(2) アラブ占領地におけるイスラエル入植地に関する国連安全保障理事会決議465(仮訳)
(1980年3月1日,ニューヨーク)
安全保障理事会は,決議446(1979)に基づいて,ジェルサレムを含む1967年以来のアラブ被占領地における入植地に関する情勢を検討するために設置された安全保障理事会の(特別調査)委員会の文書S/13450,同修正1及びS/13679に盛り込まれた報告に留意し,ヨルダン常駐代表の書簡(S/13801)及びイスラム・グループの議長たるモロッコ常駐代表の書簡(S/13802)に同じく留意し,
イスラエルが委員会との協力を拒否していることを強く遺憾とし,かつイスラエルが決議446(1979)及び452(1979)を正式に否認していることを遺憾とし,
1949年8月12日の戦時における文民保護に関するジュネーブ第四条約が,ジェルサレムを含む1967年以来イスラエルによって占領されているアラブ領土に適用され得ることを再び確認し,
1967年以来占領されているパレスチナ及び他のアラブ領域におけるイスラエルの入植地を正式に支持するとのイスラエル政府の決定を遺憾とし,
ジェルサレムを含むアラブ被占領地においてイスラエル当局が同入植政策を実施して
いること及びこれが同地域のアラブ及びパレスチナ人に与える影響に深い関心を有し,
及び私有地公有地そして一般財産ならびに水資源の公平な保護のための手段を検討す
る必要性を考慮し,
ジェルサレムの特殊な地位並びに特に同市の諸聖地がもつ特殊な精神的,宗教的側面の保護と維持の必要性に留意し,
入植政策が中東における包括的,公正かつ永続的な平和に到達するための試みに対して及ぼす重大な結果に注目し,
適切な安全保障理事会決議,特に1967年6月14日の決議237(1967),1968年5月21日の決議252(1968),1969年7月3日の決議267(1969),1969年9月15日の決議271(1969)及び1971年9月25日の決議298(1971)並びに1976年11月11日における安全保障理事会議長によりなされた合意ステートメントを想起し,
仮議事規則39に基いて情報の提供を受けるため,被占領地のアル=カリル(ヘブロン)の市長ファヘド・カワスメ氏を招致し,
1. 報告書(S/13679)を作成した調査委員会の作業を評価する。
2. 同委員会報告書の結論と勧告を受諾する。
3. すべての当事者,特にイスラエル政府に対して同委員会に協力するよう呼びかける。
4. ファヘド・カワスメ(ヘブロン)市長の安保理出席のための自由な旅行を禁止したイスラエルの決定を強く遺憾とし,イスラエルに対して同市長が同目的で国連本部に自由に旅行することを許可するよう要請する。
5. ジェルサレムを含む1967年以来のパレスチナ及びその他のアラブ占領地の物理的性格,人口構成,制度的構造又は地位を変化するためにイスラエルがとったすべての措置は,法的に効力を持たないと決定し,かかる占領地に自国民と新移民の一部を入植させるイスラエルの政策と措置は,戦時における文民の保護に関するジュネーヴ第四条約に対する重大な違反であり,また,包括的,公正かつ永続的中東和平達成にとって重大な障害となっていると決定する。
6. イスラエルが引続き,かかる政策と措置を継続し,固執していることを強く遺憾とし,イスラエル政府及び国民に対し,このような措置を中止すること,既存の入植地を撤去すること,特にジェルサレムを含む1967年以来のパレスチナ及びその他のアラブ被占領地における入植地の設置,建設及び計画を緊急に停止するよう要請する。
7. すべての国に対して,占領地における入植地に関し,利用されうる如何なる援助もイスラエルに与えざるよう呼びかける。
8. 委員会に対し,ジェルサレムを含む1967年以来のアラブ占領地における入植地に関する情勢を引続き検討し,伝えられる天然資源,特に水資源の深刻な枯渇につき,被占領地域のかかる枢要な天然資源を保護するため調査し,本決議の実施を十分監視するよう要請する。
9. 委員会に対し,1980年9月1日までに安保理に報告書を提出するよう要請し,報告書と右決議の完全な実施について検討するため出来るだけ早い時期に召集することを決定する。