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最近のスリランカ情勢

2012年1月現在

1. 内政

(1)スリランカは大統領制を採用する民主主義国。1948年の独立後,一貫して選挙による政権交代が行われてきており,1946年に結成された知識人や富裕層を基盤とする統一国民党(UNP)と,1951年に結成された農村部や労働者層を基盤とするスリランカ自由党(SLFP)の2大政党が概ね交互に政権を担ってきた。現在は2005年11月の大統領選挙で当選したラージャパクサ大統領の下で,SLFPを中核とする統一人民自由連合(UPFA)が政権を担っている。

(2)ラージャパクサ大統領は,2009年5月に「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」を壊滅させ,内戦を終結させた。これにより国民の支持が高まったこと等を背景に同大統領が繰り上げ実施を決定し,2010年1月に実施された大統領選挙では,同大統領が対立候補のフォンセーカ前国防参謀長に大差をつけて再選された。更に同大統領が国会を解散して2010年4月に実施された総選挙では,与党UPFAが144議席(国会定数225)を獲得して大勝した。

(3)ラージャパクサ大統領が率いる与党UPFAは現在国会で161議席を占め(スリランカでは伝統的に選挙後に与党に鞍替えする政治家が多数存在),2010年9月には大統領の任期制限(三選禁止条項)の撤廃等を主な内容とする憲法修正案(第18次修正)を国会で成立させるなど安定した政権運営を行っている。また与党UPFAは2011年に実施された市町村レベルの地方議会選挙でも,7割以上の地方議会で過半数を獲得し勝利した。

2. 民族問題

(1)スリランカでは独立後,多数派シンハラ人を主体とする政府によりシンハラ人優遇政策が取られたことが契機となり,シンハラ・タミル民族問題が顕在化した。スリランカの北・東部を中心に居住する少数派タミル人は自らの権利拡大を求めたが,実現に至らなかった。1970年代に入り,政治的闘争に絶望したタミル人青年を中心にとしてLTTEなどの過激派が結成され,北・東部地域をタミル人のホームランドであるとして,その分離・独立を求め武装闘争を開始した。1983年以降政府軍とLTTEとの戦闘が激化し,本格的な内戦に発展した。

(2)2002年2月,ノルウェー政府の仲介により政府とLTTEの間で停戦合意が結ばれた。その後6回の和平交渉,2回の直接協議が行われたが,和平に進展は見られず,停戦合意違反が恒常化した。2006年7月末からは戦闘が激化して停戦合意は2008年1月に崩壊。政府軍は2009年1月以降北部のLTTE主要拠点を全て陥落させ,4月18日,プラバカランLTTE指導者を殺害,LTTEは壊滅した。同19日,ラージャパクサ大統領は国会で戦闘終結を宣言し,多数の国内避難民(IDP)の再定住と国民和解を進めていく旨表明した。

(3)ラージャパクサ大統領は,国民和解を進めるため,2010年5月に「過去の教訓・和解委員会(LLRC)」を設置。LLRCは,同年8月11日から国内各地で公聴会を実施し,政府関係者,有識者,元LTTE関係者,北・東部住民等から幅広く意見を聴取。LLRCは2011年11月20日,ラージャパクサ大統領に最終報告書を提出。スリランカ政府は同年12月16日同報告書を国会に提出し,公表した。最終報告書には内戦末期の人権問題の調査,国民和解の促進,人権状況の改善などに関する様々な勧告が含まれている。

(4)また,スリランカ政府は,最大のタミル政党タミル国民連合(TNA)との間で民族問題の政治的解決について協議を続けている。その一方で政府与党は,国会において国会選任委員会(PSC)の設置を提案しており,PSCの任務は,国民和解に向けた憲法上の措置を検討することであるとしている。しかし,野党UNPとTNAは参加を表明していない。

3. 人権・人道状況

(1)内戦終結時にはLTTEにより「人間の盾」とされたタミル住民を中心に約29万人の国内避難民(IDP)が発生した。スリランカ政府はこれらIDPの再定住を進め,28万人以上が再定住を果たした。政府は我が国を始めとするドナー国,国際機関,NGO等の支援を得ながら再定住したIDPの生活環境改善や生計手段の確保に取り組んでいる。

(2)内戦末期の人権問題に関し,2010年6月,潘基文(パンギムン)国連事務総長は自ら助言を求めるための国連専門家パネルを設置。同パネルは同年9月から活動を開始し,最終報告書を2011年4月12日に国連事務総長に提出し,国連はこの報告書を公表した。報告書では,スリランカ政府及びLTTEが人権侵害を行った可能性があるとの主張を採用すると述べ,国連事務総長に対し独立した国際的調査の即時開始などが求められている。

(3)LLRCは最終報告書の中で,内戦末期の戦闘で一般市民に死傷者が発生したこと、また、LTTEの投降者に対して,政府軍兵士が違法行為を行ったとの証言もあるとして、徹底調査と問題が明らかになった場合は関係者の訴追・処罰を求めた。スリランカ政府は,LLRCの勧告を受け,内戦中の犯罪が立証される場合被疑者を国内司法制度の下で裁きにかける旨を表明している。

(4)スリランカ政府は2011年8月,2005年8月から継続されてきた緊急事態令を失効させた。また,スリランカ政府は,2011年9月に人権保護・促進に関する国家行動計画を閣議決定し,同計画に基づき,2011年から5年間にわたり,市民・政治,女性,経済,社会・文化,子供,労働者,海外出稼ぎ労働者,IDPという8つの分野での人権状況のモニタリング,レビューを行う予定。

4. 経済情勢

(1)スリランカ経済は,伝統的にはコメと3大プランテーション作物(紅茶,ゴム,ココナッツ)を中心とする農業依存型経済であったが,経済発展とともに製造業や卸・小売業等が拡大し,最近では衣類製品が最大の輸出品目となっている。

(2)2010年の実質GDP成長率は8.0%に達し,過去30年間で最も高い成長率となった(1968年及び1978年に8.2%を記録)。特にサービス業の寄与度が大きく,内戦終結を受けて国内需要が活性化し,卸・小売業が堅調であったことに加え,治安情勢の改善による観光客増によりホテル・飲食業が著しい伸びを示した。また北部・東部等の復興需要や各種インフラ整備のための建設資材の需要も増加した。

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