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外交最前線 インタビュー
〈50度近い厳しい環境〉イラク復興支援の最前線サマーワで、 大きな期待を背に、支援活動を積極的に展開 小川サマーワ事務所長に聞く [中央公論新社発行「中央公論」2004年9月号より転載]
Q:陸上自衛隊とともに、外務省もサマーワに人員を派遣していると聞いていますが、どのような活動を行っているのでしょうか。 小川●外務省のサマーワ事務所は、今年1月に陸上自衛隊が当地に到着すると同時に設置されました。現在、この事務所は陸上自衛隊の宿営地の中にあり、私を含め5名が寝起きを共にしながら勤務しています。 外務省事務所の活動は、政府関係者など地元の有力者との密接な関係の構築、現地の治安や政治状況の把握、政府開発援助(ODA)による支援の実施、通訳・助言といった自衛隊の支援などです。 最近は、連日、日中には50度近くにも及ぶ厳しい環境ですが、所員一同元気に頑張っています。 〈ODAと自衛隊の支援は車の両輪〉 Q:サマーワでのODAによる支援についてお話いただけますか。また、日本の支援に対する反響はいかがでしょうか。 小川●今年の1月以来、サマーワ事務所は、厳しい勤務環境や予断を許さない治安状況の下で、自衛隊と緊密に連携しながらODAによる支援を着実に進めてきました。これまでに、給水車、浄水器、医薬品や医療器具の供与を実施しました。さらに、国際機関を通して、学校の修復や社会的弱者層の住宅再建事業、雇用拡大に資する清掃事業などを行っています。今後さらに、給水車(追加)および給水タンク、医療機材、警察車輌、消防車などの供与といった支援を実施していきます。 また、文化面では、1,000個のサッカーボールなどを供与しました。今後、サッカー・スタジアムの修復、国際交流基金を通じて学校に対する図書寄贈なども行う予定です。 自衛隊を含めた日本の支援に対しては、県知事や宗教指導者から一般の市民に至るまで、サマーワの人々に多くの謝意をいただいています。 今後とも、日本政府は、このODAによる支援と、自衛隊が行う人道復興支援とを「車の両輪」として緊密に連携させることによって、より効果的な支援を実施していきたいと考えています。 Q:イラクに関しては連日のように武力衝突や爆発テロ事件などが報じられていますが、サマーワの情勢についてお聞かせください。 小川●サマーワでも、4月の7日と29日に、自衛隊宿営地付近に迫撃砲弾が着弾する事件があったほか、最近では先月30日に県警本部近くでの爆発、1週間前には幹線道路沿いでも爆発がありました。 ただ、サマーワではイラクの他の地域に比べれば、情勢は落ち着いています。これは、サマーワのほとんどの住民が、人道復興支援を行っている自衛隊やイラク警察とともに治安維持活動を行っているオランダ軍を歓迎していること、また、人口が少なく住民間の結びつきが強いので、外部から流入した者が不穏な活動を行うのが難しい、という理由からだと思われます。 〈治安の安定が復興への道筋〉 Q:厳しい状況の中で支援活動を行っているわけですが、今後の展望と、読者へのメッセージをいただけますか。 小川●わが国をはじめとする国際社会は、イラクの復興に出来る限りの手助けをしようとしていますが、治安が障害となっています。治安が安定すれば、イラクの人々の努力と国際社会の援助とが上手くかみ合い、復興への道筋になろうかと思います。6月28日にイラクの人々に統治権限が移譲されたことを契機に、治安の安定に向けたイラク人の努力が強化されることを期待しており、先日の国家安全法の施行も、そうした努力の一環とみています。 ここサマーワ市のあるムサンナー県の開発は長年、中央政府に軽視されてきており、支援を必要としています。日本の人々には、自衛隊の人道復興支援とと もに、私どもが行っている活動についてもご理解いただきたいと思っています。 (本稿は7月12日にインタビューしたものです)
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