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タリバーンによる彫像破壊令問題

平成13年3月21日

1.経緯・現状

(1)アフガニスタンは、紀元後4〜6世紀に建立されたとされる同国中部バーミヤン市の巨大石仏(55メートルと38メートルの計2体)など仏教彫像を中心に数多くの貴重な世界的文化遺産を有する一方、長期に
亘る紛争状況によってそれら遺産の多くが修復されることもなく破壊の危機に晒されている。

(2)タリバーンの最高指導者オマル師は2月26日、仏教石窟など国内彫像遺跡がイスラームで禁じられている偶像崇拝につながるものとして破壊するよう命じる布告を発出するとともに、続く27日にも国内文化遺産の歴史的及び文化的重要性を否定する声明を発出した。

(3)なお、6日、国連安保理は本件破壊令を非難する声明を発出した。9日には、同令の見直しを求める総会決議が全会一致で採択された。

(4)11日、パキスタン訪問中のアナン国連事務総長はムタワッキル「外相」と会談したが議論は平行線を辿り、破壊令撤回に関する言質は得られなかった。また、パキスタン内相、スリランカ首相、イスラム会議機構代表団(カタル外務担当国務相を団長とし、エジプト等の宗教指導者も同行)等もアフガニスタン入りし、タリバーン側と会談を持ったが事態の進展はなかった。

(5)彫像破壊令発出後、バーミヤン地方が封鎖されていたため、実際に破壊活動が行われているという事実を確認することは困難であったが、18日、CNNで報じられた爆破後のバーミヤン遺跡の画像によれば、2体の仏像は双方とも足が落ち、頭部、胴部等がかなり破壊されている。ムタワッキル・タリバーン「外相」によれば、近く報道陣のバーミヤン入りが認められる予定とのこと。また、スリランカは仏像の残骸を購入し、復元する準備がある旨表明。

2.我が国の反応

(1)3月1日付で外務報道官談話を発出し、我が国は、タリバーンの破壊令を深く憂慮するとともに、タリバーンがかかる布告を見直して文化財の適切な保護措置をとるよう強く希望している旨述べた。

(2)平山郁夫画伯は米、英、仏等の博物館館長と共同でアピールを発出すると共に、国内で署名、募金を募るべく活動を行っている(現時点で募金200万円以上、署名7,500以上)。3月4日、同画伯は、バーミヤン遺跡を爆破するのではなく、後日、再現可能な形で切り取ることも検討してほしい旨のメッセージを発出した。

(3)3月5日、沼田駐パキスタン大使より、ザイーフ在パキスタン・タリバーン「大使」に対し、深い憂慮の念を伝えた。同抗議時に、併せ上記平山画伯のメッセージを伝達した。

(4)3月7日、河野大臣は湾岸諸国等8ヶ国(GCC、イエメン、イランのイスラム諸国)の外相等に対し、タリバーンが本件布告を見直すよう働き掛けることを依頼する書簡を発出。

(5)3月8日、河野大臣は松浦ユネスコ事務局長と電話会談を行い、与党三党代表団とラフランス・ユネスコ特使の間での連絡の強化、これまでのタリバーン側との接触に関する情報交換、今後のタリバーンに対する働き掛け等につき、協議を行った。協議後、河野大臣はハマド・カタル首長(イスラム会議機構議長)、サッタール・パキスタン外相、メギード・アラブ連盟事務総長に対し、追加的に書簡を発出。

(6)3月7日、与党三党はタリバーンに申し入れを行うため、アフガニスタンに代表団(自民党熊代昭彦議員、保守党松浪健四郎議員、公明党遠藤乙彦国際部長)を派遣した。同代表団は河野外相からの書簡及び平山画伯が募った署名(上記参照)を携行し、9日にムタワッキル「外相」と会談した。(なお、同代表団とオマル師の会談は実現せず、バーミヤン訪問も許可されなかった。)

(7)3月2日、ヴァジパイ印首相より森総理に対し、タリバーンを批判し、国際社会が力を合わせて、彫像破壊を止めるべきとの書簡が接到したことを受け、13日、森総理発ヴァジパイ印首相宛返簡を発出。


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