平成20年5月7日
(1)スーダンはアフリカ最大の国であり、周辺9ヶ国と国境を接するスーダンの安定は、アフリカ全体の安定に直結する。スーダンは、現在、和平への糸口が見えないダルフール問題と依然として脆弱な南北スーダン和平問題という二つの大きな不安定要素を抱えており、国際社会の関心も極めて高い。特にダルフール問題は、2004年以降、毎年、G8サミット(乃至は外相会合)で取り上げられ、安保理における主要協議事項の一つとなっている。
(2)こうしたスーダン問題を巡り、我が国として、TICAD IV及びG8北海道洞爺湖サミットの開催を控え、「平和協力国家」としての具体的な取組を実践し、また、G8議長国としての指導力を発揮すべく、今般、小野寺外務副大臣がスーダン(首都ハルツーム及びダルフール地方)を訪問することになった。
スーダン政府要人が第3回スーダン・コンソーシアム会合等に加え、小野寺副大臣のハルツーム到着の前日に起きた南部スーダン政府要人の航空機事故死への対応に追われる中での今次訪問となったが、以下のとおり、ほぼ当初の目的を達成することができた。
(1)ダルフール(北ダルフール州都エル・ファーシル)視察
4日、我が国政府高官として初めてダルフール地方を訪問した。UNAMID幹部や北ダルフール州知事と会談したほか、国連機関の案内でエル・ファーシル近郊のアブー・ショウク国内避難民(IDP)キャンプを訪れ、我が国支援による水供給施設や食糧の配布を含め、5万人以上のIDPが生活する現状を視察した。IDPとも言葉を交わし、この食糧が我が国の支援によることを伝えたほか、彼らの懸念について聴取し、輸送路の治安悪化を理由に5月の食糧配給を半減するとのWFPの決定については、必要な食糧が安全かつ十分に届くよう尽力したいと伝えた。
(2)スーダン政府要人との会談
5日にハルツームで、ナーフィア大統領補佐官(政権内での実力は大統領に次ぐとも言われる)、イスマイール大統領顧問、ケルティ外務担当国務大臣(今年度訪日招聘予定者)、ワシーラ外務担当国務大臣と会談した。一連の会談では、小野寺副大臣より、今次ダルフール訪問について説明しつつ、我が国のダルフール問題への高い関心を指摘し、特に、上記のIDPとのやり取りを踏まえ、食糧輸送路の治安確保に向けたスーダン政府の一層の努力を要請した。先方からは、我が国の人道支援に対する謝意に加え、ダルフール問題を巡る我が国の更なる役割に対する期待を表明したほか、ダルフール和平プロセスやUNAMIDの展開に関する立場、CPA(南北包括和平合意)の履行状況、米英両国との関係改善に向けた取組等について説明があった。
(3)UNAMID幹部との会談
3日、ハルツーム到着直後にアダダ国連・AU共同任命特別代表と会談し、4日、北ダルフール州エル・ファーシルにおいて、アグワイUNAMID部隊司令官等と会談した。これら会談では、部隊の展開が十分に進んでいない理由(ロジスティック、装備、工兵部隊の必要性)をはじめ、UNAMIDが直面する課題についての説明を受けたほか、アダダ特別代表とは、ダルフール反政府勢力の動き、チャド等の近隣諸国とスーダンとの関係がダルフール和平プロセスに与える影響を含め、包括的な意見交換を行った。小野寺副大臣からは、我が国のUNIMIDに対する財政的貢献について指摘し、UNAMIDの早期展開及び治安回復への貢献に対する期待を表明した。
(1)小野寺副大臣の今次ダルフール訪問は、我が国政府高官としては初めてであり、今月末のTICAD IV及び7月のG8北海道洞爺湖サミットを控え、極めて時宜を得たものであった。また、我が国の「平和協力国家」としてのダルフール問題への高い関心をスーダン政府及び国際社会に印象付けることができた。
(2)今次訪問は、本年3月のナーフィア大統領補佐官訪日(外務省賓客)に続き、5月のバシール大統領のTICAD IV出席のための訪日を前に行われ、ダルフール問題に関するスーダン政府への働きかけを含め、両国間のハイレベルでの対話継続という観点からも極めて重要であった。