社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び 北部アイルランド連合王国との間の協定(条約第一号) (平成13年2月1日発効)の概要
(平成13年2月1日官報掲載文)
この協定は、我が国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間で年金制度への強制加入に関する法令の適用について調整を行い、もって両国間の人的交流の促進を図ることを目的とするものであり、その内容の大要は、次のとおりである。
1.この協定の適用上、「連合王国」、連合王国についての「領域」、「ジャージー」、「ガーンジー」、「法令」、「EEA協定」、「強制加入」、「権限のある当局」及び「実施機関」はそれぞれ定義された意味を有し、この協定上定義されていない用語は、各々の締約国の法令において与えられている意味を有するものとする。(第一条関係)
2.この協定の適用対象とする年金制度又は法令は、日本国については、国民年金、厚生年金保険、国家公務員共済年金、地方公務員等共済年金、私立学校教職員共済年金及び農林漁業団体職員共済年金とし、連合王国については、一九九二年の社会保障行政法その他この協定に掲げる法律及び命令、これらの法律又は命令により廃止され又は統合された法律又は命令等について適用する。(第二条1及び2関係)
3.この協定は、いずれかの締約国が第三国と締結した社会保障協定等の下で生ずる権利及び義務に影響を及ぼすものではない。ただし、この協定の実施に当たり、そのような協定等を考慮することを妨げない。(第二条3関係)
4.一方の締約国の国民等は、他方の締約国の領域内にある間は、当該他方の締的国の法令により、当該他方の締約国の国民と同一の権利及び義務を有するものとする。(第三条関係)
5.第四条2から5までの規定及び第五条から第七条までの規定に従うことを条件として、ある者が一方の締約国の領域内において被用者又は自営業者として就労する場合には、その者に対して当該一方の締約国の法令のみを適用する。(第四条1関係)
6.第五条1の規定に従うことを条件として、両締約国で被用者として就労する者に対して同一の期間に両締約国の法令が適用されることとなる場合には、その者が通常居住する締約国の法令のみを適用する。(第四条2関係)
7.いずれかの締約国に通常居住し、かつ、両締約国で自営業者として就労する者に対して同一の期間に両締約国の法令が適用されることとなる場合には、その者が通常居住する締約国の法令のみを適用する。(第四条3関係)
8.第五条1及び2の規定に従うことを条件として、一方の締約国で被用者として就労し、かつ、他方の締約国で自営業者として就労する者に対して同一の期間に両締約国の法令が適用されることとなる場合には、その者が通常居住する締約国の法令のみを適用する。(第四条4関係)
9.ジャージー又はガーンジーにある間に疾病、傷害又は妊娠を理由とする日本国の給付を受けている者については、被用者又は自営業者としての保険料の納付義務を除くほか、ジャージー又はガーンジーの法令に基づく保険料の納付義務を免除する。(第四条5関係)
10.第六条及び第七条の規定に従うことを条件として、一方の締約国の法令に基づいて保障されており、かつ、当該一方の締約国の領域内に事業所を有する雇用者に雇用されている者が、その雇用者により当該一方の締約国又は第三国から他方の締約国で就労するために派遺される場合には、派遺期間が五年を超えるものと見込まれないことを条件として、当該一方の締約国の法令のみを適用する。(第五条1関係)
11.一方の締約国の法令に基づいて保障されており、かつ、通常当該一方の締約国で自営業者として就労する者が、他方の締約国の領域内においてのみ就労する場合には、当該他方の締約国における自営活動の期間が五年を超えるものと見込まれないことを条件として、当該一方の締約国の法令のみを適用する。(第五条2関係)
12.一方の締約国で被用者又は自営業者として就労し、かつ、その者に対して他方の締約国の法令のみが引き続き適用される場合には、その者がそのような任意の納付を六〇歳以上の者のみによる任意の保険料の納付に関する当該一方の締約国の法令に基づいて行う場合を除くほか、当該一方の締約国の法令に基づいて保険料を任意に納付する権利を有しないものとする。(第五条3関係)
13.第五条の規定の適用上、「保障されている」とは、日本国については、連合王国における派遣又は自営活動の期間の開始の直前において、その者によって若しくはその者について保険料が納付され若しくは保険料の納付義務が生じているか又はその者に対して若しくはその者について保険料の納付義務の免除が与えられていることをいい、連合王国については、日本国における派遣又は自営活動の期間の開始の直前において、その者によって若しくはその者について保険料が納付され若しくは保険料の納付義務が生じているか又はその者について保険料が納付されたとみなされていることをいう。(第五条4関係)
14.いずれかの締約国を旗国とする海上航行船舶で被用者として就労する者に対しては、両締約国の法令が適用されることとなる場合には、その者が通常居住する締約国の法令のみを適用する。(第六条関係)
15.この協定は、外交関係に関するウィーン条約又は領事関係に関するウィーン条約の規定に影響を及ぼすものではない。また、第七条1の規定に従うことを条件として、一方の締約国の公務員、公務員として取り扱われるべきものとされている者等が他方の締約国に派遺される場合には、当該一方の締約国の法令のみを適用する。(第七条関係)
16.一方の締約国の権限のある当局又は実施機関は、第八条2の規定に従うことを条件として、第四条から第七条までの規定によればある者に対して当該一方の締約国の法令が適用されることとなる場合であっても、その者に対して他方の締約国の法令が適用され、その者が当該他方の締約国の法令のみの適用を受けることについて事前に同意しており、かつ、当該他方の締約国の関係機関が当該一方の締約国の法令の適用の免除について事前に同意しているときには、当該一方の締約国の法令の適用を免除することができる。(第八条1関係)
17.いずれか一方の又は双方の締約国の領域内において被用者又は自営業者として就労している間に一以上の第三国の領域内においても被用者又は自営業者として就労している者に対しては、この協定の第四条から第七条までの規定によりいずれか一方の締約国の法令が適用されず、かつ、この協定と同種の社会保障に関する他の協定等であって当該一方の締約国が当事国であるものの規定により当該一方の締約国の法令が適用される場合には、この協定の他の規定にかかわらず、両締約国の法令を適用する。(第八条2関係)
18.両締約国の権限のある当局又は実施機関は、この協定の実施のために必要な援助を無償で提供する。一方の締約国の権限のある当局又は実施機関は、自国の法令の下で収集された個人情報を自国の法令その他関連する法律及び規則に従って他方の締約国のこれらの機関に伝達する。このように伝達されたいかなる個人情報も秘密として取り扱うものとし、かつ、この協定及び当該一方の締約国の法令を適用する目的のためにのみ使用する。一方の締約国の権限のある当局又は実施機関は、他方の締約国の言語で作成されていることを理由として文書の受領も拒否してはならない。両締約国の権限のある当局又は実施機関は、一方の締約国の法令に基づく保険料の徴収に関し、その要請に基づき、それぞれ自国の法律及び規則に従って可能な範囲で協力する。(第九条関係)
19.両締約国の権限のある当局は、この協定の実施のために必要な行政上の措置について合意し、この協定の実施のための連絡機関を指定し、また、この協定の実施に影響を及ぼす自国の法令の変更に関するすべての情報をできる限り速やかに相互に通報する。(第一〇条関係)
20.両締約国は、この協定の解釈又は適用に関する紛争を交渉により解決できない場合には、個々の事案ごとに設置される仲裁裁判所に決定のため付託する。仲裁裁判所の決定は最終的なかつ拘束力のあるものとする。(第一一条関係)
21.第五条1にいう派遣又は同条2にいう自営活動をこの協定の効力発生日前に開始した場合におけるその派遣又は自営活動の期間は、この協定の効力発生日から開始するものとみなす。(第一二条関係)
22.この協定は、両締約国が、効力発生に必要なそれぞれの憲法上の要件が満たされた旨を相互に通告する外交上の公文を交換した日に効力を生ずる。(第一三条関係)
23.この協定は、無期限に効力を有する。いずれの締約国も、外交上の経路を通じて他方の締約国に対し書面によりこの協定の終了の通告を行うことができ、この場合には、この協定は、終了の通告が行われた月の後一二箇月目の月の末日まで効力を有する。また、この協定が終了する場合には、両締約国の権限のある当局は、この協定に基づいて生じた保険料の納付義務で履行されていないものに関する問題を解決するため、交渉する。(第一四条関係)
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