2011年10月

APECでは、貿易・投資の円滑化のために、様々な措置をとっています。ビジネス関係者の域内の移動を容易にすることも、重要な課題です。その一つの工夫として、APECビジネス・トラベル・カード(ABTC)制度があります。これは、適正な経済活動を行っていると認められたビジネス関係者に関して、制度参加国・地域が相互に査証に関わる事務負担を減らす試みです。日本政府も、2002年10月のAPEC首脳会議の席上、小泉総理から参加を正式に発表し、2003年度から、この制度に参加しました。
(答)日本人が外国に行く場合、通常はその外国に入国するための査証(ビザ)が必要です。短期間の出張や観光であれば、査証が免除されている例もありますが(注1)、APEC域内の国・地域への入国・入域には、まだ査証が必要な場合が多いと言えます。そこで、APEC域内諸国・地域に頻繁に出張するビジネス関係者には、特別なカードを政府が交付し、またあらかじめ、この制度に参加している国の政府・地域の行政府に、有効性の了解を得ておくことで、その有効性を認めた参加国及び地域の査証が免除される又は査証手続が免除される(査証が自動的に付与される)こととなる制度です。これにより、このカードと旅券(パスポート)を両方持って行けば、それら諸国・地域に入国・入域する審査を受けることができる(渡航することができる)こととなります。(「APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)の概要」参照)
(注1)たとえば、日本人が短期商用目的でAPEC諸国・地域に行く場合、中国香港、マレーシア、ペルー及びシンガポールでは、通常3か月以内であれば査証が不要となります。(なお、日本人が海外へ渡航する際の査証については、渡航先国、渡航目的、滞在期間等によって査証の要否が異なり、また、国によっては事前通知なしに手続きが変更される場合もありますので、詳細は日本にある渡航先国の大使館・総領事館に確認し、最新の情報を入手するようにしてください)。
(答)APECには、現在21の国・地域が参加していますが、現在ABTC制度に参加しているのは、そのうちの18か国・地域です(オーストラリア、ブルネイ、チリ、中国、中国香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、シンガポール、チャイニーズ・タイペイ(台湾)、タイ及びベトナム)。
これらの国・地域のうち、ABTCの裏面に記載がない(事前の承認を受けていない)国・地域及び現在のところABTC制度の運用を開始していないAPEC地域(米国、カナダ、ロシア)においては、ABTCによって、査証が免除される又は査証手続が免除される(査証が自動的に付与される)ことはありません。
(答)1996年のAPEC首脳会議において、ハワード・オーストラリア首相、ラモス・フィリピン大統領、金泳三・韓国大統領が、本制度を試験運用することに合意し、1997年からこの3国により、本制度の試行を開始しました。1999年3月から、他の国・地域も参加して本制度が本格化しました。
(答)日本のビジネス関係者で、外務省が省令及び告示で定めた交付要件を満たす人が、ABTCの交付申請を行うことができます。所属する機関の貿易及び投資の金額、犯罪歴が無いこと、有効な日本の旅券を持っていることなどが必要な条件となります。ABTCは外務省が交付しますので、ABTCの交付を希望する人は、外務省に申請してください。なお、交付に当たっては一定の手数料が必要です。
申請要領の詳細は、「APEC・ビジネス・トラベル・カード」の申請方法を参照してください。
(注2)ABTC制度に参加している国等で見解が一致している「運用の枠組み」には、「有給の雇用又はワーキング・ホリデーを希望する人」、「職業運動選手、報道特派員、芸能人、音楽家、芸術家又はこれと類似する職業に従事する人」には、ABTCを交付しないと明記されています。これに該当する方は、申請しても交付されない又は外国政府等からの承認が受けられないことになりますので、御留意願います。
(答)2003年度から、ABTCを持っている外国人で、事前審査により、日本の当局から承認を得ている人(ABTCの裏面に“JPN"の記載がある方)は、原則査証無しで日本に渡航して来ることができることとなりました。
なお、上述のとおり、このABTC制度を運用しているのは、18か国・地域ですが(オーストラリア、ブルネイ、チリ、中国、中国香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、シンガポール、チャイニーズ・タイペイ、タイ及びベトナム)、短期の滞在(日本で報酬を受ける活動に従事する場合を除く。)であれば、既に査証取得が免除されている国・地域もあります(注3)。
(注3)上述の18か国・地域のうち、オーストラリア、中国香港(香港特別行政区(SAR)旅券所持者及び英国海外市民(BNO)旅券所持者(香港居住権者)に限る。)、ニュージーランド、チャイニーズ・タイペイ(身分証番号が記載された台湾護照(旅券)所持者に限る。)及び韓国は90日以内、ブルネイは14日以内、チリ及びシンガポールは3か月以内、メキシコは6か月以内の短期滞在(日本で報酬を受ける活動に従事する場合を除く。)については、日本は査証免除の措置を執っています。
(答)このABTCを入手するためには、各国・地域で、政府・行政府の審査を通る必要があります。各国・地域の政府・行政府とも、限定的にABTCを交付しています。犯罪歴が無いことも、交付条件の一つです。加えて、日本政府は、申請者の所属する国・地域の政府・行政府からの依頼を受けて、必要な事前審査を行うことにしており、その審査で問題が認められなかった方にのみ、日本におけるABTCの有効性を認めています。
さらに、ABTCを持っているだけで、自動的に日本に入国できる訳ではありません。ABTCの保持者であっても空港等における入国審査は、通常どおり受けなければならないことになっています。
なお、ABTC保持者氏名等の身分事項については、各参加国・地域の出入国管理当局で共有されており、偽変造ABTCでは入国・域できないようになっています。
(答)制度の運用開始からしばらくの間は、ABTC交付枚数を、制限していましたが、2005年7月に行った制度の見直しにより、交付枚数の制限を撤廃しました。
(答)このABTC制度は、あくまでも、APEC域内の貿易・投資を活発にするためのものです。一方、犯罪者・テロリスト等国境を越える犯罪への対応を緩める結果につながってはなりません。そのため、日本政府としても、一定の基準を設け、その基準を満たすビジネス関係者のみが、ABTCを受け取ることができるようにしています。
希望してもABTCを受け取ることができない人も出てくるかもしれませんが、いずれにしても、通常の査証取得の方法により、外国に行くことはできます。ABTC制度に参加している諸国・地域に頻繁に出張するのでなければ、通常の査証取得の方が負担は少ないと言えます。
(答)ABTCは、偽造対策をしっかり講じるためにも、日本では、独立行政法人国立印刷局で製造しています。
(答)交付から3年間です。ただし、その間に旅券の有効期限が切れれば、同時にABTCも失効します。
(答)現在有効なABTCを所持されている方は、原則として別のABTCの交付申請を行うことはできません。ただし、所持されているABTCの有効期限の6か月前から新しいABTCの交付申請を行うことができます(旅券の有効期限がABTCの有効期限と同じ場合を除く。)。申請手続は新規交付申請手続と同じですが、新しいABTCは、交付済みのABTCの返納を確認した後の交付となります。