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軍縮・不拡散


戦略攻撃能力削減に関する条約(モスクワ条約)


平成14年11月1日

  1.  米国ブッシュ政権は、当初から、新たな安全保障体制の構築やミサイル防衛の必要性等について強調し、ABM条約を乗り越える可能性にも言及していた。さらに、2001年9月の米中枢同時多発テロ事件以降、テロに対抗する国際的な協調姿勢が確立され、米政権は国際テロと弾道ミサイルや大量破壊兵器の拡散の脅威との関連性を一層強調するようになった。この様な国際情勢と米国の政策を受けて、2001年11月13~15日、米露首脳会談(於:ワシントン/クロフォード)が行われ、ブッシュ米大統領はプーチン露大統領に対し、米国は今後10年間で実戦配備された戦略核弾頭を、米国の安全保障に合致する水準である1700~2200発まで削減することを伝えたことを明らかにした。

  2.  さらに、ブッシュ大統領は、2001年12月13日、冷戦時代の敵対的な米露関係に決別し、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散といった脅威に効果的に対処するためのミサイル防衛推進を意図して、ABM条約から脱退する旨を露に対して正式に通告した。これに対してプーチン大統領は、米国による措置が予想外のことではなかったこと、かかる決定は「間違い」であるとしつつも、ロシアの安全保障にとって脅威とはならないとする旨を述べ、抑制的な反応を示した。さらにプーチン大統領は、戦略攻撃兵器の弾頭数を1500~2200発の水準まで削減することに関しても、米露間の合意を目指していく考えを明らかにした。この米国によるABM条約からの脱退表明により、米ソ冷戦期以来の相互確証破壊(MAD)に立脚したABM条約に象徴される米露の戦略安定を担保する枠組み(核兵器管理の枠組み)が崩れ、その後いかなる米露間の戦略的枠組みが構築されるのかが、世界の平和と安定に係わる重要問題として注目されることとなった。

  3.  この様な流れを受けて、米露両国は、2002年5月24日、モスクワでの米露首脳会談において、戦略核兵器の削減に関する条約への署名を行った。条約の正式名称は「アメリカ合衆国とロシア連邦との間の戦略的攻撃(能力)の削減に関する条約(the Treaty Between the United States of America and the Russian Federation on Strategic Offensive Reductions)」であり、通称名は「モスクワ条約」。

  4.  同条約の概要は、以下のとおり。

    • 2012年までの10年間で、米露の戦略核弾頭を各々1700~2200発に削減することを定めた、法的拘束力のある「条約」。(発効のため両国議会での批准が必要。)
    • 前文と全5ヵ条からなる(約3ページの)非常に簡素なもの。
    • 配備された戦略核弾頭数の削減を定めたもので、核弾頭自体、及び運搬手段(ICBM、SLBM等のミサイル本体、爆撃機等)の廃棄は義務付けられておらず、米露両国とも削減した弾頭の保管が可能。
    • (削減せずに保持する)戦略攻撃(核)兵器の構成、構造については両国が独自に決定する。(ICBM、SLBM、戦略爆撃機等の種類と数、MIRV弾頭の保有等については、規制されない。)
    • 条約履行のため、両国間の履行委員会を年2回以上開催。
    • 削減状況の検証措置等は、START(I)の規定に基づくとともに、履行委員会に委ねられる。


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