経済

APECの概要

1. APECとは?

 APEC(Asia-Pacific Economic Cooperation アジア太平洋経済協力)はアジア太平洋地域の21の国と地域()が参加する経済協力の枠組みです。経済規模で世界全体のGDPの約5割,世界全体の貿易量及び世界人口の約4割を占め,アジア太平洋地域の持続可能な成長と繁栄に向けて,貿易・投資の自由化,ビジネスの円滑化,人間の安全保障,経済・技術協力等の活動を行っています。

)オーストラリア,ブルネイ,カナダ,チリ,中国,中国香港,インドネシア,日本,韓国,マレーシア,メキシコ,ニュージーランド,パプアニューギニア,ペルー,フィリピン,ロシア,シンガポール,チャイニーズ・タイペイ,タイ,アメリカ,ベトナム

APEC加盟国地図

2. 設立経緯

 1980年代後半,外資導入政策等によるアジア域内の経済成長,欧州,北米における市場統合が進む中,アジア太平洋地域に,経済の相互依存関係を基礎とする新たな連携・協力の必要性が高まりました。1989年,日本からの働きかけもあり,ホーク・オーストラリア首相(当時)はアジア太平洋地域の持続的な経済発展及び地域協力のための会合の創設を提唱しました。これを受けた形で米国,ASEAN等においても次第にアジア太平洋経済協力構想の実現に向けた機運が高まり,同年第1回APEC閣僚会議がオーストラリア(キャンベラ)で開催されました。

3. APECの特色

 APECの活動は,「協調的自主的な行動」と「開かれた地域協力」を大きな特色としています。「協調的自主的な行動」とは,APECがメンバーを法的に拘束しない,緩やかな政府間の協力の枠組みであり,各メンバーの自発的な行動により取組を推進することを示しています。このため,他のフォーラムに比べてAPECではより先進的な取組を行うことが可能となっています。そして,APECの活動を通じて得られたより自由で開かれた貿易・投資といった成果を,域内に止まらず,域外の国・地域とも共有するというのが,「開かれた地域協力」です。

4. ボゴール目標

 1994年にボゴール(インドネシア)で開催された首脳会議において「APEC経済首脳の共通の宣言」(ボゴール宣言)が採択されました。この中で,「先進エコノミーは2010年までに,途上エコノミーは2020年までに,自由で開かれた貿易と投資を達成する」という,ボゴール目標が掲げられました。
 以来,APECはボゴール目標の達成に向けて,1995年大阪行動指針(OAA)を始めとする様々な計画を立て,具体的な取組や議論を行ってきました。

 先進エコノミーによるボゴール目標の達成期限である2010年には,議長の日本が中心となって,目標達成評価のプロセスを透明性と信頼性を確保しながら進めました。11月に横浜で開催された首脳会議において,「ボゴール目標に向けたAPEC2010年エコノミーの進展に関する報告書」が採択され,2010年の評価文書エコノミー()は,更に取り組むべき作業が残っているものの,目標達成に向けて顕著な進展を遂げたと評価されました。

)2010年に評価対象となった先進国・地域:日本,米国,カナダ,豪州,ニュージーランド,シンガポールチリ中国香港ペルーメキシコ韓国マレーシアチャイニーズ・タイペイ(下線は評価に自発的に参加した途上エコノミー)

5. 横浜ビジョン

 2010年11月に横浜で行われた第18回APEC首脳会議では,首脳宣言として「横浜ビジョン〜ボゴール,そしてボゴールを超えて」が採択され,アジア太平洋地域の将来像として,より強固で深化した地域経済統合を促進し,より質の高い成長を実現し,より安全な経済環境を提供する共同体を目指していくことが合意されました。

 特に,地域経済統合については,まず,2010年のボゴール目標達成評価対象国・地域が,更に取り組むべき作業が残っているものの,目標達成に向けて顕著な進展を遂げたことが確認されました。また,アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)について,ASEAN+3,ASEAN+6,環太平洋パートナーシップ(TPP)協定といった地域的な取組を基礎として更に発展させていくことなどにより,包括的な自由貿易協定として追求されるべきであり,その実現に向けて具体的措置を取っていくことが合意されました。

 また,APECとして初めての成長戦略が策定され,「均衡ある成長」,「あまねく広がる成長」,「持続可能な成長」,「革新的成長」,「安全な成長」という5つの成長の特性が示されるとともに,成長戦略を実施するための具体的な行動計画が策定されました。

6. ビジネス界とAPEC

 APECの特徴の一つとして挙げられるのがビジネス界との連携の強さです。APECの諮問機関の一つにAPECビジネス諮問委員会(ABAC:APEC Business Advisory Council)があります。ABACとは,1996年に設立され,ビジネス界を代表する民間の委員で構成されるAPEC唯一の公式民間諮問機関です。ABACの委員は,APECのメンバー国・地域の首脳により,3名を超えない範囲で指名されます。ABACは,産業界を代表して,首脳や閣僚に対し助言・提言を行っています。これにより,ビジネス界の具体的なニーズを踏まえた形で,APECにおける取組を行うことができ,自由で開かれた貿易・投資の達成といったAPECの掲げる目標の実現に向けた取組を前進させることにつながっています。

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