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多国間投資協定(MAI)構想
(MAI: Multilateral Agreement on Investment)
1.経緯
(1)
世界的な投資の拡大を背景に、95年OECD閣僚理事会において、高い水準の投資の保護・自由化、効果的な紛争解決手続を含む多数国間投資協定(MAI)交渉の開始が決定されました。97年閣僚理事会までの合意が目標とされました。
(2)
OECD加盟国間
(注)
で精力的に交渉が行われるも、各国間の立場の違いは容易に埋まらず、97年閣僚理事会において交渉期限が一年間延長され、更に98年閣僚理事会において明示的期限を定めずに更なる交渉継続が決定されました。(
注
:97年9月よりOECD非加盟国もオブザーバーとしての参加が認められました。)
(3)
98年10月、フランスのジョスパン首相はMAI交渉への参加を取りやめる旨表明し、98年12月の非公式MAI協議において、OECDにおいて「MAI」としての交渉はもやは行わないことが決定されました。
2.内容(98年4月現在の条文)
結局挫折に終わったものではありますが、交渉していた協定案の内容は、現在においても尚、最先端のものと言えます。)。
(1)
投資の自由化
投資の設立前段階を含め、最恵国待遇義務及び内国民待遇義務を一般的義務として規定し、例外リストに登録したもののみ当該義務を免除。(いわゆるネガティブ・リスト方式)
(2)
投資保護
伝統的な二国間投資保護協定に規定される投資受入国による投資保護についての義務を規定。
(3)
紛争解決手続
WTO同様の国家間の紛争解決手続の他に、投資家・国家間の紛争解決手続を規定。
(4)
労働と環境
投資誘致のための労働・環境基準の緩和の禁止等を規定。
3.交渉の失敗要因
交渉が失敗した要因としては、直接の契機となったフランスの離脱の他に次の点が指摘されています。
(1)
交渉途中に、複数のOECD加盟国において中道左派政権ができ、グローバライゼーションの象徴と受け止められたMAIに対する支持が失われた。
(2)
交渉途中から、NGOによる批判が高まった。(不十分な労働者保護・環境保護、大企業優遇、投資家対国家の紛争解決手続、グローバライゼーション等)
(3)
交渉に途上国の意見が反映されないことに対する批判が高まりました。(
注
:交渉妥結後、MAIは非OECD加盟国にも開放される予定であった。)
(4)
交渉途中から、先進国の産業界の関心が低下した。(特に税を協定対象としないことがが決まって以降。)
(5)
97年アジア通貨危機により、資本移動の自由化に対する支持が低下しました。
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