広報・資料 ODAメールマガジン

ODAメールマガジン/2006年10月12日発行 第100号

 ODAメールマガジン第100号は、インドから「インドにおける日本の開発援助」「インドにおける草の根活動」をお届けします。

インド地図

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 なお、このODAメールマガジンでは、ODAの現場で働いている人々や実際にODAを視察した方々の生の声をお伝えしておりますので、本メルマガに掲載されている意見は執筆者個人の意見であり、政府の立場を示すものではありません。


インドにおける日本の開発援助 原稿執筆:在インド日本大使館 寺崎 寛之 一等書記官

1.世界最大の貧困国インド

 皆さんは「インド」と聞いて、どんなことをイメージするでしょうか。一昔前までは、「カレー」「ターバン」という答えが口を揃えて返ってきたでしょうが、今では「IT大国」という答えもそれに混じってきそうです。「BRICs」なんていう言葉をご存知の方も多いと思います。確かに、インドは「IT大国」や「BRICs」というイメージに代表されるように、めざましい経済発展を続けています。しかしその一方で、インドは依然として世界全体の3分の1もの貧困人口をかかえる世界最大の貧困国でもあるのです。

 街を歩けば、家もその日食べるものもないで、座り込んでいる人達をたくさん見かけます。田舎に行けば、電気どころか満足に水も手に入れられないような生活をしている人もたくさんいるのです。インド政府は、経済発展とともに貧困削減を国の大きな目標として掲げており、様々な政策を実施しています。わが国も、ODAというかたちでインドにおける貧困削減に貢献しているわけです。

2.円借款を中心とした対印ODA

 日本のインドに対する援助は、円借款を中心に行われています。無償援助・技術協力もJICAを通じて積極的に行われていますが、インドという大きな国においては、多くの資金を必要とする大型事業が特に開発上有効であると考えられることから、ローン形態による援助が中心となるわけです。インドは日本にとって3年連続で最大の円借款供与国であるとともに、日本はインドにとって最大の援助国でもあります。さらに付け加えれば、日本の円借款第1号が供与された国もインドでした。

  インドに対する円借款は、電力、運輸、上下水道、灌漑、植林等、様々な分野の事業に対して供与されています。電力、運輸といった経済インフラに対して資金提供を行い、経済成長を促進してインド経済全体の底上げによる貧困削減を目指すというのが、日本の援助の基本的なスタンスといえるでしょう。ただし、経済全体の底上げから取り残されてしまいかねない農村部や貧困層に対しては特別な配慮が必要ですので、灌漑、植林等の直接裨益が期待できる事業を行っています。上下水道、植林等、環境保全にも力を入れています。

3.デリーメトロ事業

 対印円借款事業の代表例といえるのが、デリーメトロ事業です。急激に人口が増加して交通渋滞や環境悪化が深刻となっているデリーでは、公共都市交通の整備は緊急の課題であるといえます。日本はこのデリーメトロ第一期事業に対して1600億円以上の資金を提供するとともに、第二期事業に対しても資金提供を継続して行っています。デリーメトロ開通式典で、マンモハン・シン印首相は、デリーメトロ事業を国家的な誇りであると紹介するとともに、日本の援助に対する大きな感謝の意を表明しました。

 デリーメトロ事業が円借款事業の中でも特に優れた事業であると評価されている理由はたくさんあります。予定の工期よりも短い期間で事業完成に至った点(インドではとても稀なことです)、土地収用の際に地域住民に対してきめの細かい対応を行いトラブルがほとんど起きなかった点などがインドでも高い評価を受けています。

 それに加えてここでは、JBICとデリーメトロ公社が共同で行っているエイズ予防キャンペーンをご紹介したいと思います。一般的に途上国では、工事現場における出稼ぎ労働者へのエイズ感染が深刻な問題となっています。JBICはデリーメトロ公社と協力して、労働者に対するエイズ関連情報の説明・コンドームの無料配布といった予防活動を行い、デリーメトロ事業でのエイズの拡大を防いでいます。

 このような活動は、大きな資金が必要となるものではなく、現場のちょっとしたアイデアで事業自体に大きな付加価値を加えることの出来るものです。これからますます、こういった現場レベルでの工夫が重要になってくるのではないでしょうか。



インドにおける草の根活動 原稿執筆:在インド日本大使館 成田 由香子 外部委嘱員

 現在、在インド日本大使館で、日本のODAの一つ、草の根・人間の安全保障無償資金協力の外部委嘱員として働いています。草の根・人間の安全保障無償資金協力は、例えば、初等・中等教育の普及、保健医療の促進、安全な飲料水の確保など、住民の基本的な生活に欠かせない分野(Basic Human Needs)を中心とした事業に対して支援するものです。事業を実施するのは、草の根レベルで活動している非営利団体(NGO(日本のNGOを除く)、教育・医療機関、地方公共団体等)です。特にインドには非常に多くのNGOが存在し、地域の社会経済開発における活発な活動の様子を知ることが出来ます。

 主な仕事としては、申請事業の審査、実施事業のモニタリングや事後評価等を行っています。その中で行う現地視察は、事業のニーズ調査、実施事業の状況確認や成果に関する評価を行い、現地の状況を理解する上で非常に重要です。ここで、実施中の事業について現地視察の経験も踏まえて一部簡単にご紹介します。

 ラジャスタン州ジョドプル県において実施中の「タール砂漠にあるピパール地区における基礎保健医療提供計画」は、対象地域の医療サービスが行き届かない農村地域において、貧困住民を対象とした総合病院を建設するものです。

 ラジャスタン州はインド国内で住民の健康状況が劣悪な州の一つで、対象地域には貧困層住民が多く住み、適切な医療サービスを受けることがほとんどできない状況でした。そこで実施団体(NGO)が地域で唯一の総合病院を運営し、貧困住民に対して医療活動を展開していましたが、施設が手狭で、増加する患者数に対応できない状態だったため、草の根・人間の安全保障無償資金協力によって新たな病院を建設し、より多くの患者を受け容れることができるようになります。 

写真 病院が完成すれば、より多くの患者(年間外来患者約15,000人)を治療することが可能となる予定です。

 この事業の実施中に現地視察を行いましたが、病院建設が計画どおり進んでいることを確認した他、地域における実施団体の医療活動の役割は非常に大きいことを認識しました。同団体は、病院内の他に村での巡回医療も行い、患者を廉価な費用(あるいは無料)で治療し、眼鏡や薬品、必要な場合は食事や宿泊を無料で提供しています。これは普段医療サービスを受ける機会がなかった遠隔地の村の貧困層住民には大きな助けになっています。

写真 白内障手術を受けた女性患者(年齢70歳)からは、「64キロメートル離れた村から(実施団体の)送迎バスでたった一人でやってきた。この病院に来た時、空腹だったので食事を与えてくれたし、眼の治療を受けることができて、とても助かった。」との声を聞きました。

 また、新たな病院が建設されれば、ここを基点にして、住民に対して健康に関する意識啓発や、医療関係者の人材育成など新たな活動を展開し、農村地域全体の包括的な健康状況の改善を図る予定です。これらのことから、同事業は、より多くの患者に対して医療活動を行うと共に、地域全体の医療サービスの促進及び住民の健康促進に貢献することが期待されます。



編集・発行 外務省国際協力局(〒100-8919 千代田区霞が関2-2-1)

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