(問) |
両大臣とも今回の会議は大変成功とおっしゃられたが何がどう成功であったのかもう少し詳しくご認識をお聞かせ願えますか。
|
(大木大臣) |
やはり共通の問題について、これだけ各国の首脳クラスが集まってとにかく議論しました。議論のための議論ではなくてプログラムを作って実施しようということですね。それを自分たちの共通の問題として取り上げて、約190の殆どの国が来て、首脳が100人くらい集まりました。それだけ熱心に、我々の地球というものを守っていかなければならないということを共通の課題と認識して、それだけの時間と労力を費やしてプログラムを作ったということですから、それが成功だと思います。よいスタートができた、或いは、リオの前から考えれば、また新たに十年、二十年動き出すための一つのきちっとした目標ができたと言うことでは成功であると思います。
|
|
(川口大臣) |
私も大木大臣と同じように、これだけの数の世界の首脳の人たちが集まって、またNGOの人やこの持続可能な開発に関心を持つ人が集まって、この問題の重要性を認識して発信をした、それからこれからやりましょうということで共通の意思としてそれを持ったということが非常に意味があったということが一つ。それからもう一つは今回の会議というのは非常に行動指向的な会議であるということですね。実施文書、plan of implementationというのに合意をして、これには目標や目標年次が入っている部分がかなりあるわけですし、それから各国が「これをやります」という、タイプ2と言われる文書ですけれども、それをどんどん発表していった。今日日本も私とパウエル長官と一緒に水についての日米共同イニシアティブというのを発表しましたけれども、そういったことがどんどん出てきているというのが特色であったと思うんですね。そういう意味で非常によいサミットであったということです。
|
(問) |
行動指向であったと川口大臣がおっしゃりましたが、実施計画のとりまとめに当たっては日本として飲めない、反対して盛り込まれなかった部分もあると思いますが、実施計画については、数値目標や実施年限の面で後退したとの批判もありますが、このサミットを受けての日本として飲めない項目についても取り組んでいかなければいけないと思いますが、このサミットを受けて日本としての課題はどのようなところにあるか、両大臣のお考えをお聞かせ願います。
|
(大木大臣) |
数値目標乃至目標年限については、はっきりとそれに向かって前進することがいいものについては、半減するとか、何年までにやるとか、きちっと数字で出していますから、今まで以上により具体的になったと思います。それから、実現できないような数字を掲げて、数字を出しただけ、書くだけで安心しているよりは、むしろもっと現実的な書き方がいいと思うものもあります。それから数字について、なにをやるかという中身が国によって、現実に厳密に規定できないとなると、それに対する数字もなかなか作りにくいわけですから、そういうものはこれから詰めていく問題であると思います。
10年、20年に1回のこういう会議はそうたくさんあるわけではないが、いろいろ関連の会議があるんですね。砂漠化についても砂漠化の条約があるし、京都議定書についても毎年会議があるし、数字は10年とか20年の一回の会議ばかりでなく、毎年の会議の中で詰められるものについては詰めていけばいいと思います。
|
(川口大臣) |
この実施文書に盛り込まれた目標年次については、日本としてはこれをきちんとやっていくということです。具体的に、実際の行動に翻訳しにくいことがありますよね、たとえば2010年に生物多様性の劣化を反転させる、これは世界中の国で努力する話なので、日本としてそのために何をやるかということについては、例えば、大木大臣がおっしゃったように、これからそれぞれ考えていく必要がある部分もあると思います。これは、今後、国際的な場でレビューをしていきましょうということですから、日本なりに日本のプログラムを作ってやっていくということだと思うんですね。
それから、その関連で再生可能エネルギーの数値目標について日本が反対したではないかというお話があると思いますが、日本として反対したのは、一律の数値目標ということがエネルギー政策の性格からいって合わない、おかしいということから反対したわけで、我が国として、たとえば再生可能エネルギーについて何年にどのぐらい増やしましょうというそれなりの計画は持っているわけですから、我が国は我が国としてそういう数字を持ってやるということです。あの場で反対したのは、それが全部の国に一律に、たとえば先進国は2パーセント増とか、世界全体として15パーセントとか、それが問題だと言ったと、そういうことです。
|
(問) |
大木大臣に質問です。この会議の後半、欧州連合は、京都議定書を批准していないロシアに対して、近く正式な代表団を送って協議をすることを検討していることを明らかにしましたが、大木大臣にお聞きしたいのは、批准国が未批准国に対して批准を呼びかける、代表の派遣など具体的な方法でロシアなどに批准を呼びかける計画はおありでしょうか。
また、川口大臣には、会議から外れて大変申し訳ないのですが、本日再び不審船の事件が日本近海で起こったわけですが、特に小泉総理が訪朝を控えている今ということを踏まえて、この事件に対する大臣及び外務省の対応を聞かせてください。
|
(大木大臣) |
ロシア等に対する呼びかけについては、例えば皆で一緒に大挙して呼びかけるということではなくて、きちっとそれぞれの立場から説明できればいいと思います。例えばカナダで開かれたG8の場でもロシアに申し入れていますし、だんだんにいろいろなところから申し入れはしているし、強く申し入れています。必ずしも全部一緒に呼びかけなければいけないということではなくて、日本は日本の立場でロシアに対して、こういうことで早くやったほうがいいですよと説明を尽くして申し入れることはずっとしています。私も今回こちらへ来る前にロシアに寄って、日本のロシア大使とも話をして状況を聞きましたし、今回またロシアの首相が来て、その進行状況について一所懸命やっていると説明しています。また、例えば京都議定書について言いますと、またCOP8もあるわけですから、あらゆる機会をとらえて強く申し入れをしているということでいいと思います。みんなで一緒に行ってプレッシャーをかけることが果たしていいかどうか、こういうものはものの言い方もあるしやり方もあります。私も環境大臣として、向こうの環境省と、やはりロシアも早く批准をした方が京都議定書に基づいていろいろな協力が進められるわけですからロシアにとっても経済的にプラスになるということは何回も言っています。そのことは向こうも否定してません。ただ、ロシアについて時間がかかるのは、国内事情もあります。政府部内ですぐやるけれども立法府の手続にちょっと時間がかかる。しかし、年内に、いつ批准できるかという見通しははっきり言えるんじゃないかということは、私もロシア側のいろんなところから聞いています。
|
(川口大臣) |
もう一つのご質問についてですが、おっしゃったように今日、不審船の疑いのある船が発見されたということで、その確認を今やっているということです。この船は、発見されたときには我が国の排他的経済水域の外側にあって動いているということでした。したがって我が国の排他的経済水域の中で我が国の法律に違反するということをやったということではない。私はずっと会議に出ていましたが、今の時点でもおそらくまだ確認作業をやっている、見ている状況が続いていると理解しています。
小泉総理の訪朝との関係ですが、不審船の疑いのある船ということで、我が国としてそれを確認できたわけではないということでして、訪朝については粛々と準備を進めるということです。
|
(問) |
先ほどの再生可能エネルギーについてもう一つ聞きたいのですが、これについてはアジェンダ21に書きぶりは別として同じようなことが書かれているわけです。今回は行動志向ということであれば、数値目標の設定というのがある意味で理想的な姿の一つではないかと思うのですが、先ほど川口大臣は一律の数値目標には反対といわれましたが、日本が再生可能エネルギーに対する取り組みを積極的にやっているということも理解した上での質問なのですが、であればこそ日本としての新たな提案というのがあるべきではないかと、それが環境外交でのリーダーシップを発揮するということではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
|
(大木大臣) |
日本政府全体として考えなければならない問題であると思うのですけれども、先ほども川口大臣がおっしゃいましたように、一律ということについては、各国はエネルギー事情が非常に違っており、先進国だけではなく途上国の間でも議論がありました。それぞれの国が自主的に計画を作ってそれを進めるということでいいのではと思います。日本でも国内的にはいろいろと作っています。各国ともEUの国を含めて、いろいろな意味でエネルギー政策を見直しているところですから、それはそれで見直した上で、またきちっと国内的に数値目標を立てればいいと思います。いろいろな数字をたくさん作ってそれが各国の政策を促すと言うことではなくて、自主的にきちっとしたものを作っていればいいと思います。renewable energyということは、京都議定書との関連で強く言われていることですが、京都議定書については各国が数値目標を持っていますから、それはそれでいいと思います。しかし、エネルギー政策は完全に環境だけのことを考えて作れるものではなく、各国の産業政策とも関連あるわけですから、それを無視して作るわけにもいきません。京都議定書の目標はそれぞれについて議定書の中で設定されていますから、それをできるだけ早くやるということでいいのではと思います。実は日本の場合も、計画を作っていますが、2年あるいは5年経ったら計画自体を見直す、いろんな施策についても見直すことになっています。その成果も見ながら、これでは不十分ということであれば、今のrenewable energyばかりでなく、いろいろな経済政策、例えば税制の見直しとかそういうことも含めてやっていくことになります。各国が自分の実情に応じて、しかし全体としては前向きに、ということを実施計画の中で言っています。ただ数値は必ずしも具体的には示されなかったということはあります。あくまで、前向きにやるということ、もう一つは、京都議定書で少なくともCO2の排出量といった大きなところでは数字が出ているわけですから、その中でやっていこうということだと思います。
|
(川口大臣) |
今大木大臣がおっしゃったことを数字の面で補足させていただきますと、経済産業省の総合資源エネルギー調査会というところで、長期の需給見通しを日本は作っているわけです。その需給見通しの数字ですと、再生可能エネルギーは1999年で4.9パーセントですから5パーセント近い数字になっていまして、それを我が国の計画、見通しでは、2010年に7パーセントにしようと、そういう計画といいますか見通しを持っているわけです。それはちゃんと我が国として数字を持ってやろうという意志があるわけです。
それから、現に太陽光発電の発電量でいきますと、世界の太陽光で発電された電力の4割以上は、実は日本でやっているわけですね。ですから我が国の再生可能エネルギーのコミットということについては、非常にはっきりとしたものがあります。これは各国もそれはよく分かっていますし、ですから文言が、今大木大臣がおっしゃったように、英語ではsubstantially increaseとなっているわけですが、増やしていこうという姿勢をきちんとそこで出しているわけです。
先ほども言いましたように、各国一律というのはおかしいでしょうということを言っている、それは、エネルギーをここで議論している所以というのは、エネルギー政策を活用して、あるいはエネルギーへのアクセスを途上国ができるようにすることによって、貧困をなくすことにつなげましょうということが考え方であるわけですけれども、そのときに、では、各国、たとえば太陽が燦々たる所もあれば、風力発電がいい所もあれば、水がいい所もあれば、あるいは省エネルギーをやることが非常にいいという所もあれば、そういうふうにそれぞれの資源の賦与状況ですとか、エネルギーへのアクセスの容易さその他によって、政策が違うんですね。一律の政策というのをやることが決して途上国が貧困を削減するための政策として適切ではないということなんですね。いろんなエネルギーの種類がある中で、再生可能エネルギーだけそういった国情の違いを無視して一律に数字を課すということは、実際に論理的にも正しくないし、実際にやっていくという意味でも難しい。そういうような目標は実際に長続きしないでしょうということであって、前向きに再生可能エネルギーが大事でそれを技術開発も含めてやっていきましょうということについては賛成をしているし、我が国自体はきちんと数字を持ってやろうとしています。 |