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地球環境

国際自然保護連合(IUCN)第3回世界自然保護会議
(概要と評価)


平成16年12月
外務省・環境省


1.概要

(1) 日時・場所

 平成16年11月17−25日、於:タイ(バンコク)、クイーン・シリキット・コンベンションセンター

(2) 参加者数等

 参加者数約5,000人。ホスト国のタイからは、シリキット王妃、タクシン首相、スウィット天然資源・環境大臣他関係閣僚が出席した他、世界各国から閣僚、科学者、経済人、環境活動家、地域共同体・宗教的指導者が参加。我が国からは高円宮妃殿下がご臨席されたほか、IUCN親善大使を務めるシンガーソングライターのイルカさん、IUCN理事を務める赤尾日本アセアンセンター事務総長、また、我が方政府関係者として伊藤外務省地球環境課長、黒田環境省自然環境計画課長、名執環境省野生生物課長他が出席した。

(3) 会議概要

 本会議は「人類と自然:たった一つの世界」をテーマにして、主に開会式(17日)、世界自然保護フォーラム(18−20日)、総会(21−25日)に分かれて実施された。

(イ) 開会式(17日)
 17日、シリキット王妃や高円宮妃殿下御臨席の下、タクシン首相、スウィット天然資源・環境大臣他関係閣僚、カカバッセIUCN会長及びシュタイナー同事務局長他の参加を得て、開会式が行われた。同開会式では、高円宮妃殿下がシリキット王妃のこれまでの自然保護活動への貢献を称え、IUCN特製記念金メダルを献上された。

(ロ) 世界自然保護フォーラム(18−20日)
 18日、高円宮妃殿下御臨席の下、スウィット大臣、アナン元首相、カカバッセ会長及びシュタイナー事務局長他の参加を得て、世界自然保護フォーラム開会式が行われた。同開会式では、高円宮妃殿下が、人類と自然とは共生していかなければならず、次世代に豊かな自然を残していく義務が我々にはある旨の御挨拶を行った。また、南アフリカのマンデラ前大統領からのビデオメッセージが放映されたほか、、タイのアナン元首相が基調講演を行った。
 本フォーラムでは、「生態系管理」、「健康、貧困及び自然保全」、「生物多様性の損失と種の絶滅」、「市場、ビジネス及び環境」の4つの大きなテーマに分かれて合計約460ものワークショップやシンポジウム等が開催された。同フォーラム開催期間中、IUCN日本委員会は、ノレッジマーケットプレース(小規模ワークショップ)を開催し、アジアにおけるゾウ生息国間の協力、アマゾンの先住民集落と自然保護、気候変動と生活様式、持続可能な開発と環境教育等様々なテーマに関する対話を行った。また、19日、日本経団連自然保護協議会によるセミナーが開催され、日本経団連の自然保護に関する取り組みが紹介された。
 20日の閉会式では、アナン国連事務総長のメッセージが読み上げられた他、今年度のノーベル平和賞受賞者であるマータイ女史のビデオメッセージが放映された。また、最後にカカバッセ会長より、今次フォーラムが過去最大の世界各国からの参加者を得られたことに謝意を表明するとともに、IUCNが自然保護や持続可能な発展に必要なデータベースや技術、理念、経験をその利用者及び政策決定者と共有する場を提供できたことを誇りに思う旨の総括が行われ、同フォーラムは幕を閉じた。

(ハ) 総会(21−25日)
 21日より、総会が開催され、2005−2008年までのIUCNの活動方針、2006−2008年までの会費、新たな役員の選出、114本に及ぶ決議・勧告案の審議・採択等が行われた。
 新たなIUCN会長には南アフリカのムーサ前環境・観光大臣が選出された。また、南・東アジア地域理事として我が方候補である赤尾日本アセアンセンター事務総長が同地域1位でIUCN理事に再選された。
 自然保護分野等に関する114本の決議・勧告案のうち、100本以上が採択された。このうち、我が国との関係では、25日、「日本のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全」に関する勧告案(普天間飛行場代替施設の建設予定区域等におけるジュゴン等を保護するため、日本政府に対しゼロ・オプション(建設計画の中止)を含む複数の代替案によって環境アセスメント等を行うよう求めるもの)が採択されたが、勧告案全体として日本政府のとっている措置や考え方(環境への影響を最小限にするとの政府方針の下、環境影響評価の実施など自然環境への配慮を行っている)が反映されていないことから、我が方(国家会員としての外務省、政府機関会員としての環境省)は棄権した。また、「地球憲章の支持」に関する勧告案については、決議案とすることが適当であるとの事務局の説明が受け入れられた上で、文言も若干の技術的修正を受けて採択された(我が方支持)。さらに、「公海における底引網漁業からの海山、深海珊瑚礁及び他の脆弱な深海生息地の保護」に関する決議案、「公海の生物多様性の保全及び持続的な管理」に関する決議案、「サメのヒレ切り漁業」に関する勧告案等については、いずれも我が国政府としての立場(科学的根拠に基づく持続可能な利用の促進等)から受け入れがたい内容となっていたため反対を表明したが、NGO側の圧倒的な支持によりいずれも採択された。 また、理事会提案により、幾つかのIUCN憲章の改正が採択された。(総会の開催を4年毎(現在は原則3年毎)とする、理事会の改組、その他ガバナンスの強化など。)

(4) その他

(イ) IUCN親善大使を務めるシンガーソング・ライターのイルカさんが14−18日にかけてタイを訪問し、シュタイナー事務局長と今後の活動方針等につき協議したほか、IUCN理事会、バンコク日本人学校及び現地日本人社会において今次会議に合わせて自ら作詞作曲した「・・・そして今も」等を披露するなどIUCN親善大使としての積極的な活動を行った。

(ロ) 今次会議に際して外務省拠出金から18万スイスフランの途上国参加支援を行ったところ、会議開催期間中、全体会議場の近くに日本ブースをあてがわれたため、我が国の自然保護活動に関する様々な資料等を展示・配布することにより、我が国の自然保護活動を積極的にアピールした。このほか日本委員会が地球環境基金から計4万3千ドルの拠出を得て上記(3)(ロ)のワークショップ開催等に貢献したほか、自然保護助成基金を通じた約4万ドルの寄与、また、赤尾理事が中心になって、在タイ日本企業より約10万ドルの資金を集めて途上国メンバーの参加に寄与するなど、総会直前の理事会においても我が国の貢献が高い評価を得た。

(ハ) 今次会議に先立ち、15−17日にかけて、各種専門家委員会会合、16日には理事会が開催された。なお、今次会合において、我が国のNGOとしてジュゴン保護キャンペーンセンター、日本環境教育フォーラム、日本湿地ネットワークの3つの団体が新たにIUCN会員として承認され、我が国のIUCN参加NGO会員数は21団体となった。

2.評価

(1) 現在の「世界自然保護フォーラム」及び「総会」の2部構成をとるようになってから3回目の「世界自然保護会議」には、世界各国から5千人以上の人々が集い(56年のIUCN史上最大規模)、460ものワークショップやシンポジウムが同時並行的に開催されるなど、IUCNが自然保護分野における世界最大の連合体であることを改めて印象付けた。

(2) 他方、会員が将来的なIUCNの活動方針や会費、新たな役員及び決議・勧告案を審議・選出する「総会」では、とりわけ決議・勧告案の数が多すぎ、その中身につき十分な議論が行われないまま採択されてしまっていることに懸念を表明する声が多々聞かれた。今後、決議・勧告案の提出・審査・採択方法等につき再考が必要と考える。

(3) 今次会議開会式に高円宮妃殿下がご臨席され、さらに「生物多様性の損失と種の絶滅」ワークショップにおいて基調講演を行われたことは、IUCNに対する我が国のプレゼンスを示す上でも、大変効果的であったといえる。また、IUCN親善大使を務めるシンガーソングライターのイルカさんが理事会で挨拶を行った上で今次会議のために作詞作曲した「・・そして今も」を披露したことは、IUCNに対する我が国の更なる関与を印象づけるためにも効果的であったといえる。さらに、赤尾日アセアンセンター事務総長がIUCN理事に再選されたことは、我が国のIUCNに対する影響力を確保していく上で有意義と考える。                        

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