経済

ウラジオストクAPEC首脳会議(概要と評価)

平成24年9月9日

  • (写真)APEC首脳会議のリトリート1に臨む野田総理
    (写真提供:内閣広報室)
  • (写真)首脳集合写真撮影に臨む野田総理
    (写真提供:内閣広報室)

 9月8日及び9日,ロシア・ウラジオストク市において,APEC首脳会議が開催され,我が国からは野田佳彦内閣総理大臣が出席した。会議における議論の概要と評価は以下のとおり。会議の成果として,APEC首脳宣言「成長のための統合,繁栄のための革新」(骨子(PDF)英語原文(PDF)日本語仮訳(PDF))が発出された。

1.首脳会議の概要

 プーチン大統領の議事進行の下,本年の4つの優先課題(貿易・投資の自由化及び地域経済統合,食料安全保障,サプライチェーン,イノベーション)に沿って議論が行われた。

(1)第1セッション(貿易・投資の自由化及び地域経済統合,サプライチェーン)

(ア)野田総理から基調発言として,次の点を述べた。

  1. (1)FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)の実現に向けて我が国として引き続き域内の貿易・投資のルールづくりを主導し,議論を牽引していく考えであること,
  2. (2)グリーン成長促進のために閣僚レベルで合意された「環境物品リスト」を首脳で承認すべきこと,
  3. (3)保護主義抑止に向けてAPECが世界の先頭に立って強いメッセージを発出すべきこと。

(イ)各エコノミーからは,APECが保護主義抑止の断固とした態度を示すことの重要性,WTOドーハラウンド交渉の活性化の必要性,本年の次世代型貿 易・投資課題として「FTA透明性モデル章」の合意を歓迎,RCEPやTPP等,FTAAPへの地域的取組の進展を評価,WTOでも成し得なかった具体的 成果として,グリーン成長及び持続可能な開発に貢献する「APEC環境物品リスト」(太陽光パネル,風力発電設備を始めとする54品目から構成。)に合意 したこと,サプライチェーン改善への取組等について発言があった。

(2)第2セッション(食料安全保障,イノベーション)

(ア)野田総理から基調発言として,次の点を述べた。

  1. (1)昨今の食料の国際価格の高騰に対し,世界の穀物生産量の半分を占めるAPEC地域が冷静かつ適切な対応をすることが重要であること,
  2. (2)食料安全保障の強化に向けた中長期的な課題として農業生産の増大及び生産性の向上に取り組むことが必要不可欠であり,農業生産の増大に資する民間投資の促進に際して,我が国が推進する「責任ある農業投資原則」の重要性を指摘した。

(イ)各エコノミーからは,食料価格の高騰に懸念を表明しつつ,輸出規制を始めとする新たな貿易・投資への障壁を設けないことの重要性について指摘され, また,イノベーションについては,革新的成長に向けて,オープンで市場志向型のイノベーション政策が実施されることが必要である旨指摘された。

(3)ワーキングランチ(世界経済)

 ラガルドIMF専務理事の報告に続いて,欧州債務危機がアジア太平洋地域に及ぼす影響とエコノミー間の協力について議論が行われた。なお,ラガルド専務理事からは,日本が進めている「社会保障と税の一体改革」への取り組みを歓迎する旨の発言があった。

2.評価

  1. (1)昨年の首脳合意に従って,本年,WTOで長年合意できなかった困難な課題である環境物品リスト(54品目)に合意したことは,画期的な成果であり, 自由化への取り組みに新たな弾みを与えることが期待される。APECが貿易自由化について前進が可能であることを実証することができた。今後,リスト中の 環境物品について2015年末までに実行関税率を5%以下に削減するとの合意を確実に履行するようフォローすることが重要である。
  2. (2)増大傾向にある保護主義的措置に対する強い懸念を首脳間で共有し,(1)2015年までのスタンドスティル(新たな保護主義措置の不導入)の延 長,(2)ロールバック(既存の保護主義措置の是正),(3)WTO整合的であっても重大な保護主義的影響を及ぼす措置の最大限の自制,の3点を改めて確 認したことも,現在の厳しい世界経済の状況に鑑み,評価できる。
  3. (3)また,食料安全保障の文脈においても,日本の主張により,食料の輸出規制を始めとする新たな貿易・投資への障壁を設けないことを再確認できた。
  4. (4)ロシア提案を受けて,イノベーションの促進に向けた産官学による政策協議及びイノベーションの担い手のネットワーク促進の枠組みとして,科学技術イ ノベーション政策パートナーシップ(PPSTI)の設立が合意されたことも成果の一つ。今後,この枠組みを通じて実際にイノベーションが促進されるよう日 本としても関与していく必要がある。

2012年APEC閣僚会議(成果文書)



Adobe Acrobat Readerダウンロード Adobe Systemsのウェブサイトより,Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAcrobat Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして,Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータに対応したソフトウェアを入手してください。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る