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人権・人道

人種差別撤廃条約第1回・第2回定期報告(仮訳)

VII.第7条

  1. 人種的偏見や差別をなくすためには、法制度面の整備のみならず、国民一人一人の人権に対する意識の向上が重要である。政府では、従来より人権教育の充実に努めるとともに、人権擁護に向けたさまざまな啓発活動を行ってきたところであるが、この条約の締結、更には、国連において1995年以後の10年間が「人権教育のための国連10年」と定められたのを契機に、より一層この分野での施策の充実に努めていくこととしている。
     また、1996年12月に制定された人権擁護施策推進法(パラ42.参照)に基づき、1997年3月より、法務大臣、文部大臣及び総務庁長官の諮問に応じ、人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項等を調査審議するため、人権擁護推進審議会が設置されている。

教育及び教授

  1. 学校において児童生徒に基本的人権尊重の精神を正しく身につけさせるとともに、異なる人種、民族について理解を深め人種・民族に対する差別や偏見をなくすことは重要であるとの認識にたち、小学校、中学校、高等学校においては、学校の教育活動の全体を通じて人権尊重に関する内容を指導するとともに、諸外国の人々の生活や文化を尊重し、理解を深めるための国際理解教育の推進を図っている。特に、社会科や道徳などにおいて、児童生徒の発達段階に即しながら、人権に関する国際法の意義と役割、基本的人権の尊重について指導している。
     更に、大学又は短期大学においては、授業科目のうち特に人文科学・社会科学等の分野において、人権に関する学生の知識と理解が深められている。社会教育においては、地域住民の最も身近な学習施設である公民館をはじめとする社会教育施設などにおいて、地域の実情や学習者のニーズに応じ、多様で高度な学習機会を提供する事業を実施する市町村に対し財政的支援を行っており、現代社会の重要な学習課題である人権や国際理解に関する学級、講座などにおいて多様な学習活動が行われている。

  2. 広く国民の間に人権尊重思想の普及高揚を図るため、人権擁護関係職員と人権擁護委員は、一体となって啓発に努めている。具体的にはシンポジウム・講演会・座談会・討論会・映画会などの開催、各種イベントへの参加、テレビ・ラジオ・有線放送などによる放送、新聞発表、広報紙への掲載、パンフレット、リーフレットなどの印刷物の配布、ポスター・懸垂幕・横断幕・立看板の掲示・広報車による巡回、作品展示会などのいろいろな方法が採られている。
     大規模な行事としては、法務省、文部省、総務庁、開催地自治体等の共催により、毎年全国から3会場を選定して人権に関するシンポジウムの開催、各種啓発資料展、啓発映画の上映などの啓発活動とコンサートや地方の郷土芸能の披露などの文化活動とを一体的・総合的に行う「人権啓発フェスティバル事業」を開催している。この事業は、より多くの人々の参加を確保し、人権尊重思想の普及・高揚を図ることを目的とするものであり、平成10年度は同フェスティバルの統一テーマを「考えよう あなたの人権 私の人権」と定め、3会場で開催し、合わせて7万9000人を超える人々が参加した。
     そして、毎年12月10日の「人権デー」を最終日とする1週間を「人権週間」と名付け、全国的な規模で啓発活動を行っている。
     1998年は世界人権宣言が国連で採択されてから50周年を迎え、また、我が国の人権擁護委員制度も創設50周年を迎えた。そこで、1998年9月25日開催の閣議において、法務大臣及び外務大臣から、世界人権宣言50周年と人権擁護委員制度50周年を記念し、1998年12月を「世界人権宣言50周年・人権擁護委員制度50周年記念月間」とし、国民をあげて世界人権宣言及び人権擁護委員制度の意義と重要性を再認識すると共に、「人権教育のための国連10年」国内行動計画(1997年7月4日策定)に沿って、基本的人権尊重のための教育及び啓発に対する取組の強化を図ることを目的に、各種記念行事を実施する旨の報告を行った。
     以上により、法務省及び全国人権擁護委員連合会は、1998年度は、これまでの人権週間(12月4日~10日)の取組に替えて、12月の同月間中、その強調事項の一つに、「国際化時代にふさわしい人権意識を育てよう」を掲げ、国民の全てが国内・国外を問わず、人種差別や外国人差別問題を始めとするあらゆる人権問題について理解と認識を深めることを目標として、啓発活動を実施した。(別添8参照)
     また、全国人権擁護委員連合会では、人権擁護委員法が施行された日(1949年6月1日)を記念して、毎年6月1日を人権擁護委員の日と定め、人権擁護委員制度の周知と人権尊重思想の普及・高揚のため、全国的な啓発活動を行っている。

人権教育のための国連10年

  1. 我が国は、1997年7月、「人権教育のための国連10年」国内行動計画を公表した。同計画では、人権という普遍的文化を構築することを目的に、あらゆる場を通じて訓練・研修、広報、情報提供努力を積極的に行うことを目標とし、人種差別撤廃条約の趣旨も踏まえ、人権教育が人権尊重思想の普及高揚の観点から非常に重要であるとの認識に立った人権啓発活動をより一層積極的に推進していくこととしている。特に、同計画では、アイヌの人々の人権の尊重及び外国人に対する偏見・差別の除去を重要課題の中に含め、人権教育の推進に取り組んでいくこととしている。

文化

アイヌ文化

  1. アイヌ文化については、北海道庁が進めているウタリ福祉対策を通じて文化の振興を推進してきたほか、法務省の人権擁護機関では、「アイヌの人々と人権」と題した人権啓発資料を作成配布し、アイヌの人々への理解の促進につとめている。ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会の報告書(第1条参照)では、(a)アイヌに関する総合的かつ実践的な研究の推進、(b)アイヌ語をも含むアイヌ文化の振興、(c)伝統的生活空間の再生、(d)理解の促進を柱とした、アイヌ語や伝統文化の保存振興及びアイヌの人々に対する理解の促進等のため、今後可能な限り立法措置を含め特段の措置を講じること等が望ましい旨述べている。政府は、この報告書を尊重し、1997年5月に「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」を制定し、同法に基づきアイヌ文化の振興に努めている。

国際文化交流

  1. 我が国では、社会の国際化に伴い、民族や文化の違いを越えて互いの価値観を尊重し共存し合うために、国民の意識を開かれたものとし、異なる人種や民族との相互理解の増進を図ることが、重要な課題となっている。
     政府では、このような認識の下、学術、芸術、青少年及び留学生交流等あらゆる分野・レベルにおいて諸外国との人物交流及び各種文化紹介事業を積極的に実施しており、特に、将来を担っていく青少年の交流については、これを重視、促進するとともに、留学生の受け入れや、諸外国の学校との交流の拡充に努めている。また、地方自治体では、地域における国際理解学習、交流事業を促進するための事業を実施しており、これに対し政府は財政的支援を行っている。

広報

  1. 政府は、従来より世界人権宣言等をはじめ人権に関する国連諸条約のパンフレットを作成配布している。この条約の締結後には、外務省において、新たにこの条約作成の経緯、条約全文、人種差別の撤廃のための国連宣言等を掲載したパンフレットを10万部作成し、関係省庁、地方自治体、全国の警察署、公立図書館等関係各機関、NGO他希望者等に随時配布している。この他、政府の広報誌、ラジオ番組、講演会等を通じて、この条約の意義、内容等の普及に努めている。なお、この条約の主な内容については、インターネットを通じた情報提供も行っている。
     また、法務省の人権擁護機関においても、条約の趣旨や成立の経緯について記したリーフレットを16万部作成し、全国の法務局・地方法務局を通じて地方自治体等に配布したほか、講演会やシンポジウム等の機会においても広く一般に配布している。
     この報告については、関係省庁に配布するとともに、公衆が広く利用できるように希望に応じて配布する予定である。


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