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米州における最近のFTAの動き
平成17年7月
1.FTAA(米州自由貿易地域)交渉
※南北米州全域(キューバ以外の34カ国)を含む自由貿易地域を創設することを目指す。現在、米、ブラジルが共同議長国。
※人口約8億人、域内GDP合計が12兆ドルの世界最大の自由貿易圏が誕生する。
- これまでの交渉において、中心的役割を果たしている米国とブラジルの意見の相違が大きかったことから、2003年11月の第8回貿易大臣会合(於:マイアミ)においては、決定的な対立を回避するために、全締約国に共通して適用される各分野の最低限の義務を定め、それ以上の自由化等については参加国間で個別に交渉できるとする、いわゆる「FTAAライト」(軽量版のFTAAという意)を目指す方向が打ち出された。
- 今後の方向性が示されたことで、本来の創設期限である2005年には何らかの形でFTAA協定が成立する公算が高くなったかに思われたが、現在は貿易交渉委員会が無期限延期されており、再度交渉が停滞している。
- 他方、米国は、2003年以降、米州域内の国々や地域経済統合体とFTA交渉を推進し、2004年に中米5ヶ国(エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、ホンジュラス及びニカラグア)及びドミニカ共和国とDR-CAFTAを署名した。また、コロンビア、エクアドル及びペルーとアンデスFTAを、またパナマとの間でも2国間のFTAを交渉中である。
2.地域経済統合体の動き
(1)南米南部共同市場(メルコスール)
※1995年に発足した関税同盟。
※加盟国はアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ。ボリビア、チリ、ペルー、エクアドル、コロンビア及びベネズエラが、限定的な連携協定を結ぶことにより準加盟国となっている。
※人口合計約2億2千万人、域内GDP合計約6,400億ドル。
(2)アンデス共同体
※1996年に発足した関税同盟。2005年までの共同市場発足を目標に、域内関税の撤廃、対外共通関税の実施等につき、交渉継続。(但し、ペルーが対外共通関税に反対する等、交渉は遅延ぎみ)。
※加盟国はボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー、ベネズエラ。
※人口合計約1億2千万人、域内GNI合計約2,650億ドル。
- (メルコスールとのFTA交渉については上記(1)の通り。)
- 2004年1月、EUと政治対話・経済協力の協定に調印した。
- アンデス共同体としてのブロック単位のFTA交渉は停滞。個々の加盟国による独自のFTA交渉の動きが進みつつある。(例:ボリビア・チリなどが交渉中。ベネズエラ、コロンビア、ボリビアがそれぞれ対メキシコFTAを締結済み。対米FTAの動きについては1.の通り。)
(3)中米共同市場
※中米共同市場(CACM):「中米統合に関する一般条約」に基づき1960年12月に創設された経済統合。加盟国はエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカの5カ国。
- 中米5カ国(グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ)がひとまとまりとなり、中南米諸国、米、加、EU等とのFTAを推進。
- 2003年1月より中米5カ国と米との間でFTA(CAFTA)交渉が開始され、12月、コスタリカを除く4カ国との間で交渉が妥結。2004年1月にはコスタリカとも交渉が妥結し、5月に署名した。また、2004年3月には、米とドミニカ共和国との間で交渉が妥結し、CAFTAに参加する形となった(米と上記6ヶ国のFTAとしてDR-CAFTAと称される)。また、SICA加盟国であるパナマ、中米諸国、米等との経済連携を強化している。
(4)カリブ共同体
※カリブ共同体(カリコム):1973年に設立された経済統合体。カリブ地域の14カ国、1地域が加盟。
- カリコムは、FTAA交渉を睨みつつ、対外貿易交渉における自己の立場を強める意図等もあって、現在進行中の域内経済統合(カリコム単一市場及び経済:CARICOM Single Market andEconomy(CSME))を、FTAA等に先んじて、早期に設立させる(当初予定は2005年末まで)ことで合意している。
※FTA締結済み:ドミニカ共和国(1998)
※FTA署名済み:コスタリカ
(5)南米共同体
- 2004年12月に開催された第3回南米サミットにて設立が合意された南米12ヶ国(メルコスール、アンデス共同体)。
- 当面は域内のインフラ、エネルギー、通信分野等における統合を目指すが、将来的な目標として、EU型の共同市場の創設を掲げる。
3.その他主要な動き
(1)メキシコ
- 1994年1月に発効したNAFTAを皮切りに、その後、中南米諸国やイスラエルとのFTAを締結。2000年7月にはEUとの協定が発効し、北米、中南米、欧州を繋ぐ十字路としての役割を有するに至った。
- 2001年にはEFTAとの協定も発効。2004年7月にはウルグアイとのFTAが発効し、アルゼンチン、エクアドル、ブラジル、パラグアイ及びカリブ諸国を除く米州全域とFTAを締結。合計43カ国(含む拡大後のEU25ヵ国)とFTAを結んでいる。
- 2005年4月1日、アジアでは初となる日本とのEPA(日・メキシコ経済連携協定)が発効した。
※FTAを締結済み:日本、NAFTA(カナダ、米)、EU、EFTA、ホンジュラス、ニカラグア、グアテマラ、コスタ・リカ、エルサルバドル、ベネズエラ、コロンビア、ボリビア、チリ、ウルグアイ、イスラエル。
(2)チリ
- 2003年2月、EUとの政治・経済・協力連合協定(政治・協力関連条項は2005年3月より発効)、2004年1月に米、2004年4月に韓国とのFTAが発効。計35カ国とFTAが締結済。
- 2005年5月にニュージーランド、シンガポール及びブルネイとの4カ国FTAに署名。その他、中国、インド等との間でFTA交渉を実施しているなど、米州、欧州に続き、アジア太平洋へとFTAのネットワークを拡大することを意図している。
- 現在、日本との間でEPA/FTA共同研究会を実施中。
※FTA締結済み:カナダ、メキシコ、コスタリカ、エルサルバドル、EU、韓国、米、EFTA
※FTA署名済み:ニカラグア、グアテマラ、ホンジュラス、NZ、シンガポール、ブルネイ
※交渉中のFTA:中国、インド
※締結済み経済補完協定:メルコスール、ボリビア、ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー
(3)2003年12月、G-20(9月のWTOカンクン会合にて伯が開発途上国を糾合したグループ)の会合(於:ブラジリア)において、ブラジルはG-20メンバーによる自由貿易圏創設について提案。