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在ペルー日本国大使公邸占拠事件

平成9年6月12日
外務省緊急対策本部

ペルー事件調査委員会の報告についての池田外務大臣記者会見
(平成9年6月12日 17:58~)
於:本省会見室

○冒頭発言

 昨年12月17日に発生したペルーの大使公邸占拠事件については、御承知のと通り、3名の方の尊い犠牲はあったが、人質の大多数が救出されるという決着を見た。しかし、あの事件により人質になられた方、或いは家族の方に大変な苦痛を与えたということもあり、また国民の皆様、或いは世界全体に対しても大変な御心配をおかけした。外務省としても大変重大な事件であったと考えており、同事件の事実関係の解明、そして将来に向かって外務省としていろいろ改めるべきところは改めていく。そのために、どのような対処をすればよいかということで特別の調査委員会を事務次官をキャップにして作り、調査、検討を進めてきたことは御高承のとおりである。本日、同調査委員会の結論が出て、先ほど報告を頂戴した。皆様方のお手元にも、既に調査報告書が届いているかと存じている。
 御承知のとおり、3部構成になっており、第1部では、事件発生から解決、そして今日に至るまでの事実関係の究明、或いは反省点、今後の改善点についての調査、分析が記されている。第2部においては、事件が発生してから終結するまでのいろいろな事態の推移、そして我が国政府の対応について取りまとめ、その評価を試みているところである。第3部に「事件を振り返って」ということで、これから我が国が在外公館の警備強化について具体的に取っていくべき措置についての提言を行っているところである。この報告書については、大部なものであり、また皆様方のお手元に既に行っているものであるので、内容について自分があれこれ申し上げることは避けたいと思う。後ほど御質問があればそれにお答えしたいと思う。
 いずれにしても、この調査の結果として、我々は、個別の職員に具体的な職務執行上の落ち度があったとは判断していない。しかしながら、それでは全く何も問題がなかったかと言うと、そうは思わない。やはり、治安情報の収集・分析、そういった面において改善の余地はあったと思うし、警備上も盲点がなかったかというと、やはりそうではない。事後的にいろいろ振り返り、検討してみると「ここは盲点だった」というところも、調査報告書の中でも記述しているところである。このようなことはあるし、また、このような重大な事件が起き、我が国外交に対する信頼が損なわれた、この責任は非常に大きなものがある。このように考えているところである。
 以上を踏まえ、本日、同報告書を受けた上で、自分(大臣)として、関係の職員について所謂処分というものを行った。具体的に述べると、先ほど述べたように、職務執行上の具体的な落ち度があったということではないので、所謂国家公務員法上の責任を追求するということには該当しないという判断であり、外務省の内規に基づく処分を行った。具体的には、外務省の事務方の最高責任者である林事務次官について、内規上の最高処分に当たる厳重訓戒処分とした。また、原口官房長についても、在外公館の安全を含む所謂外交の実施体制についての責任者であるという立場で、同じく厳重訓戒としたところである。また、中南米地域の外交を総括する立場にある、当時中南米局長であった佐藤氏についても、その責任ということで内規上の二番目に重い処分に当たる訓戒という処分を行ったところである。また、当時ペルー駐箚の特命全権大使であった青木氏については、館員の指揮官として任国の治安情勢について情報収集・分析に遺漏なきを期すとともに、それに基づいて公館の警備に万全を期すべき在外公館長として自らの責務を十分全うできなかった、この責任は重大であるということで、内規上の一番重い処分に当たる厳重訓戒としたところである。
 以上が職員に関する処分である。先刻自分(大臣)より直接それぞれ処分を申し渡し、それぞれ受けたところである。なお、その際、林事務次官より、「事務方の最高責任者である立場にあり、我が国外交に対する信頼を失ったということは本当に重大なことであると責任を痛感している、そのようなことでこの処分を謹んで受けると同時に、自分として給与月額の10分の1相当額を自主的に国庫に返納したい」という申し入れがあった。自分(大臣)もいろいろ考えた。そこまで求めるのは、という気持ちもあったが、責任を痛感し、そして事務方の最高責任者として、国民の皆様方に対しても外務省職員全体としての責任を痛感していること、また、将来に向かって外交の信頼回復に向けて全力を尽くしていこうという気持ちの表れということで、この申し入れを譲渡したところである。
 以上が今回の事件に関わる処分である。
 なお、当然のこととして、今回の事件で我が国外交に対する信頼が失われた、その責任を最も重く負わなくてはならないのは、我が国外交の責任者である外務大臣という地位にある自分(大臣)である。自分もこれまでいろいろ考えてきたが、今回調査委員会の報告が出たということ、そして職員についても先ほど述べたような処分を行った、このような機会をとらえ、自分としての責任を取りたいという気持ちでいる。そして、先ほど総理のお目にかかり、事件調査報告を申し上げると同時に、自分として我が国外交に対する信頼を失ったことの責任は誠に大きいものがあると考え、その責めをとる意味で、外務大臣の職を辞させて頂きたいということをお願いしたわけである。これに対して総理のほうからは「その気持ちもわからないでもないが、自分(総理)としてはそれを認めるわけにいかない。外務大臣の任務というものはそんなに軽いものではない。辞めて責任が全うできるというものではない」、このようなお話があった。その理由としていろいろお話があったが、テロリズムに屈するということをどのように考えるのかということも考えなくてはいけないだろう、屈するか屈しないかということをどのように考えるかということだけではなく、今の日本の外交が抱えている多くの課題、そしてそれに対する適切な対応の大切さということを考えるならば、もし、日本外交の信頼を失ったということについて、君がそれだけの責任を感じているのならば、その責任感は従来以上に外交の責任者として働くことによって、そして自分(総理)を補佐することによって責任を全うすべきではないか懇々とお話があった。
 自分として、いろいろな気持ちはあるが、総理のそのような、自分の思い及ばなかった面をも含めたお諭し、そして責任の取り方についてのお話もあった。この際、職を離れたつもりで、日本の外交の信頼回復のために身を捨てるつもりで、外務省の諸君の力をかりながら、全力で外交の課題に対処し、総理を助けて日本外交の信頼回復と、我が国の外交関係の進展に尽くして参りたい、このように考えているところである。



INDEX

・ 橋本総理のペルー訪問(概要と成果)

・ 日秘首脳会談(平成9年5月11日)後のプレス・ステートメント

・ 本件解放直後の橋本総理記者会見(平成9年4月23日09:40~)

・ 本件解放直後の橋本総理記者会見(平成9年4月23日07:15~)

・ 池田大臣のペルー訪問(概要と成果)

・ 池田外務大臣内外記者会見記録(概要)

・ 衆議院本会議における総理の報告

・ 参議院本会議における官房長官の報告

・ 青木大使記者会見(概要 平成9年5月1日 於:外務省)

・ 青木大使記者会見(概要 平成9年4月23日 於:現地対策本部)

・ 在ペルー日本大使公邸人質事件解決に対する各国の反応

・ 最近のペルー情勢

・ 最近の日秘関係


解放までの日本政府の対応、各国の動きについては以下のとおり。


1.犯人側の要求とペルー政府の対応

2.日本政府の対応

3.国際社会の支持

4.人質の状況

・高村政務次官のペルー、キューバ及びドミニカ共和国訪問

 ・日・ペルー首脳会談(平成9年2月1日 於:トロント、カナダ)

  • 共同記者発表
  • 共同記者会見記録
  •  ・在ペルー大使公邸占拠事件クロノロジー

  • 概略版
  • 平成9年5月
  • 平成9年4月
  • 平成9年3月
  • 平成9年2月
  • 平成9年1月
  • 平成8年12月
  •  ・解放された邦人のリスト

     ・本件に関する外務省首脳の記者会見における発言

     ・本件に関する外務報道官会見記録

  • 外務報道官会見記録(5月)
  • 外務報道官会見記録(4月)
  • 外務報道官会見記録(3月)
  • 外務報道官会見記録(2月)
  • 外務報道官会見記録(1月)
  • 外務報道官会見記録(12月)





  • 1.犯人側の要求とペルー政府の対応

    (1)
    犯人側の要求

     今般在ペルー大使公邸を襲撃したMRTAの目的については、MRTA側が事件発生直後の昨年12月17日に発表したコミュニケにおいて、(イ)ペルー政府の経済政策の変更、(2)捕らえられている他のMRTAメンバーの釈放、(3)犯行グループ及び捕らえられている他のMRTAメンバーの中央アマゾン地域への移動、(4)戦争税の支払いの4点を要求した経緯がある。その後MRTA側は、一貫して捕らえられている他のメンバーの釈放の要求を公表してきているが、経済政策の変更や戦争税については言及しなくなっている。

    (2)
    ペルー政府の対応の基本的方針

     昨年12月21日に、フジモリ大統領は、国民向けTVメッセージの中で、ペルー政府は、犯人側が要求するテロリストの釈放等は受け入れられないとしつつも、事件を平和的に解決する責任を放棄しない旨述べており、占拠者に対し、保証人委員会に武器を預け、そして、一切の例外なく全ての人質の避難の便を図れば、ペルー政府による武力の行使の可能性は排除され、ひとつの解決策を検討することが全面的に保証される旨述べている。このように、ペルー政府は、事件の平和的解決を基本的方針としており、これは先般のトロントでの日・ペルー首脳会談及び3月7日のフジモリ大統領と保証人及びオブザーバーとの会談においても再確認されている。

    (3)
    ペルー政府と犯人側との交渉プロセス

    (イ)
    最初の直接交渉:
     昨年12月28日パレルモ教育相がペルー当局関係者としては初めて公邸に入り、犯人側と「非公式の対話」を行った。

    (ロ)
    パレルモ教育相の提案(1月12日):
     1)
    保証人委員会のメンバーを指名する(ローマ法王庁代表、国際赤十字、「対話者たち」を示唆)。
     2)
    交渉は双方が合意しうる場所で行う。
     3)
    保証人委員会ではこれまでのやりとりで明らかになった全ての問題を扱う。

    (4)
    ペルー政府と犯人側との交渉(予備的対話)に関する状況

    (イ)
    保証人委員会:
    (a)
    構成:シプリアーニ大司教(法王庁代表)、ヴィンセント駐ペルー加大使及びミニグ国際赤十字代表の3人。更に、日・ペルー首脳会談で、寺田大使が公式オブザーバーとして参加することが決定された(MRTA側も容認)。
    (b)
    役割:主として「人質及び人質をとった者たちの平和的脱出」の模索の保証及び合意の証人として便宜を供与する。

    (ロ)
    対話場所:
    公邸向かいの家屋で実施。また、予備的対話の実施にあたり、公邸と対話の場所との間の移動のための車輌が用意され、公邸周辺の警備も強化。

    (ハ)
    出席者:
    第1回から第3回までの予備的対話はペルー政府側パレルモ教育相とMRTA側ロハス容疑者との間で行われ、この対話には保証人の他オブザーバーたる寺田大使が立ち会った。第4回予備的対話以降は、同メンバーに加え、MRTA側のリーダーであるセルパ・カルトリーニが出席(第8回には欠席)している。

    (ニ)
    双方の立場:
    犯人側は収監中の仲間の釈放を要求。ペルー政府側は、収監中の仲間の釈放は認められないとの立場。


    2.日本政府の対応

    (1)基本的立場

     日本政府としては、テロに屈せず、また、人命尊重を最優先とし、平和的解決に向けたペルー政府の取り組みを信頼しつつ、一刻も早い本件の平和的解決及び人質の全面解放に向けて全力を傾注するとの基本的立場をとってきている。なお、事件発生当初いくつか見られた身代金要求に関する報道については、事実に反するのみならず、MRTA側を利するものであり、極めて遺憾と認識。また、2度にわたり起きた一部プレスによる公邸進入事件に対しても遺憾である旨表明。

    (2)体制

    (イ)
    国内での体制:
    外務省では、事件発生直後に事務次官を本部長とする緊急対策本部を設置し、現地(リマ)対策本部との連絡に当たり、情勢把握や関連情報の収集・分析等に当たっている。また、事件発生当日に総理官邸に設置された対策室との間でも緊密に連絡している。昨年12月19日には内閣総理大臣を本部長とする「在ペルー日本国大使公邸占拠事件対策本部」が設置され、必要に応じ会合が開催されてきている。

    (ロ)
    現地の体制:
    在ペルー日本大使館員は大半が人質として捕らえられているため、外務本省及び近隣在外公館より支援要員を派遣し、現地対策本部を設置(佐藤中南米局長が本部長、寺田駐メキシコ大使が顧問)。また、関係省庁よりも応援出張等の協力を得ている。

    (ハ)
    池田大臣のペルー訪問:
    事件発生の翌日(昨年12月19日)、池田外務大臣は日本を出発し、現地入りした。訪問の主要目的は、1)現地対策本部の体制立上げ、2)我が国の基本的考え方(人質の安全確保・平和的解決)のペルー側への伝達、3)主要関係外交団との意見調整、4)在留邦人・日系人との面談の4点であり、これら初動の目的を達成後、12月23日夜に帰国した。

    (3)ペルー政府との関係

     ペルー政府との間では、現地対策本部を通じフジモリ大統領、パレルモ教育相等と情報交換を行っている他、橋本総理とフジモリ大統領との間でも電話連絡やトロントでの会談を通じ緊密な連絡・情報交換に努めている。また、保証人委員会のオブザーバーとなった寺田顧問が、保証人メンバーと共に、ペルー政府とMRTAの間の予備的対話の促進のための側面支援を積極的に進めている。


    3.国際社会の支持

    我が国は各国との緊密な連絡・連携を進めると共に、国際社会がペルー政府の対応への支持を打ち出すよう働きかけている。主な支持表明としては以下のものが挙げられる。

    (イ)
    安保理議長による記者声明:
    昨年12月19日(日本時間20日)、安保理議長国たるイタリアのフルチ大使は、本件事件についての国連安保理の非公式会合を踏まえ、テロリストによる在ペルー日本大使公邸の占拠及び人質の拘束を強く非難する等を内容とする記者声明を発表。

    (ロ)
    G7/P8:
    昨年12月27日(日本時間28日)、パリにおいてG7/P8議長国たるフランスが、テロリストに対する譲歩の否定、人質の即時全面解放の要求、平和的解決に向けたペルー政府の努力の支持等我が国の提案を基礎とする内容の議長声明を発表した。

    (ハ)
    ASEAN諸国:
    1月上旬の橋本総理のASEAN諸国歴訪の際、各国首脳より、ペルー政府の対応振りや我が国の立場に対しての全面的支持が表明された。また、日・ASEAN間でテロに対処し国民生活の安全を守るための情報・意見交換のネットワークを構築することにつき賛同が示された。

    (ニ)
    ASEM:
    2月15日、シンガポールで開催されたASEM外相会合において犯人側を強く非難する「在ペルー日本大使公邸におけるテロ行為に関する議長声明」が採択された。

    4.人質の状況

    (1)現状

     国際赤十字の発表によれば、公邸内には依然としてペルー政府関係者、日系企業関係者、日本の大使及び大使館員、ボリビア大使ら70名余りが人質となっている。人質に危害は加えられていない模様。現在、公邸への電力供給は止められているが、水、食料等を外部から供給し、国際赤十字が必要な医療サービスを公邸内に提供、家族との書簡のやりとりも認められている。

    (2)人質及び家族等への支援

    (イ)
    本邦
    外務省は、累次にわたり本邦企業関係者向けの説明会を開催し、現地の状況、医療体制、人質の健康状態、書簡のやりとりや物資の差し入れ状況等を説明している。

    (ロ)
    リマ
     a)
    現地対策本部は、人質の家族及び関係企業関係者に対する説明会を開催。
     b)
    人質等に対する食事・飲料水の差し入れ我が国は主として日本人人質等のために国際赤十字を通じた日本食・飲料水等の差し入れの経費を負担。
     c)
    医療

     1)
    医療体制支援を目的とした厚生省医療チーム及び他の在外公館より応援出張の医務官が活動している。
     2)
    日赤の医療チームが国際赤十字の傘下で活動しており、1月28日より、日赤派遣医師が国際赤十字の医師と共にほぼ毎日公邸入りし、邦人人質に対する診断・治療にあたっている。
     3)
    厚生省医療チームは、人質の家族を含む企業関係者を対象とした健康相談を実施している。

     d)
    1月19日(日本時間20日)以降、毎日定時にラジオで人質の家族による選曲を中心とした日本の楽曲が放送されている。家族の選曲である場合には家族の要望に応じ、「誰から誰へのプレゼント」とのナレーションも併せ流されている。


    目次
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