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気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)再開会合
(閣僚会合:概要と評価)

平成13年7月23日

1.全体概要

COP6再開会合閣僚会合(議長:プロンク蘭環境大臣)は19日15時に開会し、23日正午、本会議においてCOP決定案「ブエノスアイレス行動計画の実施のための中核的要素」を採択し、同日14時過ぎに閉会した。当初予定の22日より1日遅れの閉会であった。我が国より川口環境大臣、植竹外務副大臣、朝海地球環境問題等担当大使、今野経済産業審議官、浜中地球環境審議官等が出席した。

今次協議は、京都議定書を実施するための具体的ルールにつき昨年11月にハーグで合意を得られなかったため、閣僚級で解決をはかることを目的としていた。主要懸案のうち、昨年ハーグで争点になった吸収源については比較的早く合意が出来たが、遵守問題(排出削減義務の不遵守となった場合の対応)について最後まで各国間の対立が解けず、予定を1日延長して協議が続けられた。

今次会合の結果、京都議定書のいわゆる中核的要素に関する基本的合意が得られ、京都議定書の2002年発効に向けたモメンタムが高まった。特に欧州では、次々に議定書が批准されるものと予想される。但し、今回合意されたルールを実施するための規則や具体的数字を決める細部の作業は依然残されており、今後の交渉に委ねられている。

吸収源に関しては、我が国がこれまで主張してきた吸収量が確保された(我が国の上限値年1300万炭素トン。3.7%分確保)。遵守については、一定の規律につき合意され、焦点となっていた法的拘束力のある規律にするかどうかについては、京都議定書発効後のCOP/MoP第1回会合において、措置されることとなった。なお、我が国が現在行っている気候変動関連途上国支援については極力広報した。

2.各論

(1) 吸収源
 今次会合でも、森林等の吸収源の獲得吸収量をどのような基準で、また、どの程度制限するかが焦点となった。吸収量は一律に制限すべきとの姿勢を崩さないEU、途上国及び小島嶼国と、一律ではなく国別の事情に配慮すべきと主張するアンブレラ・グループ間の対立があったが、閣僚会合前の17日、日加豪露が共同提案を提出し、その後、EU、途上国が柔軟な姿勢を示し、我が国の主張する吸収量を確保することが出来た。また、吸収源CDM(クリーン開発メカニズム)活動についても、EU、途上国は反対していたが、新規植林、再植林については一定の上限値の下、認められることとなった。なお、昨年まで厳しい態度であったEUが一転して態度を軟化させた背景には、ボン会合を成功させ議定書を発効させるため(我が国による締結が不可欠)、我が国に意図的に譲歩したものと見られる。

(2) 京都メカニズム
 他国との間で排出量の売買を認める制度については、それが専ら経済合理的に行いうるようなルールを決定すべしとの我が方等と、環境十全性のためにはむしろ取引を管理すべきであるとのEUとの立場が対立した。削減義務達成のための京都メカニズムの使用については、定性的にせよ上限を設けるべしとのEU側主張は緩和されたが、他方、売りすぎ防止の観点から、排出量取引に係る約束期間の内部留保は90%、又は、直近年の排出量の5倍のいずれか低い方とすることが採用された。途上国の適応措置支援のための京都メカニズムへの課金については、CDM事業に限定し、課金の割合は2%となった。CDM及びJI(共同実施)に関しては、原子力施設から得られるクレジットの使用は差し控える(refrain from)との記述になった。また、CDMに用いられる公的資金は、ODAの流用となってはならないとの記述となった。

(3) 遵守
 我が国、加、豪等が、議定書への出来るだけ限り多くの国の参加を促すとともに、議定書を実施可能なものとすべしとの遵守促進的な制度を主張したのに対し、EUやG77は不遵守の場合の法的拘束力のある措置をとる方式の導入を求めた。採択文書では、各国の遵守に促進的ものとすべしとの我が国等の主張と、法的拘束力のある措置を導入すべしとのEU、G77等の主張のいずれにも解釈可能な内容となり、遵守制度の枠組みに含まれる基本的な要素については今次会合で採択し、具体的なルールは今後の交渉に委ねられることとなる。法的拘束力のある措置にするかどうかについては、京都議定書発効後のCOP/MoP第1回会合において、措置されることとなった。

(4) 途上国関連
 今次会合の結果、枠組条約の下での資金協力として、(i)政治宣言による十分な資金提供のコミット(その意志がある附属書Ⅱ国が行う)及び資金貢献の毎年のレビュー、(ii)特別気候変動基金、最貧国基金の設立等が合意された。また、京都議定書の下での資金供与として、京都議定書適応基金の設立が合意された。技術移転に関しても、専門家グループを設立することが合意された。
 また、一部先進国(EU各国、加、諾、NZ、アイスランド、スイス)は政治宣言により、途上国への協力を強化する旨共同発表したところ、我が国はこれとは別個に、資金援助に関する声明を発表し、互いの宣言を歓迎し合った。同宣言では、我が国からは、毎年平均約24億ドル行っている現在の二国間支援を強調した。一部先進国の共同宣言は、2005年までに毎年4.1億ドル(内訳は、(i)GEFの気候変動関連活動への貢献、(ii)現在の資金レベルに追加的なバイ、マルチ支援、(iii)3つの基金への資金、(iv)CDMからの収益の一部)の貢献を行う用意があること等を表明したものとなっている。

3.評価

(1) 政府代表団は、京都会議の議長国として、京都議定書の2002年発効を目指し、可能な限り多くの合意を目指すとの方針に基づき、合意案形成に最大限の努力を尽くした。いわゆる中核的な要素に関する基本的合意が得られたことは、京都議定書の2002年発効に向けたモメンタムを高めていく上でも大きな意義がある。

(2) 協議を通じて我が国は、費用効果的で持続可能な温暖化対策の推進を可能とする京都メカニズムのワーカブルなルールの作成を目指した。また、特に最後まで協議の対象となった遵守制度については、遵守を奨励する実効性のある制度であり、多くの国に参加の道を開く制度の構築に努力した。また、我が国が現在行っている気候変動関連途上国支援について十分アピールし、評価を得た。なお、川口環境大臣及び植竹外務副大臣は、積極的に二国間会談を行った。

(3) 全ての国が一つのルールの下で行動することが重要との考えに基づき、米国を含めた合意が形成されるよう、米国と緊密な連携を取りつつ交渉を進めた。米国自身も建設的に議論に参加し、積極姿勢を見せたものの、最終本会議での参加者の米国に対する冷ややかな反応に示される様に、孤立している感は否めなかった。我が国としては、今後とも、米国を含めた合意が形成されるよう、日米ハイレベル協議等を通じ、米国の建設的な対応を求めるとともに、引き続き最大限努力していく必要がある。

(4) 京都議定書を実施するための規則や具体的数値を決める細部の作業は依然残されており、今後の交渉に委ねられている。我が国は、京都議定書の2002年発効を目指し、COP7までに最終合意を達成すべく、引き続き全力を尽くすとともに、京都議定書の目標を達成するための国内制度に総力で取り組むことが適当と考える。

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