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気候変動枠組条約第20回補助機関会合(SB20)
概要と評価


平成16年6月25日


I.全体の概要

  1. 気候変動枠組条約第20回補助機関会合(科学上及び技術上の助言に関する補助機関会合(SBSTA)及び実施に関する補助機関会合(SBI))は、16日から25日、ボンで開催された。

  2. 今次会合においては、京都議定書発効の見通しが未だに不透明な中で、気候変動枠組条約発効10周年を記念する12月のCOP10を契機としつつ、いかに気候変動の国際的取組を更に強化し、将来に向けて前進を図るかという強い問題意識の下、各議題について締約国間で率直な議論が行われた。会合全般に関する主な成果は以下の通り。

    (1)国際的取組前進の重要性とCOP10の意義付けを確認

     京都議定書上、2005年までには次期枠組(2013年~)に向けた議論を開始すべしと規定されていることを念頭に、本年末のCOP10はこれに向けた予備的かつ分析的な議論を始める好機と認識された。特にCOP10閣僚級会合では、パネルディスカッション形式により、「条約10周年:これまでの成果と将来の課題」との前向きなテーマの下で政治レベルの突っ込んだ議論が行われることとなった。
     なお、将来の枠組については、各二国間会合や関連研究機関等のサイドイベントでも幅広く議論された。我が国としてもこれらに積極的に参加し、すべての国の参加する共通ルールの構築の重要性を訴えた。また、9月に日伯共催で主要国を招待して東京にて開催予定の「気候変動への更なる行動に関する非公式会合」については、各国や条約事務局から高い関心と日本の指導力への評価が寄せられた。

    (2)京都議定書早期発効の重要性につき認識を共有

     今次会合においては、全体会合を含む種々の機会に京都議定書の早期発効の重要性につき重ねて指摘があった。また、そうした認識の下で京都メカニズムや関連プロジェクトについて、議定書実施に向けた技術的協議も精力的に進められた。

    (3)気候変動枠組条約実施に向けた協力を推進

     各個別議題の下で、条約の着実な実施(途上国支援、国別報告・目録、研究・観測等)や関連する各種方法論につき議論が深まり、一定の前進が見られた。また、今回新たに加わった議題である気候変動に対する「適応」と「緩和」は、将来の枠組に向けた議論に有効なインプットを提供する戦略的議題とされ、ワークショップ形式の意見交換は先進国・途上国間の信頼醸成という観点からも大きく寄与した。


  3. その他、本会合とは別に、日米事務レベル協議を開催し、今後の取組強化や相互協力に関する忌憚のない意見交換を行った他、EU及びその加盟国、伯など途上国とも個別の協議を持ち、上記の各論点を中心に議論を深めた。

II.個別議題の議論

  1. COP10

     COP10は、本年12月6日から17日まで(閣僚級会合は12月15日から17日まで)、ブエノスアイレスにおいてアルゼンチン議長の下で開催されることが合意された。また閣僚級会合の開催形態や議題等の詳細についてもほぼ合意に達した。

  2. 気候変動への適応や緩和(注)に関する科学的・技術的及び社会経済的側面

    今次会合中に開催された専門家等からの発表や意見交換のワークショップを踏まえて、次回会合では、適応に関して、(1)影響や適応策の評価方法・ツール、(2)適応と持続可能な開発とのリンケージにつき、緩和に関して、(1)技術の開発・普及、(2)持続可能な開発に貢献する緩和対策につき、期間内ワークショップを開催し、情報・意見交換をさらに進めることとなった。
    (注) 適応(adaptation): 海面上昇に対する堤防の建設など気候変動による影響への対応
      緩和(mitigation): 温室効果ガス排出削減・吸収増加


  3. 発展途上国問題

     途上国支援に関する各議題(キャパシティ・ビルディング、技術移転、国別報告書作成支援、資金メカニズム、適応、産油国への配慮等)についての議論が行われ、気候変動問題に対処するため更なる支援を求める途上国側と、既存の取組みの効率化を求める先進国側との対立が目立ったが、一部議題につき前進が見られた。しかし、保険制度構築を求める島嶼国や、地球温暖化対策により化石燃料の消費が減ることによる影響緩和が必要として経済多様化支援を求める産油国の主張は各国間で合意に至らず、引き続き議論が継続されることとなった。

  4. 非附属書 I 国からの国別報告書の提出頻度、提出に関する資金支援等について

     非附属書 I 国からの第2回、第3回の国別報告書の提出頻度や提出を支援するための資金等に関して議論が行われ、EU等からは「資金が利用可能になってから3年」、G77及び中国からは「資金が利用可能になってから6年」等の意見が提出された。最終的には、それぞれの案を併記した形のまま、次回会合で議論を継続することとされた。

  5. 小規模吸収源CDM

     COP9で決定した吸収源CDMの方法論等を踏まえ、小規模吸収源CDMの手続きの簡素化等について議論が行われ、ベースライン、モニタリング、リーケージ等の主要な論点につき、我が国方針と大筋で一致する内容で合意した。バンドリング等合意に至らなかった事項及び小規模吸収源CDMの促進策については、COP10での採択に向けSBSTA21で引き続き議論することとなった。

  6. 吸収源の算定手法(IPCC良好手法指針関連)

     京都議定書に基づく附属書 I 国の吸収源目録の算定・報告の手法に関し、COP10において決定すべく、昨年IPCCが採択した吸収源の良好手法指針(LULUCF-GPG)を踏まえた詳細な報告様式が作成された。また、将来に向けた吸収源の取り扱いに関して、今後検討を続けることとなった。

  7. 温室効果ガス排出・吸収目録・京都議定書に基づく報告・審査等

     温室効果ガス排出・吸収目録の審査時における秘匿情報の取り扱いや、吸収源クリーン開発メカニズムの規定を反映した報告・審査ガイドラインの改訂について合意した。また、排出枠やクレジットを登録する各国の登録簿に関して、登録簿管理者間で長期的かつ包括的な協力のあり方を議論していくこととなった。

  8. 研究と組織的観測

     IPCC第三次評価報告書の勧告に対する我が国を含む主要国及び国際研究計画の取組みの紹介が行われ、条約に必要な研究活動の適正評価や社会科学と自然科学の相互作用、途上国の能力向上等について次回以降検討することで合意した。また、地球観測サミットに関するサイドイベントを開催し、GCOSの実施計画策定との連携が強調された。  

  9. 国際航空・海運からの排出に関する方法論

     G77及び中国が、事務局からの当該ドキュメント提示が遅く、十分な検討ができていないことを理由に、議論をSBSTA21に先送りすることを主張したため、方法論に関する具体的な議論に入ることができず、結局SBSTA21において議論することとなった。
(参考)
(注) 補助機関会合は、毎年夏冬2回開催(1回目は6月頃、2回目は締約国会議
(COP)と同時期で例年10~12月頃)。気候変動枠組条約締約国(187カ国及びEC)が参加。補助機関は締約国会議の下部機関であり、以下の2つがある。
(1)実施に関する補助機関(Subsidiary Body for Implementation(SBI)):気候変動枠組条約第10条に基づき設置され、条約の効果的実施(たとえば、事務局予算、資金メカニズム等の問題)を扱う実施に関する補助機関。
(2)科学上及び技術上の助言に関する補助機関(Subsidiary Body for Scientific and Technological Advice(SBSTA)):気候変動枠組条約第9条に基づき設置され、条約に関連する科学的及び技術的な事項(たとえば吸収源、計測等の問題)に関する情報及び助言を提供する補助機関。

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