
CTBT発効促進に向けた我が国の取り組み
平成24年2月
1.CTBT早期発効を求めて‐我が国の基本的姿勢‐
我が国は,包括的核実験禁止条約(CTBT)を,国際原子力機関(IAEA)の保障措置(セーフガード)と並び,核兵器不拡散条約(NPT)を中核とする核不拡散・核軍縮体制の不可欠の柱を構成しているものとして捉え,その早期発効を極めて重視している。
2.発効促進会議
CTBTは,署名開放後3年を経過しても発効しない場合,批准国の過半数の要請によって,発効促進のための会議を開催することを定めている(第14条2)。この規定に基づき,これまでに7回の発効促進会議が開催された。
(1)第1回発効促進会議(1999年10月6~8日,於:ウィーン)
- 我が国は「議長国」として,会議の成功に尽力した(高村前外務大臣(当時)が議長)。
- この会議で採択された最終宣言に基づき,我が国は第2回発効促進会議までの間,「調整国」として早期発効のための協力を促進することになった。
(2)第2回発効促進会議(2001年11月11~13日,於:NY)
- 各国に対する早期署名・批准の要請等を盛り込んだ最終宣言が全会一致で採択された。117か国が参加したが,CTBT批准反対の態度を明らかにした米国,条約未署名のインド・北朝鮮は参加しなかった(パキスタンはオブザーバーとして参加)。
- 我が国は,「調整国」として会議に先立ち累次非公式会合を開催するなど,各国の事前の意見調整に努めた。
- また,第1回発効促進会議以降の発効に向けた進捗状況を「プログレス・レポート」として報告し,各国に対して発効促進努力の継続を改めて呼びかけた。
(3)第3回発効促進会議(2003年9月3~5日,於:ウィーン)
- 会議に先立ち,議長国フィンランド,ホスト国オーストリア,第1回CTBT発効促進会議議長国である日本が3か国外相共同書簡を,国連事務総長から同会議へ招聘された全ての国に発出し,同時に未批准発効要件国に対しては,3か国共同でCTBTの早期批准と第3回CTBT発効促進会議へのハイレベルな参加を働きかけた。
- 日本からは川口外務大臣(当時)が出席。全体会合では第1番目に演説を行い,CTBT未署名国及び未批准国に対して,CTBT早期批准を呼びかけた。
- 会議では,各国に対する条約の早期署名・批准の呼びかけや核実験モラトリアムの維持等を盛り込んだ最終宣言を採択した。
(4)第4回発効促進会議(2005年9月21日~23日,於:ニューヨーク)
- 会議では,各国に対する条約の早期署名・批准の呼びかけや核実験モラトリアムの継続等を盛り込んだ最終宣言を採択した。
- 日本からは有馬政府代表が出席し,CTBT未署名国及び未批准国に対して,CTBT早期批准を呼びかけた。
(5)第5回発効促進会議(2007年9月17日~18日,於:ウィーン)
- 会議では,各国に対する早期署名・批准の呼びかけ,核実験モラトリアムの継続等を盛り込んだ最終宣言を採択した。
- 日本からは木村外務副大臣(当時)が出席し,CTBT未署名国及び未批准国に対して,CTBT早期批准を呼びかけた。
(6)第6回発効促進会議(2009年9月24日~25日,於:ニューヨーク)
- 会議では,未署名国・未批准国に対する早期署名・批准の呼びかけや核実験モラトリアム維持の重要性等を盛り込んだ最終宣言を採択した。本会議に10年ぶりに復帰した米国からはクリントン国務長官が参加した。
- 日本からは岡田外務大臣(当時)が出席し,「CTBT発効促進イニシアティブ」を発表した。
(7)第7回発効促進会議(2011年9月23日,於:ニューヨーク)
- 会議では,未署名国・未批准国に対する早期署名・批准の呼びかけや核実験モラトリアム維持の重要性,CTBT検証体制の本来機能に加えた民生・科学分野における有用性等を盛り込んだ最終宣言を採択した。
- 日本からは玄葉外務大臣が出席し,核兵器国,非核兵器国の対立を越え,すべての国がCTBT発効促進に向けて共同行動(United Action)をとることを呼びかけるとともに,我が国が豪州とともに立ち上げた軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)のメンバー国と連携しつつ,CTBT発効促進に向けた共同行動の先頭に立つ決意を表明した。
3.フレンズ外相会合
02年,日豪蘭が中心となって立ち上げ,以後発効促進会議の開催されない年に開催。第4回会合(08年)では,参加国(91か国)及び共同声明への支持国数(96か国)ともに過去3回の会合を上回った。我が国からは川口順子政府代表(当時)が出席。2010年9月23日,国連本部にて開催された第5回会合では,前原外務大臣(当時)が政府代表演説を行い,すべての発効要件国の政治的指導者が,英断により早期署名・批准に向けたリーダーシップを発
揮することを呼びかけた。
4.途上国に対しての技術協力
- 国際監視制度の建設に必要な機材をこれまでインドネシア等17か国に供与している。
- 1995年から毎年,人材育成を目的としたグローバル地震観測研修(JICA)を実施し,これまでに69カ国から計168名が参加している。
5.二国間会談等における発効促進への働きかけ
日本は従来から,二国間会談や国際的・地域的フォーラム等様々な機会を捉えてCTBTの早期発効をよびかけ,また,署名・批准を働きかけてきている。最近の主だったものは以下のとおりである。
(1)二国間会談等における働きかけ
近年の働きかけとしては,2009~2011年9月までに,未批准の発効要件国に対して,首脳レベルで6回,外相レベルで14回のほか,その他政務レベル,高官レベル等様々なレベルにおいてあらゆる機会に働きかけを行ってきている。特に,2009年12月の日・インド首脳会談の際,鳩山総理(当時)がシン首相に,アメリカ及び中国とともに条約に署名・批准していただくことが極めて重要である旨述べたのに対し,シン首相は仮にアメリカ及び中国がともに批准するのであれば新たな状況となる旨発言があった。
(2)外相書簡等による各国へのCTBT早期批准働きかけ
わが国はこれまで累次に亘り,CTBT早期批准を求める外相書簡等を発出するなどして働きかけを行っている。例えば,2005年4月,2005年NPT運用検討会議に先立ち,町村外務大臣(当時)より,CTBT未批准の発効要件国11か国外相に対し,CTBT早期批准を求める書簡を発出した。
また、2011年には、広島・長崎両市長及び平和市長会議がインドネシアの国会第1委員長宛ての書簡を発出した。同時期に、訪日中のインドネシア外務省幹部に多方面から働きかけを行ったこともあってか、同年12月にはインドネシア国会にてCTBT批准が承認され、2012年2月のインドネシアによるCTBT批准につながった。
(3)未批准国からの関係者招へい
我が国はこれまでにCTBT未批准の5か国(コロンビア,インドネシア,ベトナム,タイ,エジプト)からCTBT関係者を招へいし,批准を働きかけるとともに,CTBT国内運用体制の重要性を訴えた。なお,5か国うち,コロンビア、ベトナム及びインドネシアは現在批准済みである。