割を果たしています。
 日本は1950年代から国連や世界銀行をはじめとする国際機関への資金の拠出を開始し、多くの機関で理事国として各機関の政策決定や運営に寄与してきました。日本が最大の資金拠出国となっている国際機関には、アジア開発銀行(ADB)、アジア生産性機構(APO)、国連工業開発機関(UNIDO)、アフリカ開発基金(AfDF)などがあります。資金面だけでなく、人的貢献の面でも、2004年7月現在、国連教育科学文化機関(UNESCO)の松浦晃一郎事務局長、国際電気通信連合(ITU)の内海善雄事務総局長、ADBの千野忠男総裁、APOの田島高志事務局長などが活躍しています。かつては国連難民高等弁務官(UNHCR)の緒方貞子氏をはじめ、国連カンボジア暫定機構事務総長特別代表、ユーゴスラビア問題事務総長特別代表、人道問題担当事務次長などを歴任した明石康氏、世界保健機関(WHO)事務局長の中嶋宏氏の例がありました。
 国際機関を通じた援助は、国際機関の専門的知見が生かせる、政治的中立性が保てる、政府ベースの援助が届きにくい国や地域への支援が可能であるといった利点があり、日本は、二国間援助と効果的に組み合わせて援助を実施してきました。


 日本のODAに対する途上国の評価
<ASEAN諸国での対日意識調査>
図:ASEAN諸国での対日意識調査
*2002年に外務省がASEAN6カ国で行った調査による。
 
 過去50年にわたり、途上国への開発援助に地道に取り組んできた日本に対して、多くの国からさまざまな形で感謝や信頼の意が寄せられています。
 たとえば近年では、2003年12月に東京で開催された日本・ASEAN特別首脳会議で、ASEANの経済発展に対して日本が果たした役割について、各国の首脳から高い評価が与えられました。2003年9~10月に同じく東京で開催された第3回アフリカ開発会議(TICADIII)に参加した多くのアフリカ諸国の首脳も、あらゆる機会をとらえ、日本への信頼感や感謝の意を表明しました。
 また、アラブ世界に大きな影響力をもつエジプトのムバラク大統領は、スエズ運河拡張など、1970年代からの日本の貢献についてしばしば言及し、謝意を表明しています。
 そのほか、1998年に来日した中国の江沢民国家主席(当時)が、日中共同宣言のなかで、日本がこれまで中国に対して行ってきた経済協力について感謝の意を表明したことなど、こうした例は枚挙にいとまがありません。
 そして、このような評価は、政府関係者だけでなく、途上国の一般国民の間でも共有されています。

PHOTO:小学生からの感謝状 PHOTO:日本のODAで完成した新校
日本のODAで完成した新校舎と小学生からの感謝状(フィリピン)


 日本の安全と繁栄の確保とODA

 以上のように日本のODAは、50年間にわたって開発途上国の経済・社会開発に大きく貢献し、また、総体として高い評価を受けてきました。こうした日本のODAは日本自身にとってはどのような意味をもつのでしょうか。
 諸外国との貿易や投資から恩恵を受け、資源や食糧をかなりの割合で海外に依存する日本にとって、平和で安定した国際環境は必要不可欠な要素です。ODAは、途上国の経済・社会開発を促すことで、その国のみならず日本にとっても必要な国際社会の安定の確保にも役立ちます。
 それだけでなく、日本がODAを活用して国際社会の主要な課題の解決に取り組み、主導的な役割を果たしていくことは、日本が国際社会から厚い信頼を獲得することに加え、途上国との友好関係の増進、国際社会における日本の立場や発言力の強化につながり、ひいては日本の安全と繁栄にも結びついていきます。
 国際社会と連携・協調することで多大な利益を得ている日本は、今後も、ODAが残してきた成果を守りつつ、効果的な援助の実施に向けて、引き続き最大限の努力をしていく必要があるといえるでしょう。


前ページへ

次ページへ
 Contents
[ODA50年の成果]
●世界に貢献する日本のODA...4
東アジアの経済発展と日本のODA...6
   column/中国に対するODA
人づくりにおける貢献...8

ケーススタディ・日本のODA
ガーナ・野口記念医学研究所...10
タイ・東部臨海開発計画...11
[ODA50年の歩み]
体制整備期/1954~1976年...12
計画的拡充期/1977~1991年...14
政策・理念充実期 (旧ODA大綱期)/1992~2002年...16
新たな時代への対応 (新ODA大綱)/2003年~...18
  column/OECD-DAC援助審査に見る日本のODA50年