外交史料館は、わが国外交において歴史的価値のある記録文書を保存管理し、利用に供するとともに、外交史料の編さんを行う外務省の施設です。所蔵する特定歴史公文書等には、「戦前期外務省記録」を中心とする幕末から第二次世界大戦終結までの記録と、歴史的価値があるとして受け入れた戦後期の外交記録文書があります。
外交史料館は、外務省の一施設として、1971年(昭和46年)4月15日に開館しました。
外務省では、明治初年以来、省内の一切の記録を網羅的に収集・分類・保存するほか、文書類の編さん・刊行を担当する事務を重視し、力を入れてきました。
戦前期の外相石井菊次郎は、「書類整備の完否は結局、外交の勝敗を決する」とまで言い切っています。しかし、残念ながら第二次大戦によって多数の重要記録が焼失しました。戦後は、残存したものを整備する一方、散逸史料の収集・復元をはかり、さらに連合国に接収された記録の返還をもとめるなど、幾多の努力を重ねてきました。
他方、1936年(昭和11年)以来、所蔵記録の中から主要な文書を整理・編さんした『日本外交文書』を公刊し、外交知識の普及と向上に貢献してきました。
戦後、とくにサンフランシスコ平和条約成立後、外交史実に対する関心が高まり、またその研究も急速に進歩し、外交史や国際政治学をはじめ、諸学を専攻する内外の学者・研究者の外務省記録に対する期待がいよいよ大きくなってきました。従来外務省には特別の閲覧施設といったものがなく、また省員が担当事務のかたわら閲覧希望に応じていたため、十分にその便宜をはかることができませんでした。
一方、外交に関する有識者や学者・研究者などの間から、欧米諸国の例にならい、史料館の設立を要望する声が高まり、また外務省としても、従来の書庫の規模では、戦前記録の収蔵が困難になったこともあって、幕末から第2次大戦終結までの記録を収める新しい施設を設けることとし、ここに「外交史料館」の発足をみた次第です。
1988年(昭和63年)7月には展示室、収蔵庫等を備えた別館が増設(吉田茂記念事業財団より寄贈)されました。
また、2001年(平成13年)には、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(情報公開法)の施行に伴い、総務大臣より歴史的な資料を適切に保存管理する施設に指定されました。
そして、2011年(平成23年)4月1日、「公文書等の管理に関する法律」に基づき、外務省の特定歴史公文書等の管理を行う施設として外務大臣の指定を受けました。これにより、外交史料館は、国立公文書館に類する機能と役割を担う外交の公文書館となりました。
なお、2000年(平成12年)7月の九州・沖縄サミット開催を記念して「壺屋発サミット協力会」が作成し外務省に寄贈した壺屋焼チブルシーサー(頭獅子像)が、正面玄関脇に展示されています。
所蔵史料の公開を行っています。閲覧を希望される方は、本館閲覧室において「外務省外交史料館利用等規則」および「外務省外交史料館利用細則」に基づき、所定の手続きの後、外務省記録をはじめとする当館所蔵史料の閲覧ができます。
閲覧者をはじめとして、国内外の研究者および一般の方からの所蔵史料や外交史に関する問合せに応じています。
別館には一般公開の展示室があり、幕末以来の代表的な条約書、国書・親書、往復文書等の外交関係の史料のほか、吉田茂元総理の遺品、関係資料なども展示しています。また、テーマを決めた特別展示も行っています。
外交上の主要な文書を総合的に編さんした『日本外交文書』を暦年順および特集形式で刊行しています。
『日本外交文書』は、1936年(昭和11年)に第1巻が刊行されて以来、明治年代は計73冊、大正年代は各年次の本巻と「パリ講和会議」「ワシントン会議」等の特集(別冊)を合せた57冊を刊行し、両時代の編さんを完結しました。現在は、戦後期を含む昭和年代の編さんを進めており、年2~3巻を刊行しています。このような、外交文書の編さん・刊行は、諸外国でも国の事業として行われており、たとえばアメリカ合衆国ではForeign Relations of the United States、イギリスではDocuments on British Foreign Policy(戦前期)やDocuments on British Policy Overseas(戦後期)を刊行しています。
戦災等で消失した外務省記録を補填するため、外交史料の収集には少なからず努力を払っています。また、外交当事者および関係者の方々からの貴重な外交史料や文献の寄贈も受けています。
外交知識の普及活動の一環として、本館講堂(収容能力120名)を利用して、外交史などに関わる講演会、研究会を行っています。
Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAcrobat Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータに対応したソフトウェアを入手してください。