ラオス人民民主共和国

最近のラオス情勢と日・ラオス関係

平成28年6月28日

最近のラオス情勢

1 内政

概要

  • (1)ラオスの統治制度は、人民革命党による一党支配体制で、党幹部が各国家機関の幹部を兼任。人民革命党は、党大会を5年に1度開催し、5年毎の政策方針と書記長、政治局員、書記局員及び党中央委員等の党中央指導部人事を決定。現在の党最高位は、ブンニャン・ヴォーラチット国家主席兼党書記長。
  • (2)ラオスの国家元首は国家主席で、ラオス国民議会が選出する。現職はブンニャン・ヴォーラチット国家主席兼党書記長。
  • (3)ラオスの議会は国民議会で一院制。5年に1度総選挙が行われ、年2回通常会議が開かれる。立法機関としての役割の他、行政及び司法機関を監督する権限を有する。現議長はパーニー・ヤートートゥ議長(党政治局員)。
  • (4)首相及び閣僚は、国民議会の承認に基づき、国家主席が任命する。現在の首相及び外相は、それぞれトンルン・シースリット首相(党政治局員)、サルムサイ・コンマシット外相(党中央委員)。

最近の動き

  • (1)2016年1月18日から22日、5年に一度の第10回党大会(5年毎)を開催。政治局員11名、党書記9名を含む中央委員69名を選出。党書記長にはブンニャン国家副主席兼党書記局常任委員が昇格した。
     党大会では、党の指導的役割を強調、社会主義体制を堅持しつつも、改革・開放路線を継続する方針が示された。前回の党大会では「4つのブレークスルー」と称するイニシアティブが発表されたが、今次党大会では、従来、5カ年計画のみだった社会経済開発計画が「ビジョン2030」、「社会経済開発戦略10カ年戦略2016-2025」、「第8次国家社会経済開発計画2016-2020」の3本が承認された。
  • (2)2016年3月20日、第8期国民議会議員選挙を実施し、4月20日~23日、国民議会初回会合を開催。同20日、国家主席にブンニャン党書記長(党書記長と兼務)、新首相にトンルン副首相兼外相、外務大臣にサルムサイ外務副大臣がそれぞれ選任され、新政府指導部が発足。また、第8期国民議会より、25年ぶりに地方議会が復活した。

2 経済

概要

  • (1)1975年の革命以降の計画経済の行き詰まりから、市場経済メカニズムの導入を進め、1986年の第4回党大会にて市場経済化と経済開放を柱とする改革路線を採択。この改革路線は90年代に至り成果があがり始め、1992年から1996年迄は年5%~8%台を記録。しかし1997年のアジア経済危機に際しては、自国通貨安とインフレ、近隣国経済の失速に直面し、1998年の経済成長率は4%台まで下落。その後、政府の財政・金融面における統制強化や外国投資・支援等の着実な流入を背景に、その後数年で成長率は概ね6%~7%まで回復。2006年には8%後半を達成し、インフレ率も2005年には7%台まで減少した。
  • (2)産業に関し農業が、GDP構成比で約2割を占め、労働人口の約7割が従事。近年産業別GDP構成比は、サービス、工業の比率が増加。工業分野では鉱業と製造業、サービス分野では特に卸・小売業の成長が著しい。
  • (3)ラオスの貿易収支は長年、赤字で推移。2000年代半ばより、金や銅の輸出により輸出額は増加した。ラオス国内で生産できる製品が限られていることから消費財や投資関連財の輸入が増加傾向にあり、特にタイからの物資輸入が顕著。主な貿易相手国は、タイ、中国、ベトナムなど。

最近の動き

  • (1)2014年は、鉱業や製造業、サービス業などの継続的な成長に支えられ、経済成長率は7.56%、1人当たりGDPは1,725米ドルを達成。インフレ率は4.13%となっている。投資分野では中国及び越企業の進出が顕著であった。なお、2010年末にラオス証券取引所が開所し、2011年1月から取引が開始され、2016年6月現在6社が上場している。
  • (2)2014/15年度は、輸出が約34億米ドル、輸入が約43億ドル。主な輸出品は、銅製品、電力で、主な輸入品は、電気機器、機械類、燃料等。貿易相手国としては、輸出、輸入ともタイがトップである一方で、近年、対中貿易量の増加が顕著。輸入については、電気機器を含む消費財や機械類等の投資関連財、燃料が主。主な輸出品については、銅製品・銅鉱物、電力が主であるが、近年の鉱物資源価格の低迷の影響を受け鉱物資源の輸出の伸びは落ち着きつつある。近年の輸出の傾向として、木材製品の輸出の伸びが著しく、また中国への農産物輸出も増加傾向。

3 外交

概要

  • (1)1975年以降は、ソ連を始めとする社会主義国との関係を重視するが、1986年の改革路線の採用以降は、外資誘致と外国支援獲得のため西側諸国を含む幅広い協力関係を模索。1997年にASEANに加盟し、2004年にASEAN議長国、2012年にASEM首脳会議を主催する等、国際場裡における存在感を高めている。なお、2016年はASEAN議長国を務めている。
  • (2)ベトナムとは「特別な関係」にあり、党・政府ハイレベルの交流が活発。中国とは「包括的かつ戦略的パートナーシップ」に基づき関係が拡大。
  • (3)タイは、1975年の革命以降、国境問題で緊張関係にあったが、1990年代からは、貿易・投資面で圧倒的な存在感を示している。なお東北タイとは同根の民族で、言語もほぼ同じ。

最近の動き

  • (1)2016年1月から1年間、ラオスはASEAN議長国を務め、2月の米ASEAN特別首脳会議(於米国サニーランド),同月のASEAN外相リトリート会合(於:ビエンチャン),5月のASEAN国防大臣会合(於:ビエンチャン)を始めとする様々なASEAN関連会合を主催。7月にはASEAN関連外相会議、9月にはASEAN関連首脳会議がそれぞれラオスで開催される予定。
  • (2)2016年1月の第10回党大会では、全方位外交の下で引き続き諸外国との友好協力を促進していく方針が確認された。
  • (3)2016年4月の新政権発足後、ブンニャン国家主席兼党書記長およびトンルン首相は初の外遊先としてベトナムをそれぞれ訪問し、ベトナムのクアン新国家主席も初の外遊先としてラオスを訪問し,「伝統的な友好関係、特別な団結及び包括的な協力」の継続・強化を確認。中国との間では、2016年5月にブンニャン国家主席が訪中し、習近平との首脳会談において、2009年に格上げされた「包括的かつ戦略的パートナーシップ」に基づき両国関係を促進していくことで一致した。また同年5月両国外交関係は55周年を迎えた。
  • (4)2016年1月にはケリー米国務長官がラオスを訪問し、9月にはASEAN関連首脳会議のためオバマ米大統領の訪問が予定される等、米国との関係強化にも取り組んでいる。

我が国との関係

1 要人往来

実績

1986年の改革路線採択後、1989年のカイソン首相訪日から交流が次第に活性化。特に1999年の秋篠宮同妃両殿下のラオス御訪問、翌2000年の小渕総理のラオス訪問以降、首脳間の往来が頻繁に行われるようになる。

最近の動き

  • (1)2015年、両国は外交関係樹立60周年の節目を迎えた。同年1月、中根一幸外務大臣政務官(当時)がラオスで開催された同周年オープニング式典に出席した。同年3月には、トンシン首相(当時)が公式実務訪問賓客として訪日し、安倍総理との間で首脳会談を実施し、両国関係を従前の「包括的パートナーシップ」の関係から「戦略的パートナーシップ」の関係に格上げすることで合意したほか、60周年を記念する夕食会が秋篠宮同妃両殿下御臨席の下開催され、同周年を祝った。
  • (2)続く同年7月に第7回日メコン首脳会議出席のためトンシン首相(当時)が訪日した際、及び同年11月にマレーシアで開催されたASEAN関連首脳会議の際にそれぞれ首脳会談を実施。一年間に3度の首脳会談を実施する等、両国史上最もハイレベルかつ緊密な交流が実現した。
     2016年に入って、2月に岸田外相とトンルン副首相兼外相(当時)との間で二国間会談が行われ、ラオス新政権発足直後の5月に岸田外相がラオスを訪問してトンルン首相及びサルムサイ外相とそれぞれ会談を行った。同月下旬にはトンルン首相がG7伊勢志摩サミット・アウトリーチ会合出席のため訪日し、安倍総理との間で初の首脳会談を実施した。

2 投資

概要

  • (1)ラオスは1986年から市場経済の導入、開放経済政策を推進しており、ラオスの投資環境改善を通じた外国投資の誘致を行っており、ラオスへの外国投資は年々増加傾向にある。
  • (2)対ラオス投資促進及びラオスにおける投資環境の改善を目的として、2007年12月に、ビエンチャンにて日ラオス官民合同対話第1回会合が開催され、同会合にて日本側から政策提言をラオス側に提出。翌2008年の第2回会合では、ラオス側から右提言に対する行動計画が提示された。
  • (3)また、ラオスの外国投資環境整備のため、2006年に麻生外務大臣とトンルン副首相兼外相との間で日ラオス投資協定の交渉開始が決定され、その後3度の交渉を経て、2008年1月に、髙村外務大臣とトンルン副首相兼外相の間で署名がなされ、同年7月に締結、8月に発効した。投資協定合同委員会が過去2回開催され同協定の実施状況につき意見交換が行われた(第1回会合は2009年。第2回は2010年)。

最近の動き

  • (1)2014年の日本からの対ラオス投資額(承認ベース)は、約3,850万米ドルで、国別で9位。2009年11月に設立されたビエンチャン日本人商工会議所は、2016年4月時点で61社が加盟している。この他、2016年時点で、ラオスには約132社の日本企業が進出。また、2014年には、JETRO事務所が設立されている。
  • (2)2007年以降、現在に至るまで毎年開催されている日ラオス官民合同対話は、駐ラオス日本国大使とラオス計画投資大臣が共同議長を務める形で開催。本会合で各ワーキンググループの議論の結果を公表しつつ、議論を深めている。2016年12月には第10回目となる会合が開催予定。
  • (3)2016年5月、日ラオス航空協定が発効。

3 貿易

長年、日本からの輸入超で推移しており、2015年についても、日本からの輸入が約127億円に対し、日本への輸出は約118億円。ラオスは日本から、金属製品、繊維製品、自動車、一般機械等を輸入し、ラオスは日本へ、衣類、食料品等を輸出している。

4 経済協力

  • (1)日本の対ラオス支援は、ラオスの国家成長・貧困削減戦略及び社会経済開発5ヵ年計画の実現を支援する観点から、貧困削減および人間開発に向けたラオスによる自助努力を支援するとともに、グローバル経済及び地域経済への統合に向けて、自主的・自立的かつ持続可能な経済成長を実現するためのラオスによる自助努力を支援するもの。2012年4月に策定された「対ラオス国別援助方針」 に基づき、インフラ、農業、教育、保健の分野を重点分野として支援を実施中。
  • (2)1991年以降、日本はラオスにとっての最大の援助国。また、ラオスは1965年に日本が始めて青年海外協力隊を派遣した国でもある。20014年度の援助供与額は、有償資金協力、無償資金協力、技術協力合計で約65.2億円。

5 文化・青少年交流

  • (1)近年、市民レベルでの交流も活発化しており、日ラオス外交関係設立60周年を迎えた2015年には、両国で様々な交流事業が開催された。また2016年5月、昨年に引き続き「ラオス・フェスティバル」が東京で開催された。
  • (2)また、市民レベルでの交流と共に、両国は「東南アジア青年の船」や「21世紀東アジア青少年大交流計画(JENESYS)」、文部科学省国費留学生制度等を通じ青年交流の促進に努めている。2016年は、「JENESYS2016」を通じて合計350名のラオス人学生を日本へ招聘予定。

6 在留邦人数

  • (1)在留邦人数:743人(2015年10月現在、在留届ベース、暫定値)
  • (2)日系企業数:132社(大使館調べ)

7 在日ラオス人数

2,715人(2015年12月入管発表)

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