審議会等

海外交流審議会答申「我が国の発信力強化のための施策と体制」
-「日本」の理解者とファンを増やすために-
(骨子)

1.背景

 冷戦の終焉、経済のグローバル化、IT技術やメディアの発達により、近年、国民世論や有識者の論調が外交政策に与える影響が格段に増している。対象国国民とその世論に直接働きかけるいわゆるパブリック・ディプロマシーを抜きに、いまや外交はその目的を達することができない。本審議会は我が国にとってのパブリック・ディプロマシーの方途を種々の観点から検討、ここに答申を明らかにする。パブリック・ディプロマシーに関わる5つの包括的提言として、外務省にとって初めてのものとなる。

 主要国は自国の魅力を海外に直接伝え、自国語を普及する取組を一層強化している。我が国も、より一層効果的に、かつ抜本的に発信力を強化し、我が国に対する共感と信頼の増進に資するには何をなすべきか、さまざまな施策を検討した。その際、ポップカルチャー等現代日本文化がひきつけた対日関心層の裾野が広がる一方、先進国を中心に有識者層の対日関心が相対的に低下する、いわば「二極化現象」を認め、これに効果的に対処する必要を重視した。

2. 基本認識

 我が国の発信力強化のための具体的な施策を検討するにあたり、その効果を最大化するために、以下の諸点に留意する必要がある。

(1)主体:政府だけでなく、企業や市民団体を含む国際貢献を担う幅広い主体が官民連携して一体となって取り組む。また、我が国の「顔」として個人(政治家、芸術家、オピニオンリーダー)の役割を重視する。

(2)内容:伝統文化及びポップカルチャーに代表される現代文化など我が国が世界に誇る豊かなコンテンツを最大限動員する。

(3)対象:次世代を担う若年層に対する未来志向の発信、国際世論への影響力が高い有識者に対する発信、及び知日派のネットワーク化を重点的に行う。また、米国、韓国、中国及び東南アジアなど、国・地域毎に、その特性、二国間関係や歴史などにも目を配る。

(4)体制:発信を司る政府関連部局の予算・体制の抜本的拡充と同時に、新たなモデル事業等も活用しつつ重点化・合理化に努める。

3. 具体的施策

 我が国の発信力を一層強化するため、以下の具体的施策を行うことを提言する。

(1)テレビ国際放送の拡充:

 平成20年度中に開始を目指すNHK及び子会社による国際放送が、アジアの発信拠点として相応しいBBC等に比肩する規模となることが望まれる。民放の参加を得て、日本の報道を中心に討論・教養・エンターテイメントを加味した番組内容とし、有能な出演者を得る等して視聴者のニーズを捉えた真に魅力あるものとする。在外公館を有する外務省も、NHK及び総務省と協力し、国際放送受信環境整備に貢献する。在留・訪日外国人等に向け、国内への発信の検討が望まれる。

(2)日本語教育の拡充:

 日本語教育拠点数を2~3年以内に主要国並みの100カ所以上とする。ポップカルチャー人気や日本企業進出等のニーズの変化に応え、日本語教育を担う多様な人材の海外派遣や現地日本語教師の育成を行う。また、日本語学習者の利便向上のため、現地事情に併せた教材を製作し、能力試験の複数回化(今は年1回)や点数化等を図る。外国人労働者による社会への円滑な統合にも日本語教育は重要。平成20年度新たに開始予定の「日本文化発信プログラム」を積極的に推進する。これらの具体的施策にあたっては、日本語教育に経験豊富な官民双方の機関間の一層の連携に努める。

(3)ポップカルチャー等の現代日本文化の活用及び文化交流貢献者の顕彰:

(イ)マンガ、アニメ等のポップカルチャー、食、デザイン、ファッション等の現代日本文化を文化事業に積極的に取り込む等して、その人気を日本への関心に結びつける。この観点から「国際漫画賞」や「アニメ文化大使」を積極的に活用する。

(ロ)シンガポールに設置が予定される「ジャパン・クリエイティブ・センター」を現代日本文化発信のモデル事業として、効果の高い官民連携の在り方を探る。同時に、広報文化センターをはじめ既存の文化交流拠点でも、現代日本文化を紹介するに相応しいコンテンツを充実化させる。また、容易なアクセスを確保することにより、現代日本文化を体現し、若者をはじめ幅広い層が集う場となるよう努める。また、現地のポップカルチャー・イベント等との連携を図ったり、現地メディア等を通じて最新情報を継続的に提供する。

(ハ)文化交流に特に貢献した内外の人々を顕彰する方途を探る。知的財産権保護やコンテンツ規制除去のため、相手国政府に働きかけを強化する。

(4)有識者層における対外発信:

 世界的に影響力のあるシンクタンクや大学等に対し、日本研究や日本との共同研究を支援する。また、招聘・人脈構築等を通じエリート層の日本理解を促進する。更に、日本有識者の国際会議参加や若手育成等を積極的に支援する。有識者がインターネット上で我が国政策の解説や論評を英語で発信する取組を強化する。我が国への留学生が貴重な人的資産であるとの認識の下、彼らの快適な生活環境を整備し、帰国後の同窓会設置や日系企業等への就職を支援する。

(5)各国・地域毎の対応:

 中国、韓国及び東南アジア等近隣国については、特に意識して取組を強化する。就中、中韓両国について、未来指向の関係強化のため、青少年交流等を一層促進する。米国については、福田総理訪米時の「日米交流強化イニシアチブ」を踏まえ、有識者層における対外発信、交流を通じ、対日関心を高めるよう努める。欧州、中東、中南米、アフリカについてもきめ細かい地域毎の対応策を検討する。

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