軍縮・不拡散

ザンガー委員会(Zangger Committee
(概要)

平成23年1月7日

1.概要

(1)1970年7月、スイスのザンガー教授の提唱により、NPT第3条2項にいう供給の規制の対象となる核物質、設備及び資材の具体的範囲について非公式な協議が開催された。1974年8月22日、参加国間の合意文書がIAEA事務局長宛に発出され、9月3日にIAEA文書(INFCIRC/209)として公表された。

(2)年間1~2回の会合が開催される。現在の参加国は以下の38ヶ国。

 アルゼンチン、豪州、オーストリア、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、カナダ、カザフスタン、中国、チェコ、クロアチア、デンマーク、フィンランド、仏、独、ギリシア、ハンガリー、アイルランド、伊、日本、韓国、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、露、スロバキア、スロベニア、南ア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、ウクライナ、英国、米国。

(3)NPT第3条2項の不明確さに端を発して発足したものであるが、NPT上の義務から自動的に生じたものではない。あくまでも、各国が自発的に参加するとの位置づけであり、NPT締約国は同委員会の参加国になることを求められる訳ではない。また、同委員会の結論は輸出国としての同委員会参加国間の紳士的申し合わせであり、法的拘束力を有さない。

2.INFCIRC/209の内容

(1)NPTの締約国ではない非核兵器国に対する輸出及び同国からの再移転に際し、輸出した「核物質」にIAEAの保障措置を適用することの確保(メモランダムA)。

(2)NPTの締約国ではない非核兵器国に対する輸出及び同国からの再移転に際し、輸出した「原子力資機材」を用いて処理、使用及び生産される核物質にIAEA保障措置をかけることの確保(メモランダムB。具体的な資機材リスト(ザンガーリスト)が別添されている。)。

(3)ザンガーリストの内容は、核物質(プルトニウム、天然ウラン、濃縮ウラン、劣化ウラン、トリウム等)、原子炉及びその付属装置、重水及び原子炉級黒鉛、再処理プラント、燃料加工プラント、重水生産プラント、転換プラント等となっている。

3.原子力供給国グループ(NSG)とザンガー委員会の主な相違点

 NSGとザンガー委員会は、国際的な輸出管理協調を通じて核不拡散に貢献することを目的とする点においては共通しているが、主に次のような相違点も見られる。

(1)NPTとの関連
 ザンガー委員会は、NPT第3条2項の解釈を行うことを目的とした任意の会合であり、その活動内容もあくまでNPTの枠組みの範囲内にとどまるものである。他方、NSGは、NPTの枠組みにとらわれることなく、核不拡散に対する様々な挑戦に対応することとなっている。

(2)輸出管理対象
 ザンガー委員会は原子力専用品のみを輸出管理対象としているが、NSGは原子力専用品及び関連技術、並びに原子力関連汎用品及び関連技術を輸出管理対象としている。

(3)移転の際の条件
 ザンガー委員会では移転される核物質等に対する保障措置の適用を求めているが、NSGでは移転の4条件の1つとして受領国におけるIAEA包括的保障措置の適用を要求。

(参考:NSGガイドライン・パート1が要求する4条件)

(イ)核実験等の核爆発目的に使用しない旨の受領国政府からの公式の保証の取付け。

(ロ)受領国におけるIAEA包括的保障措置の適用。

(ハ)受領国における核物質保護のための措置。

(ニ)受領国が輸入した品目を第三国に再移転する際、原供給国に与えた保証と同一の保証の当該第三国からの取付け。

 なお、ザンガーリストとNSGガイドライン・パート1のトリガーリストとは内容面で整合性を確保することとされており、どちらかのリストが改正される場合には、他方のリストにおいても検討の上、その改正を反映させることとなっている。

  • ザンガー委員会ホームページ(英語)
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