(1)統合保障措置(IS)とは、包括的保障措置協定(CSA)に基づく保障措置と追加議定書(AP)に基づく保障措置を有機的に結合した概念。CSA及びAP双方の下で利用可能な保障措置手段を最適に組み合わせ、最大限の効率性を達成するためのもの。具体的には、従来の計量管理を基本としつつ、短期通告査察又は無通告査察を強化することで、IAEAの検認能力を維持したまま査察回数の削減を可能とするもの。
(2)IAEAは、1990年代前半のイラクや北朝鮮の核問題を踏まえ、追加議定書の策定等による「保障措置の強化」を行う一方で、不拡散上何ら問題がないと判断される国に対しては、「保障措置を効率化」を行うとの方針の下、1998年頃からISの開発を始めた。その結果、2002年3月のIAEA理事会にて、ISの基本を定めた概念的枠組みが決定された。
(3)ISが適用されるためには、当該国がCSA及びAP双方に基づく保障措置を一定期間に亘って受け入れ、その結果、IAEAが当該国に対して、「保障措置下にある核物質の転用」及び「未申告の核物質及び原子力活動」が存在しない旨の「拡大結論」を導出する必要がある。
(4)IS適用の前提となる「拡大結論」を得ている国は51ヶ国(参考1)であり、そのうち25ヶ国(参考2)において2008年通年でISが実施されている(2008年末現在)。
(参考1)アルメニア、豪州、オーストリア、バングラデシュ、ベルギー、ブルガリア、ブルキナファソ、カナダ、チリ、クロアチア、キューバ、チェコ、デンマーク、エクアドル、エストニア、フィンランド、ドイツ、ガーナ、ギリシャ、バチカン、ハンガリー、インドネシア、アイルランド、イタリア、ジャマイカ、日本、ヨルダン、クウェート、ラトビア、リビア、リトアニア、ルクセンブルク、マダガスカル、マリ、マルタ、モナコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、パラオ、ペルー、ポーランド、ポルトガル、韓国、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、ウルグアイ、ウズベキスタン
(参考2)豪州、オーストリア、バングラデシュ、ブルガリア、カナダ、チェコ、エクアドル、ガーナ、ギリシャ、バチカン、ハンガリー、インドネシア、アイルランド、ジャマイカ、日本、ラトビア、リトアニア、マリ、ノルウェー、ペルー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、ウズベキスタン
(1)我が国は、1977年にCSA,1999年にAPをそれぞれ締結し、以後CSA及びAP双方に基づくIAEA保障措置を誠実に実施。その結果、2004年6月、IAEAが我が国について上記1.(3)の「結論」を導出し、同年9月、ISの実施が開始された。
(2)ISが継続して実施されるためには、IAEAが毎年6月に発表する保障措置実施報告書において「結論」が維持される必要があるが、我が国については、2004年から2008までの同報告書において同「結論」が維持されている。
(3)我が国におけるISの実施は、施設及びサイトのタイプ毎に段階的に開始されており、施設レベルでは、(1)実用発電炉(MOX燃料使用なし)、(2)研究炉・臨界実験装置、(3)使用済み燃料貯蔵施設については2004年9月から、(4)実用発電炉(MOX使用炉を含む全て)、(5)低濃縮ウラン燃料加工施設については2005年1月から、(6)六ヶ所再処理施設については2008年6月から、それぞれISが実施されている。また、サイトレベルでは、(7)JNC-1サイト(日本原子力研究開発機構東海研究開発センターの再処理工場及びプルトニウム燃料製造施設他計6施設)については2008年8月から、(8)JNC-4サイト(もんじゅ)については2009年11月から、それぞれISが実施されている。
(4)IS適用により、対象施設に対する通常査察の回数が減っている。