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平成19年10月
1.国際水路機関(IHO)は1921年に設立された国際水路局を前身とし、1967年に」採択された国際水路機関条約に基づき、海図等の改善により航海を容易かつ安全にすることを目的に設立された国際機関。現在は韓国・北朝鮮を含む80の国と地域が加盟している。
2.IHOの業務の一つに世界の海域の境界と名称を記載した「大洋と海の境界」の編集・出版がある。1928年の初版から1953年に刊行された現行の第三版にいたるまで一貫して日本海の名称は「Japan Sea」と記載されている。「大洋と海の境界」の第四版出版に向けた改訂作業が1977年より断続的に進められている。韓国(1957年にIHO加盟)は、1986年の時点では公式に「日本海」の名称に同意していたが、1997年の第15回IHO総会において、過去において日本海には様々な名称が使われていたこと等を理由に、日本海と東海の名称を併記することを求めた。
3.2002年8月、IHO理事会は突然、IHO出版物「大洋と海の境界」第四次改訂作業最終稿として「日本海」部分の2ページを含まない案文を加盟国に配布し、この最終稿につき加盟国の賛否(2002年11月30日までにIHO事務局に回答)を問う回章(8月9日付)を発出した。日本政府は直ちにIHO理事会に対し、こうした手続が不当であると強く申し入れるとともに、回章の撤回を強く要求した。また、9月18日には、高橋外務省国際社会協力部長(当時)及び西田海上保安庁海洋情報部長(当時)をIHO本部(モナコ)に派遣し、9月に就任した当時の新理事(ギリシャ、米、チリ)に対し改めて同回章の撤回、「大洋と海の境界」1953年版の日本海表記の使用等を強く申し入れた。その結果、9月19日、IHO理事会は、先の回章を撤回することとし、以下の内容の回章を全加盟国水路当局に発出した。
(1)8月9日付回章の発出以来、IHO事務局は、加盟国から改訂版の内容について根本的な影響を及ぼすコメントを受領し、また、加盟国が投票することの意味合いについて、説明を要する多くの質問が寄せられた。加えて、IHO事務局はIHOの技術的目的を越える問題に直面している。
(2)上記の理由から、IHO理事会は、先の回章(8月9日付)を撤回し、また、現時点において「大洋と海の境界」改訂版最終稿の投票を取り下げることとする。しかしながら、IHO事務局としては、「大洋と海の境界」改訂版最終稿について加盟国のコメントを歓迎する。
4.2007年5月のIHO総会において、ウィリアムズ議長(当時)は、「大洋と海の境界」の改訂版を2巻に分け、日本海はじめ関係国の合意のない部分を掲載しない形で第一巻を先行して出版し、関係国の合意ができた時点で第二巻を出版するとの提案を行った。我が国としては、この議長提案は日本海の呼称につき、あたかも議論すべき余地があるとの誤解を与えかねない等との点で問題があることから、受け入れられないが、これ以上「大洋と海の境界」の改訂を遅らせるべきではないとの判断に基づき、以下のとおりの対案をIHO事務局に提出し、2007年9月、同対案がIHO加盟国に配布された。
我が国の対案
(1)関係国間で合意のない海域の地名は、現行第三版の「大洋と海の境界」で使用されている地名を改訂版である第四版でもそのまま用いて、第四版を出版する。
(2)第四版には、巻頭又は巻末に一般的な形で、すべての地名について合意があるわけではない旨の注釈を付す。
5.IHOは、この議長提案に関係国間の合意がないことを指摘しつつ、加盟国に対して我が国の対案への意見を求めているが、我が国としては、我が国の対案が国際社会の理解と支持を集め、「大洋と海の境界」の改訂が早期に実現することを期待している。