ODAメールマガジン/2006年7月5日発行 第94号

 ODAメールマガジン第94号は、パキスタンから「パキスタンの紹介」「パンジャブ州モデル県識字行政改善プロジェクト」をお届けします。

パキスタン地図

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New!ODAホームページ新着情報
アルジェリア民主人民共和国のアルジェリア国立図書館に対する一般文化無償資金協力について ODAホームページ
パキスタン大規模地震復興のためのノン・プロジェクト無償資金協力の起工式について
イラク(サマーワを含むムサンナー県)における草の根・人間の安全保障無償資金協力の実施について
ウクライナのソロヴャネンコ記念ドネツク・オペラ・バレエ劇場に対する一般文化無償資金協力について
モンゴルの「第三次初等教育施設整備計画(第3期)」に対する無償資金協力について
イラク(ムサンナー県)における草の根・人間の安全保障無償資金協力について
新時代のODA実施体制作り(新JICAの制度設計のポイント)
マケドニアの「第ニ次一次医療機材整備計画」に対する無償資金協力について
第7回ODA出前講座 開催報告(クレオ大阪西)
イラクのサマーワ大型発電所建設計画着工式の実施について
技術協力に関する日本国政府とザンビア共和国政府との間の協定の署名について
アフガニスタン麻薬対策信託基金への拠出に関する緊急無償資金協力について
モルディブに対する円借款の供与について
政策評価法に基づく事前評価書(モーリタニア)
バングラデシュに対する円借款の供与について
無償資金協力(入札結果等の公表)(平成17年度)
バングラデシュの「コックスバザール及びケプパラ気象レーダー整備計画(第2期)」に対する無償資金協力について
ホンジュラス共和国に対する無償資金協力について
エチオピアの「南部諸民族州給水計画(第2期)」に対する無償資金協力について
政策評価法に基づく事前評価書(エジプト)
政策評価法に基づく事前評価書(パラグアイ)
マリ共和国政府に対する無償資金協力について
シリアの「地方都市廃棄物処理機材整備計画(第1期)」に対する無償資金協力について
スーダン・ダルフール地域における人道支援に対する緊急無償資金協力について
「ODA総合戦略会議」第26回会合の開催について
エクアドルの国際ラテンアメリカ情報高等研究センターに対する一般文化無償資金協力について
エクアドルの「イバラ市上水道整備計画(第二期)」に対する無償資金協力 について
パラグアイの「アスンシオン大学病院移転及び整備計画」に対する無償資金協力について
ナイジェリアに対する無償資金協力(「クロスリバー州及びアクワ・イボム州地方電化計画」)について
ブータンの「教育施設整備計画」に対する無償資金協力について
モーリタニア・イスラム共和国政府に対する無償資金協力について
エジプトの「エルマハラエルコブラ浄水場施設改善計画」に対する無償資金協力について
カメルーンに対する「第四次地方給水計画(第1期)」ほか1件に対する無償資金協力について
カメルーンの国立アマドゥ・アヒジョー総合スタジアムに対する一般文化無償資金協力について
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 なお、このODAメールマガジンでは、ODAの現場で働いている人々や実際にODAを視察した方々の生の声をお伝えしておりますので、本メルマガに掲載されている意見は執筆者個人の意見であり、政府の立場を示すものではありません。


パキスタンの紹介 原稿執筆:在パキスタン日本大使館 志村 和信 書記官

 パキスタンは世界第6位の人口約1億5千万人を擁し、国土面積は日本の約2倍、有名なインダス川をその国土に抱くイスラム世界及び南アジアの大国です。パンジャブ州、シンド州、北西辺境州、バロチスタン州の4つの州に、パンジャブ人、シンド人、パターン人、バローチ人という4つの異なる民族が暮らす多民族国家でもあります。

 パキスタンは、国内総生産(GDP)の約4分の1、就労人口の約4割強を農業が占め、一人あたり国民総生産(GNI)は800ドル強、貧困層が国民の約4分の1の開発途上国です。多くの日本人にとっては、パキスタンはあまりなじみのない国かもしれませんが、有名なインダス文明遺跡のモヘンジョダロ、仏教文化のガンダーラなどはパキスタンにあります。また、昨今、テロというイメージの強いこの国ですが、そこに住む人々は実にホスピタリティにあふれた人々です。

インダス文明−モヘンジョダロ遺跡
インダス文明−モヘンジョダロ遺跡

 パキスタンの人々は、遠くの地から訪れてくれた友人をもてなすことが当然と考えているようで、私も多くの州や地方を訪れましたが、お肉(鶏、羊、山羊、水牛など様々ですが豚肉は御法度です。)をたっぷりと使ったパキスタン料理(鉄鍋を使ってカレーを水分がなくなるまで蒸し煮にした「カライ」、土鍋で煮込まれて鍋ごと出される熱々の料理である「ハンディ」などを「ナン」や「チャパティ」と一緒に食べます。おいしいですよ。)を快く振る舞ってくれる暖かさをいつも感じます。

パキスタン料理(シシカバブ等)
パキスタン料理(シシカバブ等)
街角の果物売り
街角の果物売り

 この様な人々が住むパキスタンに対して、我が国は、援助目標を「持続的社会の構築とその発展」と設定し、パキスタンが持つ潜在力を有効に活用することにより発展を持続させるべく、人が最低限の権利として享受すべき教育や保健・医療分野への支援や市場経済の活性化と貧困削減を支援する経済インフラの整備などへの支援を行っています。
 支援にあたっては、大使館、JICA、JBIC、そしてJETROの四つの組織からなる現地ODAタスクフォースが中心となって、パキスタン政府との調整や実際の現場調査、さらには他のドナー諸国との支援調整など、経済協力の現場で汗を流しています。

日パ友好トンネル−コハット・トンネル(円借款)
日パ友好トンネル−コハット・トンネル
(円借款)
大使館員によるポリオ撲滅キャンペーンへの参加(無償資金協力)
大使館員による
ポリオ撲滅キャンペーンへの参加
(無償資金協力)

 そんな我が国の支援に対する感謝の意味を込めてか、パキスタン政府は、2005年1月、日本からのODA50周年を記念する切手を発行してくれました。
 切手のデザインには、我が国の協力で完成し、現地で「日パ友好トンネル」として知られているコハット・トンネルや、援助の現場で活躍している日本人専門家・協力隊員の姿が採用され、我が国援助の実績をパキスタン国内に広くアピールするものと同時に、援助に携わる我々にとって大変励みとなるものになりました。

対パキスタンODA50周年記念切手シート
対パキスタンODA50周年記念切手シート


パンジャブ州モデル県識字行政改善プロジェクト 原稿執筆:JICA専門家 小出 拓己 プロジェクト・アドバイザー

 学校はどこにあるのか、先生や生徒はどこにいるのか――
 パキスタンでの識字率向上にとって最大の問題の一つが、この透明性の問題でした。

 パキスタンの識字率は53%、すなわち国民の約半分が読み書きを満足にできません。
 義務教育が徹底され、すべての子供が学校に通うようになれば、非識字の問題は自然に解消されるのですが、学齢期の子供が就学する割合は約50%ともいわれています。
 パキスタン政府は一般小学校のみならず、日本の寺子屋に良く似た「ノンフォーマル小学校」なども活用し、すべての子供が就学できるよう努力しているところです。

子供と遊ぶノンフォーマル小学校の先生
子供と遊ぶノンフォーマル小学校の先生
ノンフォーマル小学校の授業風景
ノンフォーマル小学校の授業風景

 一方100%を達成するためには、何が100%かを知る必要があります。日本のように住民登録や戸籍制度があるわけでもなく、また点在する集落がどこにあるのかを示す地図も無い状況では、いくら予算をつぎ込んでもザルに水を注ぐようなもの。
 学校に行けないのは誰なのか、学校がどこに設置されたのかも不明ということでは、義務教育の達成は到底不可能です。

世帯調査の様子
世帯調査の様子

 パンジャブ州モデル県識字行政改善プロジェクトでは、このように不透明な事業運営を改めるため、モデル4県において国勢調査のような全世帯調査を行いました。
 調査に当たっては、3000人の調査員が2週間にわたり100万世帯を訪問し、識字と教育レベルに関する全住民約600万人の情報と全集落の地理情報を収集しました。
 これらのデータは『識字マネジメント情報システム』として統合され透明性の高い計画・実施が実現されています。

プロジェクトで製作された集落地図――非通学児童がどこに何人いるかが人目で確認できる
プロジェクトで製作された集落地図――
非通学児童がどこに何人いるかが人目で確認できる

 また県レベルでは、マネジメント能力のみならず住民とのコミュニケーション能力のある人材を養成し、識字行政の強化を進めているところです。
 成果に励まされた州政府は、今年度、残る31県でも同様の取組みを独自に開始しています。

学校をモニターする県識字局の職員
学校をモニターする県識字局の職員


編集・発行 外務省経済協力局(〒100-8919 千代田区霞が関2-2-1)

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