広報・資料 ODAメールマガジン

ODAメールマガジン/2006年1月11日発行 第82号

 皆様、明けましておめでとうございます。本年も外務省経済協力局政策課・広報班は、世界各地で日本のODAのために頑張る人達の生の声をこのメルマガで皆様にお伝えしていきますので、どうぞ宜しくお願い致します。

 さて、ODAメールマガジン第82号は、平成17年度ODA民間モニター・ベトナム班から「平成17年度ODA民間モニターからの報告」、バングラデシュから「顔が見える援助から声が聞こえる援助へ」「人々の意識と行動を変える、ダッカの挑戦」と、「住民主体の持続的な砒素対策をめざして」をお届けします。


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New!ODAホームページ新着情報
日本NGO支援無償資金協力(平成17年度の交換公文締結日別 ODAホームページ
ガーナに対する無償資金協力(貧困農民支援)について
セネガルに対する無償資金協力(食糧援助)について
東ティモールの「モラ橋改修計画(詳細設計)」に対する無償資金協力について
リベリア政府の「小児感染症予防計画」のためのユニセフに対する無償資金協力について
インドネシア・ジャワ島における洪水・地滑り被害に対する緊急援助について
インドの「ウッタール・プラディシュ州地下水開発計画」に対する無償資金協力について
「パキスタン・イスラム共和国における建設機械技術訓練所機能向上計画(詳細設計)」のための無償資金協力について
パキスタンに対する緊急震災復興支援のための円借款の供与について
政策評価法に基づく事前評価書(パラグアイ共和国)
マリに対する無償資金協力(貧困農民支援)について
パラグアイに対する円借款の供与について
平成18年度予算について
エジプトに対する円借款の供与について
スマトラ沖大地震及びインド洋津波被害二国間無償資金協力に関する中間評価報告書(要旨(PDF)
スマトラ沖大地震及びインド洋津波被害二国間無償資金協力に関する中間評価報告書(全文(PDF))
ガボン共和国に対する債務救済措置(債務繰延方式)について
無償資金協力におけるコスト縮減目標の設定について
平成17年度無償資金協力(入札結果等の公表)
ボスニア・ヘルツェゴビナの「第三次一次医療施設医療機材整備計画(第2期)」に対する無償資金協力について
ザンビアに対する債務救済措置(債務免除方式)について
平成17年度ODA民間モニター報告書(伊藤信太郎外務大臣政務官への提出)
イラク(ムサンナー県)におけるサマーワ市民生局に対するゴミ処理機材の供与式について
国際緊急援助隊参加者に対する外務大臣感謝状の授与について
パレスチナ自治政府立法評議会議員選挙に対する緊急無償資金協力について
パラオの「ペリリュー州北港整備計画」に対する無償資金協力について
ODAメールマガジンは、ODA政策や様々な情報をタイムリーにお届けします。
また、外務省ホームページODAコーナーでは、新着情報を次々と更新しておりますので、是非ご覧下さい。
  ODAホームページ
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index.html


 なお、このODAメールマガジンでは、ODAの現場で働いている人々や実際にODAを視察した方々の生の声をお伝えしておりますので、本メルマガに掲載されている意見は執筆者個人の意見であり、政府の立場を示すものではありません。


平成17年度ODA民間モニターからの報告 原稿執筆:平成17年度ODA民間モニター・ベトナム班 吹田 三奈斗さん
写真

 まず、ODAは援助というより協調であると感じた。
 例えば、ベトナムに石炭があり、日本に炭鉱ガスの安全管理技術があるならば、それらを互いに与え合って協力することはごく自然なことである。
 ベトナムの場合、多くの案件においてgive and takeの関係が成り立っており、ODAは外交であると強く実感した。

 第二に、顔の見えない援助などない。
 私も例に漏れず、資金援助はお金を出しているだけというイメージがあった。
 しかし実際は、有償・無償・技術協力全てにおいて、必ず日本人が現地でベトナム人と一緒に働いており、インフラ整備の場合も、技術移転だけでなく、効率的な作業の仕方といったソフト面もベトナム人に伝えようとしている。
 ベトナム人はその現場の日本人を通して日本を見て感じ、日本や日本人に親しんでいるのだ。

 第三に、インフラ整備こそ経済発展にとって重要である。
 確かに欧米が日本を非難するように、草の根で医療・教育等貧困削減に力を入れることも当然大切である。
 ただ、それらの援助が実効性を持つためにはインフラを整備して、民間や外国の資本を呼び込み、雇用が創出されたり農業が活発になったりして地域が活性化することによって、地域全体が底上げされることが必要なのである。

 そして最後に、国連や他の援助国との連携が必要である。
 特に、援助が実効性を持つ基盤を整えるために、今後、国連の役割が非常に重要になるだろう。
 それは世界中を民主主義にするということではなく、被援助国政府が国民を傷つけない形でそれを使うようにするということである。

 これは国連だからこそ担える役割で、日本は率先して、ガバナンスの分野での国連の活躍をサポートするために諸援助国を束ねていくべきである。

 ベトナム人の喜びや笑顔、日本に対する感謝や尊敬に触れ、ODAにより二つの国が近づいているのは確実だと率直に感じた。
 国民がODAのことを正しく理解することで、国民同士の心も通い合ったODAになりますように。



顔が見える援助から声が聞こえる援助へ 原稿執筆:在バングラデシュ日本大使館 紀谷 昌彦 参事官

 バングラデシュは、東西パキスタンの内戦を経て1971年に独立した国です。
 洪水やサイクロンなどの相次ぐ自然災害を乗り越えて、近年は毎年約5%の経済成長を続けています。

 しかし、1億4千万人以上の国民の約4割は、依然として1人1日1ドルの貧困ライン以下にあり、多くの人たちは十分な医療や教育も受けられません。
 日本はバングラデシュに対してどのような援助を行っていくべきなのでしょうか。

ガジプール県の小学校。教師1人当たり生徒数は平均約70人。
ガジプール県の小学校。
教師1人当たり生徒数は平均約70人。

 バングラデシュの特徴の一つは、多数の国や国際機関、内外のNGOが開発援助や事業を行っており、関係者間の援助協調が盛んなことです。
 援助の「実験場」や「見本市」ともいわれます。
 そのような中で、バングラデシュが援助に依存し続けることなく、自らのイニシアティブで開発を軌道に乗せるよう自立を促していくことが大切になります。

 昨年10月、バングラデシュ政府は4年間の準備作業を経て、貧困削減戦略文書(PRSP)を決定しました。
 このPRSPは、政府を中心に幅広い協議プロセスを経て策定されたもので、今後の開発援助の基礎ともなるものです。

 日本は、PRSP案に対して自国の経験と知見を踏まえたコメントを積極的に伝えるとともに、その内容と策定時期に合わせて国別援助計画の改定作業を行っています。

 更に、援助総額の約8割を占める世銀・アジア開発銀行・英国・日本の共同戦略の枠組みを構築し、相互に連携・補完しながら、効果的・効率的に援助を実施するための体制を整えました。

昨年11月に政府は貧困削減戦略実施フォーラムを主催。
昨年11月に政府は貧困削減戦略実施フォーラムを主催。

 このような援助の実施と政策関与の中核となるのは、現地の大使館及びJICA・JBIC・JETRO事務所で構成される「現地ODAタスクフォース」です。

 組織を超えてセクター毎にチームを編成し、様々な援助手段を動員して、先方政府、国際機関、NGO、研究者、企業関係者等と緊密に連携しながら支援に取り組んでいます。

 また、ウェブサイト、メールマガジン、メーリングリストや、定期的な勉強会を通じてのオープンな情報共有・意見交換も推進しています。

定例の開発援助勉強会には幅広い関係者が参加。
定例の開発援助勉強会には幅広い関係者が参加。

 自立を促し成果を上げるためには、援助を通じて日本の「顔」を見せるのみならず、日本からの「声」をきちんと伝えることが重要です。
 どうすれば開発を実現できるのかという大切な問題について、日本だけが実施して終わりにするのではなく、バングラデシュ政府や援助国・機関など多くの関係者にわかりやすく説明・発信し、共同での取り組みを進めることによって、成果を大きく広げることが出来ます。

 援助協調の先進国バングラデシュでは、中央・現場レベルの双方で日本の「声」を伝えることを通じて、日本は着実に存在感を強め、評価を高めています。

日本・ユニセフ共同の現地視察では、村をあげての感謝を受ける。
日本・ユニセフ共同の現地視察では、
村をあげての感謝を受ける。

(バングラデシュ現地ODAタスクフォース)
 http://www.bd.emb-japan.go.jp/bdmodel/(他のサイトヘ)



人々の意識と行動を変える、ダッカの挑戦 -バングラデシュ国ダッカ市廃棄物管理計画調査- 原稿執筆:JICAバングラデシュ事務所 所員 武士俣 明子 さん

 街中いたるところで高層ビルやマンションの建設が進み、道路には日本車が溢れ、市場には商品が豊富に並んでいる。

 ミシミシと音がするような都市の発展が肌で感じられる、バングラデシュの首都ダッカ市。
 人口は570万人(ダッカ首都圏1300万人)、人口密度は43,000人/平方キロメートル(東京23区の3倍以上)の世界有数の人口密集都市だ。

 一方で、貧しい農村部から職を求めて移動してくる人々が後を絶たない。
 人口増加と無秩序な都市拡大が加速している。

ゴミが河川を汚染する。
ゴミが河川を汚染する。

 人が生活すれば必ずゴミが発生する。
 毎日大量に発生するゴミの管理は、ダッカ市が抱える深刻で緊急の課題の一つだ。
 現在、市が収集するゴミは実際に発生しているゴミ量の約43%にしか満たない。

 置き去りにされたゴミは、街の衛生状況を著しく悪化させている。
 また、雨季にはゴミが排水溝に詰まって浸水を引き起こし、上水道の原水でもある河川の水質汚染の原因ともなっている。
 都市活動全体に関わる問題なのである。

 ゴミの負の影響を最も受けやすいのは、条件の悪い地域に肩を寄せ合うように暮らす貧困層の人々である事実も見過ごせない。

居住環境を脅かすゴミ。
居住環境を脅かすゴミ。

 将来はますます深刻になるであろうダッカのゴミ問題に対し、JICAは2003年12月に技術協力(開発調査)を開始した。
 ダッカの都市環境の改善を目指して、市職員と日本人専門家が協力してゴミ管理の将来計画を作成し、計画を実行に移す取り組みを二人三脚で行っている。

住民と議論しながらゴミ収集方法を考える。 住民と議論しながらゴミ収集方法を考える。
住民と議論しながらゴミ収集方法を考える。

 ゴミ問題を解決する上で最も重要で最も難しいのは、人々のゴミや衛生に対する意識を高め、行動を変えること。
 協力事業では、まず、排水溝や道に捨てたゴミが、自分たちの生活や環境にどう跳ね返ってくるか、住民に理解してもらうところからスタートした。

 家庭から出たゴミをコミュニティで収集する方法について、住民と議論を重ねた。
 子供たちは街をきれいにするキャンペーンのマスコットを考えた。
 意識を高める仕掛けの一つとして、各コミュニティのゴミに対する取り組みを競い合うコンテストを行った。
 試行錯誤の取り組みの中で、徐々にではあるが、住民たちがゴミを自分達の問題としてとらえ始めていることを感じる。

各家庭の協力が重要。
各家庭の協力が重要。
コミュニティでゴミを収集する。
コミュニティでゴミを収集する。

 ダッカ市の職員の意識も変わってきている。
 経験や能力はまだ不足しているが、「ゴミを管理する」考え方と自分たち行政の使命を理解し始めている。
 協力の過程の中で、もともと市の組織の中に存在しなかった、ゴミ管理のための部署が設立されたことは大きな一歩だ。

子供達の笑顔のために。
子供達の笑顔のために。

 ゴミは社会を映す鏡。
 ダッカの社会の仕組みを尊重したゴミ管理の将来計画は、2005年3月に出来上がった。
 今後も、計画に基づく市の取り組みと住民の意識向上への支援が必要とされている。

 時間はかかるが、自助努力を引き出しながら、粘り強く共に前進していくのが日本の技術協力。
 安全に健康に暮らせる都市を次世代の子供たちに残すため、ダッカの挑戦はこれからも続いていく。



住民主体の持続的な砒素対策をめざして 原稿執筆:持続的砒素対策プロジェクト・チームリーダー 川原 一之さん、アジア砒素ネットワーク

 マルア村のロケヤ・ベグムさんは右手の半分がない。
 皮膚がんを切除したためだ。
 しかも手のひら全体がざらざらと荒れている。
 砒素中毒にかかっていることを示す症状である。

 ロケヤさんの夫とその弟は、この2年の間にがんで死んだ。
 もう1人の弟も肺がんにかかって、首都ダッカの病院に入院している。
 近所に住んで、同じチューブウエル(管井戸、深さ30メートル)の水を飲んだ一族は、砒素中毒にかかり、がんにおかされた。
 飲み水に、高濃度の砒素が含まれていたからである。

ロケヤさんの右手の皮膚がん
ロケヤさんの右手の皮膚がん
皮膚がん切除後
皮膚がん切除後

 JICA(国際協力機構)は2002年から3年間、宮崎市に本部のあるNGOアジア砒素ネットワークに委託して、ジョソール県シャシャ郡(人口30万人)で総合的な砒素対策を実施した。

 三日月湖の水を緩速ろ過で浄化する簡易水道などを設置し、約3万人に安全な水を供給し大いに喜ばれた。
 ところが、プロジェクトが終わって半年後、簡易水道の利用者から悪臭がするという苦情がでた。
 養殖業者が、魚の成長を促進するために、三日月湖に大量の肥料を投入したせいだとわかった。
 水源をきれいに保つことの必要性が理解されていなかったのだ。

 黄河、レッドリバー、メコン川、エーラワディー川、ブラマプトラ川、ガンジス川などアジアの大河流域で、砒素に汚染されたチューブウエルが見つかっている。

 地層の砒素が地下水に溶け出しているためだが、そのメカニズムは解明されていない。
 世界銀行の報告書によれば、危険な水を飲んでいる住民は6000万人、砒素中毒患者は70万人におよぶ。

 もっとも汚染のひどいのが、ガンジス川とブラマプトラ川の合流点にできた国、バングラデシュで、約3500万人が砒素の汚染水を飲んできた。
 バングラデシュ政府は国際機関やNGOの協力のもとで、これまでに10万7000か所に代替水源施設(雨水貯水、池の水浄化、砒素除去、深井戸など)を設置した。

 ところが前述の簡易水道の例のように、多くの施設で水質が悪化したり、使われなくなったりしている。

砒素に汚染されたチューブウエル
砒素に汚染されたチューブウエル
池の水を砂ろ過装置で浄化して利用する
池の水を砂ろ過装置で浄化して利用する

 安全な水を継続して供給するためには、住民の主体性を育てて、地方行政の能力を高めることが必要だ。

 バングラデシュ政府の要請をうけたJICAは、昨年12月、「持続的砒素対策プロジェクト」を開始した。

 アジア砒素ネットワークが、専門家を派遣して3年間のプロジェクトを運営し、砒素対策のモデルづくりをめざす。
 対象エリアはジョソール県内の2郡、ロケヤさんの住むマルア村も含まれている。

(アジア砒素ネットワーク ホームページ)
 http://www.asia-arsenic.jp(他のサイトヘ)
(アジア砒素ネットワーク バングラデシュ ホームページ(英語))
 http://aan-bangladesh.com/(他のサイトヘ)



編集・発行 外務省経済協力局(〒100-8919 千代田区霞が関2-2-1)

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