平成20年度 あなたの目で見る国造りの現場 ODA民間モニター報告書 Official Development Assistance
タンザニア連合共和国 United Republic of Tanzania
1. ダルエスサラーム市キノンドーニ区オロフ・パルメ孤児教育センター拡充計画
(草の根・人間の安全保障無償資金協力)
視察プロジェクト概要
実施年度
供与限度額
実施機関
平成18年度
976万3,671円
オロフ・パルメ孤児
教育センター(NGO)
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伊藤大使と
UNDP紺野親善大使
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女子寮引渡式
実施目的
必要性
 タンザニアには約240万人の孤児がいるといわれている。オロフ・パルメ孤児教育センターは様々な理由で両親を失い、劣悪な生活を強いられている各地の少女を保護し、中等教育を提供することを活動目的としている。
 タンザニアにおいては、同センターのように中等教育を提供する孤児施設は少なく、多数の孤児が同センターへの入寮を希望していたが、寮施設の不足、生活用水確保の困難さから受入を制限していた状況にあった。また、既に入寮している孤児の一部は、ベッドを2人で共有するような環境で生活していた。生活用水はため池や雨水貯水タンク(5,000L)の水を利用していたが、水質の問題から飲料用水は購入する必要があり、これが同センターの財政を圧迫していた。
事業概要
 女子寮2棟(96人収容・1棟212m2)の建設、2段ベッド購入(96人分)、井戸1本の掘削、井戸用電気ポンプの購入、運動場465m2の整備を実施した。 イメージ

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効果  女子寮の建設により新たに96人の孤児を受け入れることが可能となった。既存の寮(96人収容可能)と併せ、現在102名の孤児が入寮しており、安全で快適な生活の場を得ることが出来るようになった。来年は新たに40人程度を受け入れる見込みであり、将来的には180人程度の孤児を受け入れる予定である。また井戸が新規に設置されたことにより、孤児や職員が、清潔で安全な水を容易に得ることができるようになった。
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完成した女子寮
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運動場
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2段ベット
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※ UNDP紺野美沙子親善大使との合同視察及び女子寮引渡式が行われました。
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モニターからの意見・感想
伊勢谷 修
 孤児教育センターに入るなり、孤児達による歌の歓迎を受けました。人懐っこくて明るい彼女たちは、初めて訪れた私達モニターに対し、親愛の情を一生懸命表してくれました。今回の支援の対象は、女子寮建設、井戸設置、運動場の整備です。決して立派とは言い難いものですが、それでも彼女達は自分一人でベッドに寝ることができるようになったこと、思い切り遊ぶことができる運動場ができたことを喜んでくれていました。この程度のものでこんなに喜んでくれるなんて、というのが私の正直な感想でした。関係者から寄せられた課題「女子寮の運営費不足」に対する解決策の提示を、支援の次のステージとして検討していく必要があると思われます。
原 朋弘
 日本が新しく援助した寮や運動場の引渡し式で、孤児院の生徒たちが歌を歌ってくれた。その歌詞の中に、「私たちがお礼にあげる物はないけど、感謝の気持ちでいっぱいです。」という一節があった。この式のためにオリジナルの歌まで用意して感謝の気持ちを表してくれたと思うと、とても感動した。
 生徒の中には、以前ストリートチルドレンをしていた子もいた。そうした生徒たちが今は、みんな笑顔で一生懸命勉強している。普通の生活ができ、勉強ができること、それがこんなに感謝され、夢や笑顔を与えてくれるものだとは知らなかった。その夢・希望がこうした施設に入ることができない子にも与えられ、勉強や生活というスタートラインが平等になるよう、これからの支援があってほしい。
近藤 那子
 生徒達と実際に話して感じたことは、彼女達が教育を受けることで希望を持っているということだ。将来の夢を尋ねると、医者や科学者など志を高く持つ生徒が多い。しかし、孤児院に来るまではストリートチルドレンであったなど悲惨な生活をしていた生徒がたくさんいるようだ。このような施設がなければそのままつらい生活を続けていたのかと考えると、この援助が本当に必要とされているものだと分かる。校長先生は、生徒達が自立した女性となり、最終的に他の人を助けられるようになることを望んでいる。その言葉通り生徒達が、将来国を良くするために貢献できたなら日本の援助が真に生きるのではないかと思う。
上野 豪
 この施設で彼女たちは元気に生活し、よく勉強をしているようだった。
 また、彼女たちが教育を受けられるようになったことを喜び、そのことに感謝していることが印象的であった。何故なら、当然のこととして義務教育を受けてきた私のような者にとって、初等・中等教育を受けてきたことに対してそういった思いを抱いたことはなかったからだ。彼女たちの話を聞き、教育の重要性を実感した。
 その教育を受けるための施設をODA事業の一つとして支援していることは、素晴らしいことだと思った。このセンターの補充により多くの生徒が余裕を持ち、健康で安定した生活を送れるようになったのではないかと思う。
中嶌 真理子
 白いブラウスに鮮やかな水色のスカートの制服は、孤児院の赤土によく映えた。将来の夢は?と尋ねると今まで少し恥ずかしがっていた女生徒達が一斉に手をあげ
 「将来は産婦人科医になりたい」
 「私は飛行機の整備士になりたい」
と胸を張って答えたのには頭が下がる想いだった。
 孤児院に入るまでの彼女達のバックグラウンドは想像を絶するものだろう。だが少なくともこの孤児院では安心して夢を持てる環境が整っている。そんな環境を整えることが教育水準向上のための第一歩なのだと確信した。
 しかし、日本の学校施設の支援と孤児院の豊かな教育の産物であるこのような環境も持続のための運営費という点では行き詰る。各国ODAの教育分野への取り組み例を活かし、持続性への模索が急務である。
久保 智美
 門に着くなり、生徒の皆さんが歓迎の歌で出迎えてくれた。寮のテープカットでは一斉に歓声が起き、この事業がどれだけ待ち望まれたものであったかが伝わってきた。
 可愛い布団、毎日使用可能なシャワー、思い切り体を動かすことができる運動場。皆さん笑顔で満ちていた。このセンターに来るまでに、それぞれ辛い思いをされてきたはずだ。生徒さんの中には元ストリートチルドレンの方もいる。その時と比較すると安心・安全な生活環境がある。
 それ以前に自分の居場所があるということが大きな意味を持っている気がする。今はひとりひとり、夢に向かって頑張っていた。現在だけではなく未来へと続く場所作りのサポートとなっていた。
阪上 博明
 主幹道路から日本ではもう見られなくなった穴ぼこだらけの未舗装の道路を車で約15分走ると、オロフ・パルメ孤児教育センターがあった。到着すると、生徒全員が校門から列を作り、歌で出迎えてくれた。
 引き渡しの式典で彼女たちのダンスや歌の後、我々モニターは手話付きの歌をプレゼントした。喜んでもらえたのは間違いない。
 その後の生徒たちとの意見交換会では、「清潔な水が飲めるようになった」「いい環境で勉強が出来る」「教育をしっかりと受けられる」などの意見が出た。また将来の夢を聞くと医者・法律家・建築技術者・教師・飛行機の整備士など多種多様であった。今回、立派な物的支援の現場に立ち会った。今後の人的支援にも期待する。
太田 美穂子
 「宝物は何ですか。」というモニターの質問に一人の学生が「教育を受けられることです。」と答えた。思いもよらないその答えに私は衝撃を受けた。この答えこそが日本のODAがいかに役立っているかを物語っているだろう。ある女の子は、この施設に入る前ストリートチルドレンだったという。様々な事情がある子達なのであろうが、そんなことを微塵も感じさせない明るくはきはきした様子で移動中私たちに屈託なく話しかけてきた。マラリア対策の蚊帳用フックがある新しい寮の部屋、新規の井戸掘削による安全な水の確保、ネットボール用のコート等、日本の支援が彼女達に希望を与えている現場を目の当たりにすることができた。
池本 恭代
 「教育は宝物」、「教育を受ければ、困難と闘える」。この2つの言葉は視察中に生徒から聞いた言葉である。教育現場にいる者として深く心に残っている。
 私達が当然のように享受している、住環境、運動できる場所と機会、飲み水、そして教育が、安全で安定した生活を送ること(すなわち「人間らしく生きる」こと)にとって必要不可欠であると改めて感じた。
 日本とタンザニア。教育環境は変わっても、教育の大切さは変わらないはずである。この視察で、「生徒に『困難と闘える力』を育てているだろうか。」と教師としての自分を振り返ると共に、ODAがタンザニアの教育に地道に貢献していることを実感できた。
小松 遼貴
 孤児院を訪れ、女生徒達と話をした。とても目がキラキラしていたのがとても印象的だった。
 1人1人が自分のベッドを手にする、清潔な水を手にする、運動場で友人とスポーツをして楽しむ・・・日本の学生寮や学校ではまず当たり前のものがそこにはなかった。だからこそこの援助は彼女達にとってとても有意義なものであったはずだ。しかしまだ孤児院にすら入れない子供達の為にも援助を続けるべきだと思った。
 そして意見交換会では彼女達が皆立派な夢を持っていた。実現はむずかしいと思うが、孤児院卒業後の彼女達の支援もできる日が来る事を願う。
渡邉 翼
 センターに着くと、生徒の皆さんが私たちを素晴らしい歌で迎えて下さった。
 新しい寮の寝室の天井には、蚊帳を吊るすためのフックが取り付けてあった。また、清潔を保つための新しいシャワー室や、ストレスを発散することが出来る運動場も出来た。
 これらの支援には、日本ならではのきめ細かな気遣いが表れている。日本は住む場所だけではなく、生徒の視点に立ち「人間らしい生活」と「安心」を提供している。私たちにとって「当たり前」のことが、彼女達にとって大きな意味を持っていると感じた。
 新しい寮が彼女たちを笑顔にさせ、明日の生活を心配せず勉強に集中できる環境をサポートしている。そう考えると、この事業に、未来への大きな希望を感じる。
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