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地球環境

国連防災世界会議 プログラム成果文書
「災害に強い国・コミュニティの構築:兵庫行動枠組2005-2015」 骨子


I.序文

この会議において、自然の脅威に対する脆弱性を軽減する戦略的、体系的な手法により、災害に強い国・コミュニティを構築する具体的な方法を特定した。

災害による損失は増大し、開発利益を奪い、地球規模の問題となっている。無計画な都市化、環境の悪化、気候変動等により脆弱性が増し、災害は世界の人々や途上国の持続可能な開発をますます脅かしかねない。過去20年間、災害により毎年平均2億人以上が被害を受けている。防災を持続可能な開発や貧困削減の取組みに体系的に取り込む必要性は、今や国際的な認識を得ている。

横浜戦略の点検作業において、防災を持続可能な開発と関連づけ、より体系的に展開し、各国や地方の防災能力の強化を通じて災害に強い国・コミュニティを構築することが主要な課題として浮き彫りとなった。

特定された具体的な課題は次の5分野。a) 防災のための統治力(組織的、法的、政策的な枠組)、b) 災害リスクの特定、評価、観測、早期警報、c) 災害知識の普及、防災教育、d) 災害リスク要因の削減、e) 効果的な応急・復旧への備え

II.期待される成果及び戦略目標

本行動枠組の実施により今後10年で期待される成果は、災害による人的被害、社会・経済・環境資源の損失が実質的に削減されること。この実現のため、次の3つの戦略目標を設定する。

a) 持続可能な開発の取組みに減災の観点をより効果的に取り入れる。
b) 全てのレベル、特に、コミュニティレベルで防災体制を整備し、能力を向上する。
c) 緊急対応や復旧・復興段階においてリスク軽減の手法を体系的に取り入れる。

III.2005-2015の優先行動

全ての国がそれぞれの持続可能な開発と自国内の人々の生命と財産を守るための一義的な責任を有する、コミュニティの防災対応能力を高める、といった一般的配慮事項を定めた上で、5つの分野ごとに、次の具体的優先行動を設定。

1.防災を国、地方の優先課題に位置づけ、実行のための強力な制度基盤を確保する。

国レベルの制度的、法的枠組の整備(多部門間の防災行動の調整を図る国レベルのプラットフォームの設立・強化等)

資源の確保(防災に関わる人材、資金の確保等)

コミュニティの参画(コミュニティレベルの具体的な防災政策の策定、ボランティア資源の戦略的活用等)

2.災害リスクを特定、評価、観測し、早期警報を向上する。

国及び地方レベルの災害リスク評価(リスクマップの整備・普及、災害リスクや脆弱性の評価指標の体系整備等)

早期警報(住民本位の早期警報体制の整備等)

防災能力(災害の研究・観測・予測のための科学技術の振興、組織の整備等)

地域レベルの顕在化するリスク(地域レベルの災害リスク・損失に関する統計データの整備、地域レベルの災害リスクの評価・観測・情報交換・早期警報の提供等)

3.全てのレベルで防災文化を構築するため、知識、技術、教育を活用する。

情報交換(災害に脆弱な地域の住民に対するわかりやすい災害情報の伝達、防災に関わる多様な関係者間の情報交換等)

研究(全てのレベルでの防災行動の社会経済的コスト便益評価手法の確立、気候関連災害リスクに関する脆弱性や影響の評価手法の開発能力の強化等)

意識啓発(防災文化の普及のためのメディアの取組み促進)

4.潜在的なリスク要因を軽減する。

環境資源の管理(ハード・ソフト両面からの総合的な水資源の管理等)

社会的・経済的開発実践(災害に脆弱な地域の食糧の安全確保、保健分野への防災計画の統合、重要な公共施設・インフラの耐震性の向上等)

土地利用計画その他の技術的措置(都市計画、開発プロジェクトの計画過程への防災の取り入れ)

5.効果的な応急対応のための事前準備を強化する。

防災トレーニングによる人材育成、全てのレベルにおける緊急事態対応計画の準備、防災訓練、ボランティア精神に根ざしたコミュニティの多様な関係者の積極的関与

IV.実施とフォローアップ

防災に関わる多様な分野の関係者による多部門間調整の促進、コミュニティに根ざした組織やボランティア等の民間主体、研究機関の関与、国境を越えた災害への対応体制の支援といった、といった一般的配慮事項を定めた上で、関係主体ごとの取組方針を設定。

1.国

各国は、強い自助の精神の下、市民社会その他の関係主体と連携しつつ、各国の実情に即して、自らの防災能力を評価し、本行動枠組に関わる防災プログラムの概要を公表する等の取組みを実施する。

2.地域機関

地域機関は、本行動枠組に掲げた目的を地域レベルで達成するための域内各国の防災能力の向上、災害の監視手法の開発等の地域プログラムを推進する、地域レベルでの達成状況や障害を検証し、要請に基づき各国の支援を行う、津波等の早期警報体制の整備を支援する等の取組みを実施することが求められる。

3.国際機関

国連機関をはじめとする国際機関は、本行動枠組に位置づけられた人道分野及び開発分野に防災の観点を取り入れるための総合的な取組みにより、国際防災戦略を推進する、復興過程における将来のリスクの削減の支援、優良事例や知識の共有等により被災国の復興を支援する国際的な仕組みを強化する等の取組みを実施することが求められる。

4.国際防災戦略(ISDR)

ISDRのパートナーは、本行動枠組のフォローアップを支援するため、関係主体の役割と取組みを整理する、国連機関等関係主体の防災行動について、実施のための課題の特定やガイドライン、政策ツールの整備を通じ、効果的な調整を図る、防災に関する優良事例や教訓、技術、行動についての情報交換を促進するための情報集(ポートフォリオ)を整備する等の取組みを実施することが求められる。

5.資金供与

本行動枠組の実施の支援に必要な資源を動員するため、各国、地域・国際機関は、多面的な仕組みを通じ、防災のための資金を適切に動員する。

災害が多発する途上国に対する財政的、技術的支援や南北、南南協力を促進する。

貧困削減や都市開発、気候変動への適用に関わる開発援助プログラムの中に防災措置を適切に取り入れる。



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