「気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合(概要と評価)
(9月15~16日、於:三田共用会議所)
平成16年9月17日
1.概要
本件会合は、日本とブラジルの共同議長(小西外務省地球環境問題担当大使・バルガス外務省環境局長)の下で、世界の温室効果ガス排出量の80%近くを占める主要先進・開発途上国(18カ国及びEC)の政府高官等の参加を得て行われた。
(各国の自由な発言を促すため会合は非公開であり、発言内容は必ずしも公式見解ではないとの前提で意見交換)。(出席者リスト、オブザーバー参加者リスト、専門家会合出席者リスト)
2.評価(主な成果)
(1)科学的分析・知見に基づいた地球温暖化対策の重要性を確認
- 京都議定書の先(2013年~)をも見据えた中長期的な気候変動問題への対応に関し、各国の科学・経済モデル専門家が会合に参加し、客観的な排出見通しや削減可能性をデータ、モデルにより政府関係者に提示のうえ、意見交換を行った。
- これにより政府関係者が今後の国際的な取り組み強化をより具体的、客観的に検討していくための判断材料や取り得る選択肢等が示され、また両者間の相互理解や対話も深まった。
(2)主要開発途上国が、より実質的な取り組みに向けた姿勢を表明
- 今後、温室効果ガス排出の急増が予測されるインド、中国等が、途上国としても温暖化対策のため「注意深い行動」をとっていく必要があるとし、「持続可能な開発」を求めつつそれぞれ固有の取り組みを行う姿勢を見せた。
- 他方その前提条件として、京都議定書の早期発効と先進国による約束履行や、効果的な排出削減技術の移転などの必要性が指摘された。
(3)気候変動の悪影響に対する脆弱性と「適応」措置の重要性を確認
- 特に脆弱性を抱える途上国の関心が強い「適応」(気候変動の悪影響(例:洪水、干ばつ等)に対応するための措置)に焦点をあて、適応と緩和(排出削減)の双方について包括的な形で更なる行動を検討することの重要性につき、大方の合意が得られた。
- 他方、適応の定義や範囲につき現在関係国間で共通認識が確立していないことを踏まえ、今後一層の科学的知見の蓄積と情報交換が必要である旨、多くの参加者が指摘した。
(4)公式の気候変動交渉(COP)プロセス促進に向けた貢献
- 本件非公式会合における率直な意見交換を有益としつつも、その成果を何らかの形で公式のCOP交渉の活性化のための貢献として提示することについて、多くの期待が表明された。
- また12月のCOP10(気候変動枠組条約第10回締約国会議)においてどのようにポスト京都議定書の「将来の行動」に関する議論が扱われるかについては、早急に公式交渉を始めるべしとの野心的意見から慎重論まで分かれたが、「COPの指示を得て関連セミナー等を開催し分析作業を開始する」との提案を含め、更に検討を行う必要性が確認された。
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