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「第2回日・GCC安全保障セミナー」
(概要と評価)


平成15年3月


 3月4日~5日、カタールにおいて「第2回日・GCC安全保障セミナー」が開催された。概要と評価は以下のとおり。


1.概要

(1) 3月4日及び5日の両日にわたり、カタールにおいて「第2回日・GCC安全保障セミナー」がカタール外務省、カタール大学、日本外務省共催により開催された。右セミナーには日本、GCC(サウジ、ア首連、カタール、バーレーン、オマーン、クウェート)及び米から安全保障問題に関する有識者が参加し、湾岸の安全保障問題を中心に活発な意見交換を行った。

(2) 本セミナーは、平成13年1月、河野外務大臣(当時)が湾岸諸国訪問時(サウジ、クウェート、カタール、ア首連)に提唱した「湾岸諸国との重層的関係に向けた新構想」のフォローアップとして開催されたもので、2001年10月の東京でのセミナーに続く2回目の会合であった。日本と湾岸諸国との関係は、経済関係を中心とした相互依存関係にあったが、中東のみならず国際社会の安定と繁栄に不可欠な湾岸の安全確保への方途を採るために本セミナーは開催されたものであった。

(3) 各セッションを通じ、湾岸地域及びアジア太平洋地域の安全保障問題や、シーレーン問題、特に緊張を増すイラク情勢等に関する意見交換が行われた。なお、セミナー冒頭において、ホレイフィ・カタール大学総長、ホレイフィ・カタール外務省アジア・アフリカ局長による挨拶、在カタール城田大使による川口外務大臣メッセージの代読が行われた。


2.主要な議論

(1) 湾岸安全保障について(政治・経済・社会的観点から論議)

(イ) 湾岸地域は、地理的に周囲をイラク、イランなどの大国に囲まれており、これらの大国はGCC諸国の脅威となっているが、GCC各国毎の脅威認識が異なっているため、統一的対応を困難なものとしている。ただし、イラク問題に関しては、GCC諸国からの全ての参加者が平和的解決を切望。

(ロ) 湾岸地域においては大量破壊兵器及び弾道ミサイルの拡散に関する懸念が存在し、右に対する国際的取り組みが急務。

(2) 湾岸安全保障と世界(世界から見た湾岸、世界の対応)

(イ) 湾岸地域は、莫大な原油生産量、埋蔵量を有し21世紀においても世界で最も重要な地域の1つであり続ける。日本にとって湾岸諸国の原油は、今後とも死活的に重要であることから、同地域の政治的、経済的安定は不可欠。

(ロ) 湾岸諸国では若年層の失業率が高いが、高い教育を受けた若年層が今後同地域において魅力的な市場の開発と拡大を行い、海外からの投資を促進する潜在的可能性を有す。

(ハ) 湾岸諸国は従来、欧米指向型の外交を行ってきたが、21世紀は、日本、中国等アジア地域にも指向した東西(欧米・アジア)のバランスのとれた外交関係の構築が必要。

(3) 湾岸安全保障と日本

(イ) アジア地域と湾岸を結ぶシーレーンの安全確保は世界的な次元で重要。他方同海域には海賊等の脅威、テロの可能性も存在することから、シーレーンの安全確保のためには、多国間によるアプローチが必要であり、今後、国際社会で責任ある地位にある日本の積極的な取り組みが期待される。

(ロ) 米軍等による対イラク軍事行動が開始され場合、湾岸地域の安全保障だけではなく、世界的な規模で国際社会の安全保障に悪影響を与える恐れがある。多くの湾岸諸国がイラク問題の平和的解決を実現するために、国際社会における日本の積極的な外交努力を期待。


3.評価

(1) 今回の「第2回日・GCC安全保障セミナー」は、日ごとに緊張を増すイラク情勢を受けて国際社会が湾岸の安全保障問題に大きな関心を有する中で行われたこともあり、日本が湾岸地域の安全保障の確保に大きな関心を有していることをアピールする良い機会となった。

(2) 当初GCC諸国よりの参加者が、イラク問題のような機微な問題について公の場で意見交換できるのかと危惧する向きもあったが、実際にはGCC各国よりの参加者からは活発な意見が出された各セッションとも毎回時間を超過するほどの白熱した意見交換が行われ、極めて内容の濃い有意義なセミナーとなった。

(3) イラク問題に関しては、全てのGCC諸国参加者が、平和的な解決を望んでいる反面、具体的対応に関しては各国により意見が異なっており、イラク問題に対するGCC諸国の統一した対応の難しさを反映していた。

(4) 今次セミナーを成功に導いた大きな要因としては、前回のセミナーに参加した日本著名有識者の参加と、カタール大学湾岸研究所長のアレンジによるGCC側の著名有識者の参加が得られたことがあげられる。高い見識に基づく湾岸安全保障に関する発言が多数なされ、セミナーを一段と有意義なものにすることができた。

(5) また、今次セミナーには、日本とGCC諸国の有識者に加え、湾岸地域の安全保障問題研究に長年の蓄積がある米より、国際的に著名な有識者を招いた。米よりの参加は現地マスコミの関心を呼ぶとともに議論の和を広げるといった観点から有効であった。

(6) 日本側参加者に対してセミナーの前後を利用し、ラスラファン天然ガスコンビナート等の見学を実施した。右によりカタールのエネルギー政策等、湾岸安全保障に対する理解を深めることができた。

(7) 最終回である3回次セミナーは2003年10月中旬に東京で開催されることが合意伝達された。



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